宝塚歌劇と言えば男役トップスターが真っ先に頭に浮かぶ。
しかしその象徴ともなり大スター様を隣りで支え輝く絶対的存在のスターがいる。
それこそがトップ娘役。
トップ娘役が安泰していたらトップスターも安泰すると逆の思考になるほどにその存在は偉大であり聖母マリア様のようであり裏のボスと言っても過言ではない。
トップスターが時代と共に変わりゆくようにトップ娘役の在り方もまた同じように変化を遂げ始めた。
寄り添い三歩下がり慎ましく存在しながらもトップスターと対等に舞台に立つことができ、膨大なエネルギー、存在感、華やかさ、実力を兼ね備えた娘役スターこそ今この時代に求められしトップ娘役像。
星風まどかちゃんを観たときにまさに私の思い描くトップ娘役像の正解に出会った感覚でした。
全ての実力が及第点以上、且つ娘役として最高バランスのビジュアル、可愛らしさ、手先の器用さ、更にバイタリティ溢れる精神力の強さ、こんなにも娘役の神様のような存在に出会ったのは花總まりさん以来です。
下級生の頃より大抜擢を受け、宙組のトップ娘役に昇格しその後も異例の花組にトップ娘役としてスライド。
様々な葛藤があったかと思いますが花組に異動後より美しく開花し伸び代が無限にあるのではないか?と思う程にまだまだ育ち盛りの星風まどかちゃん。
星風まどかさんの魅力
赤ちゃんのような可愛い笑顔からは想像もつかない程に艶やかで色香もありその上気品がある。
そして何よりとても〝いまどき〟な女の子。
タカラジェンヌでありながらアイドルのようなキュルキュルした愛らしさがある。
その抜け感がまさに令和のトップ娘役スター像そのもの。
花組に来てからのまどかちゃんは柚香さんの影響を受けているのか洋服もオンワード系を着こなすことが多くよりスタイリッシュになり、舞台メイクや立ち姿はより一層艶やかになってびっくりするくらいに可愛いくなりました。
花組には〝花娘〟という名前があるほどに娘役のブランド力が高いです。
花娘は絶対的に可愛く華やかに、組カラーのピンクが似合わなければいけない。
宙組から来たまどかちゃんですが、とにかくピンクがよく似合います。
パッと華やかに咲き誇るピンクの薔薇のような存在感、花娘たちの真ん中ポジションがピッタリ。
個人的に特に優れた彼女の娘役力は相手役に寄り添うスキルの高さだと感じます。
不思議な程にどの男役と並んでもしっくり来ます。
そして相手役の魅力を最大限に引き出す力があります。
デュエットダンス、デュエットソング、どれをとってもシンクロの達人で相手役の特性や求めるものを瞬時にキャッチしパズルのように隙間を埋めてピッタリに沿わせる能力が半端なく優れています。
ただ可愛いだけではない、可愛いさの奥に潜む男らしさ、包容力があり、まるで相手役を掌で転がしているようにも見える魔性っぷり。
それすらも含めて可愛いと思えてしまう魅惑の娘役。
こんなにも何でも出来て、長くトップ娘役として活躍していても尖った強さは無く、謙虚で常に男役さんに寄り添うように存在している。
アナスタシアのようにタイトルロールをすることだって出来るのに花組に来てからは常に柚香さんを隣りで支えその控えめな立ち姿にとても好感度が上がりました。
優しく大らかな真風さんの元で育ち、更に柚香さんの相手役になり、より一層自由に伸び伸びと娘役人生を謳歌しているまどかちゃんを見ると安心する気持ちと共に花組に来てくれてありがとうという想いでいっぱいになります。
宙組時代のまさに王道をゆく可憐な娘役トップスターから花組に異動後は彼女自身の中のワイルドな個性やヤンチャさ、まだまだ見せていなかった顔が泉のように湧き出し柚香さん自身も隣りで楽しんでいて言葉では言い表すことが難しい程に魅力的なトップコンビとなりました。
公演毎に変化し成長し続け、努力を重ね、星風まどかという娘役像はまだまだ進化し開花し続けることでしょう。今後の活躍も期待が高まるばかりです。