『GRAND MIRAGE!』レビューとショーの違いが気になったので、今回は宝塚歌劇団の「レビュー」と「ショー」の違いについて書いてみたいと思います。
宝塚歌劇団の演目はお芝居が中心の一本物と前半がお芝居で後半がショー作品となっている二本物の2パターンあります。
ショー作品のタイトルの前に「レビュー」「ショー」「スペクタクル」などなどついていますが、違いってなんだろう?と常々思っていました。
ちょうどタカラヅカ・スカイステージの番組、宝塚魂(スピリット)「宝塚レビュー」で岡田敬二先生が「レビュー」と「ショー」の違いを解説されていたのでご紹介します。
宝塚魂ではレビューとは19世紀末から20世紀にかけて欧米で流行したその年の話題の出来事を歌とダンスで綴った舞台と紹介されていました。
また1927年に日本で初めてのレビュー作品は宝塚歌劇団『モン・パリ 〜吾が巴里よ!〜』です。
歌とダンスの舞台全体をショー、その中でも話題の出来事を織り込んでいるのがレビューという風に解釈しました。
レビューは時代劇、ショーは現代劇
レビューとショーの違いを岡田敬二先生は、
「ショーは現代劇で、未来志向のもの。レビューは時代劇。レビューが一年間を振り返るイベントから来ているので、懐かしみのあるもの。」とおっしゃっていました。
現在上演中の花組「鴛鴦歌合戦」も時代劇なので、レビュー(時代劇)なのかな?と思いました。
岡田敬二作品のレビューへのこだわり
岡田先生のレビューシリーズ「シトラスの風」では学年別に緑、黄色、水色、ピンク、紫と分けられているそうです。
この配色は、今作品の『GRAND MIRAGE!』でも見られましたが、『シトラスの風』で明度の高いはっきりした色合いの衣装に比べてパステル調で、花組に新しく配属された下級生の方が、ピンクとラベンダーのお衣装だったので、学年別というわけではないのでしょう。
宝塚魂(スピリット)『宝塚レビュー』の回でMCをされていた宙組瑠風輝さんは、最下級生の時は緑色の衣装だったそうです。
学年が上がり『シトラスの風』の再演で前宙組組長の寿つかささんと同じ水色の衣装を着れたことが本当に嬉しかったと語っておられました。
観客としてはただただ美しい衣装に見とれていますが、衣装の色にも意味があるのかもしれないですね。
作品のタイトルは演出家によって様々
どの演出家の先生が、『レビュー』を使うのか、『ショー』を使うのか過去作から見てみました。
2018年から2023年までのショー作品は、43作品ありました。その中でロマンチック『レビュー』というように『レビュー』が入っているものが17作品 、『ショー』・スピリットのように『ショー』が入っているものが15作品でした。
その他は栗田優香先生の大劇場デビュー作品、次回月組公演のタイトルは東京詩華集(トウキョウアンソロジー)です。
野口幸作先生はスペキュタクラーがタイトルの作品も多いです。
スペキュタクラーとは、壮観な、華やかなという意味だそうです。
野口幸作先生のショーに対する思いがスペキュラクターという言葉に込められていますね。また昨年大変話題になった齋藤吉正先生の作品『ジャガービート』のタイトルはメガファンタジーでした。
43品中10作品と多くの演出を手がけておられる藤井大介先生の作品のタイトルはレビューとショーと半分ずつぐらいでした。
岡田敬二先生はタイトルに必ずロマンチック・レビューが入っています。
先生のレビューに対する思い入れの深さを感じました。
宝塚大劇場公演のネオ・ロマンチック・レビュー『GRAND MIRAGE!』のプログラムの岡田先生のコメントでも「華やかでエレガントで宝塚独自の香りを持つ、オリジナル・レビューを目指して30数年」とあります。
レビュー作品としては22本目だそうです。
まとめ
タイトルの付け方から、ショーの一つのカテゴリーがレビューかなと解釈しましたが、岡田敬二先生のレビュー作品を観ると、華麗で清潔感のある歌とダンスと衣装、羽飾りと全ての宝塚のショー作品の原型がレビューなのではないかと思いました。
ライター・さんなん