宝塚歌劇団雪組の先日発表された「蒼穹の昴」のポスター、本当に素敵ですね。
先行ビジュアルも、もちろん素晴らしかったのですが、トップコンビだけではなく、7人という大人数に劇団の本気を感じました。
専科からの大量出演に、気合入りまくりのポスター。
そして素敵なお衣装!!
「王妃の館」から「壬生義士伝」の大成功を経て、再び雪組で挑む浅田作品への並々ならぬ意気込みを感じます。
今回はポスターの感想と、ポスターに掲載された皆様が演じる役の簡単な解説を、お伝えしたいと思います。
「銀河英雄伝説」を思い出す
「蒼穹の昴」のポスターを見て、最初に思い出したのはビジュアル最強と言われた、「銀河英雄伝説」のポスターでした。
「HiGH&LOW」のポスターもそうですが、トップコンビだけではなく複数の人物がはっきり載っているポスターは「恋愛だけではなく、ストーリーで見せますよ!!」という感じがして、期待が高まります。
「グレート・ギャツビー」はトップコンビが手前に大きく出ているので、恋愛も主軸の一つであることが伝わってきますね。
実際「HiGH&LOW」は、原作ではコブラに恋愛させないスタイルなので、恋愛要素はあっても薄めだと思われます。
「蒼穹の昴」も、文秀と玲玲が結婚するのは日本に亡命した後の話です。
主な配役をチェック!
ポスターに載った7人を、公式サイトの「主な配役」の順にチェックしたいと思います。
まずはその前提として、このお話が清朝末期であることを書いておきます。
日本で言うと明治の半ばから後半にかけて、の時期になります。
ストーリーの主軸は、保守派である西太后派と、改革派(変法派)である光緒帝派の争いになります。
そこに中国を植民地化したいイギリスの思惑が絡み、日本でも歴史の授業で習う「義和団の乱」へと突き進みます。
・梁文秀 … 彩風 咲奈
地方のお金も身分ある家柄の子供ですが、妾腹だったために道楽息子を装っていました。
実際は科挙に首席で合格する優秀な頭脳の持ち主で、若き官僚として出世の階段を上っていきます。
生まれがよく、頭がよく、優しい人柄となれば、彩風さんにぴったりですね!
占いによると、科挙に合格し、宰相になる運命を背負っています。
・李玲玲 … 朝月 希和
春児の妹。
兄の春児が宦官となって家を出て行ったあと、兄同様に牛の糞を拾い、燃料として売ることで家計を助けます。
しかし春児以外の家族全員が亡くなったことで、文秀に引き取られ、文秀の家の下働きとなります。
・李春児 … 朝美 絢
極貧家庭の生まれですが、運命を切り開くために自らの手で斧を振るい、宦官となります。手術代さえ払えない貧しさだったのです。
「蒼穹の昴」の、本来の主人公です。
努力を重ね、西太后の側近にまで上り詰めます。
故郷では文秀を兄と慕っていましたが、変法派の文秀とは敵対する立場となってしまいます。
占いでは、西太后の財宝をことごとく手中に収めると予言されています。
「春雲」「春児」の両方で呼ばれますが、春児は年下に対して親しみを込めたあだ名と考えていいと思います。
「春くん」のようなニュアンスです。
但し中国では、大人になってもこのあだ名で社会的生活を営む人もいます。
また幼名が「春児」で、成人して「春雲」に改名したとも考えられます。
日本とは感覚が違うので、エリザベートの「シシイ」のような感じで捉えると、よいかと思います。
妹の玲玲は、あだ名とも幼名とも、そして本名ともとれる名前です。
・李鴻章 … 凪七 瑠海
清の外交、軍事における最高責任者。
光緒帝が推し進めた日清戦争には反対の立場だったが、講和の下関条約では全権大使として調印を行った。
アジアの団結が重要だと考え、イギリスを仮想敵国とみなす「海防派」の代表。
・順桂 … 和希 そら
文秀の同年の科挙合格者で、成績は第二位。
西太后暗殺未遂事件を起こします、
・光緒帝 … 縣 千
西太后の甥で、3歳で即位。
16歳までは西太后が垂簾聴政(執政)を行っていました。
日清戦争で負けたことにショックを受け、李鴻章を罷免。
国勢を取り戻そうと、変法運動に賛同します。
そのことが保守派を刺激し、再び西太后が担ぎ上げられ、両者が対立していくこととなります。
・ミセス・チャン … 夢白 あや
北京でバーを営み幅広い人脈を持つ、謎の美女。
実は同治帝の隠し子で、西太后の孫である寿安公主。西太后が心を許す人物。西洋の事情に通じています。
西太后は誰?
ここまで人物紹介を読まれた方は、西太后が物語のキーパーソンであることが、おわかりだと思います。
実は筆者は、凪七さんが演じられるものとばかり思っていました。
「三大悪女」ともいわれる西太后ですが、これは中国の植民地化をもくろむイギリスのスパイが流した、嘘だといわれています。
史実ではライバルたちは優雅な余生を送り、西太后は彼女たちのような生活に憧れていたとか。
当時の中国では、高貴な女性でも字が読めない人がたくさんいましたが、西太后は文字を理解し、とても頭がよく、政治も深く理解していました。
近代中国の基礎を作ったともいわれています。
そこで政治の場から引退しても、西太后を頼る人々によってまた呼び戻されてしまうのを、嘆いていたという記録があります。
その波乱に満ちた生涯は宝塚向きだと思うのですが、いかんせん主役となるべき男性がいないのが難しい……。
おそらく専科のどなたかがやられると思うのですが、発表を楽しみにしたいと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。