先日、宝塚歌劇団花組・月組100th anniversary「Greatest Moment」が梅田芸術劇場メインホール、東京国際フォーラム ホールCにて上演されました。
現在宝塚歌劇団では5組で興行している宝塚歌劇団ですが、1914年に発足当時は1組で、1921年に花組、月組とに分かれて2組となり、その後雪組、星組、宙組と誕生していきました。
今回、花組、月組の誕生100周年となる記念に「Greatest Moment」が上演されたわけですが、宝塚歌劇団の卒業生、とりわけ元トップスターを中心にキャスティングされているのでとても豪華で、当時を知る人には懐かしく、知らない人にも歴史を感じさせる内容だったのではないでしょうか?
構成は第一幕、第二幕の2部構成で、花組メインの花組ヴァージョンと月組メインの月組ヴァージョン、花組・月組がバランス良く配された花組・月組ALLヴァージョンとが存在。
その中にも花組A、花組B、月組A、月組Bと細分化されていて、それぞれ出演者も歌われる歌も違っているので、選ぶのが悩ましかったです。
出演者には初風諄さん、榛名由梨さん、安奈淳さんといったベルサイユのばらを代表作とする偉大なOGの方々が。
続くは髙汐巴さん、剣幸さん、若葉ひろみさん、こだま愛さん、安寿ミラさん、涼風真世さん、真矢ミキさん、愛華みれさん、真琴つばささん、姿月あさとさん、森奈みはるさん、麻乃佳世さん、風花舞さん、彩輝なおさん、瀬奈じゅんさん、大鳥れいさん、霧矢大夢さん、壮一帆さん、彩乃かなみさん、桜乃彩音さん、蒼乃夕妃さん、蘭乃はなさん、珠城りょうさんといった錚々たるメンバーが日替わりで出演。
そして現役生かららは専科の凪七瑠海さん、紫門ゆりやさんが出演して盛り上げました。
楽曲も日替わりで花組ヴァージョンならば「琥珀色の雨にぬれて」や「夜明けの序曲」、「テンダー・グリーン」、「EXCITER‼」など、月組ヴァージョンなら「ME AND MYGIRL」、「川霧の橋」、「グランドホテル」、「Apasionado‼」など組ゆかりの作品から選曲。
再演されたものは初演の方と再演の方との共演があり、見応え、聞き応えがありました。
「この曲、懐かしい」と心震わせたファンが多いかと。
どの時代に熱心に応援していたか、それぞれ違うでしょうけれど、心に残る1曲があるはずです。
初風さんは47期生で1961年に初舞台、最下級生の珠城さんは94期生で2008年に初舞台という学年差がありながらも、「宝塚OG」という共通の肩書を持ち、共有するものが多いのだろうと思いました。
現役生の凪七さん、紫門さんのお2人は珠城さんより上級生ですが、退団された珠城さんよりも現役の雰囲気がとてもあったことに新鮮さが。
やはり、メイクなども外部の舞台とも違い、より宝塚らしさが感じられ、面白い発見でした。
第二幕の中で、大浦みずきさんの追悼コーナーがあり、髙汐さんを中心に、安寿さんたちが偲びました。
この中にも絆の強さが覗えて、宝塚というもののすごさを見せつけられる場面です。
さて、このイベントは梅田芸術劇場とタカラヅカ・ライブ・ネクストが企画、制作、主催して開催されました。
梅田芸術劇場は劇場としてもですが、OGの方々が多く所属するプロダクションであり、企画も行っています。
タカラヅカ・ライブ・ネクスト
タカラヅカ・ライブ・ネクストは先日設立されたOGのためのプロダクション、企画会社です。前・宝塚歌劇団理事長であり、梅田芸術劇場社長や以前には宝塚大劇場の支配人を経てきた小川友次さんが社長に就任。
OGを卒業後もマネジメントしていくのことです。
梅田芸術劇場との違いは、前者は演劇公演を主として宝塚以外の俳優との舞台を企画、制作。タカラヅカ・ライブ・ネクストは宝塚OGが宝塚歌劇のイメージのままに活動、というような印象です。
1990年代位までは、退団した後は女優になるか、結婚して引退、ということが半々で、必ずしも芸能活動を継続するわけではありませんでした。
東宝の舞台ではまだ「女優芝居」が全盛で、退団後のOG達、特にトップ男役が退団するとストレートプレイ、ミュージカル共に引っ張りだこで、需要がありました。
近年、結婚されるにしても寿退団で即引退といった形はほとんどなく、まずは芸能の世界に進まれることが多いです。
ファンにとってはいつまでもその姿を観られて嬉しい限りではありますが、飽和状態というのも現実でしょう。
そして、キャスティングする側から言うと、身長のバランスの良い娘役OGが重宝されるということが起きています。
ただ、ファンの数では男役OGを起用した方が良いという声もあります。
以前とは状況が変わっており、また、年齢と共に合う役がなくなったりと、演劇界の中で厳しい競争が。
そして、男役から女優になると、ファンの数が減ってしまうことも懸念の材料です。
そこで、タカラヅカ・ライブ・ネクストでOGのために企画をしていくことで、出演者にもファンにも安定して宝塚ブランドを提供していけると思います。
ひいては宝塚歌劇団そのものの安定にもつながることが考えられます。
厳しいエンタテインメント界で宝塚歌劇の現役生、OGとの架け橋となりそうで、今後も期待したいと思います。