宝塚歌劇団雪組のトップスター、望海風斗。
私が、初めて望海風斗の舞台を鑑賞した記憶をたどると当時、真飛聖と桜乃彩音トップ時代の「虞美人」で娘役の桃娘が印象に残っている。
愛音羽麗とのコンビで運命に翻弄された娘役で♪夢をみましょう~と歌っていた
姿が思い出されました。
「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」の公演ライブCDが流れる中、この記事を書いている。
だいもんの低音・中音域、高音的まで見事に五線譜に並べた今作ワンスの、歌劇の作曲家太田健の手腕が光る。
ワンスのOP「♪夜霧に濡れたマンハッタン」はシンプルな伴奏からほぼ、だいもんの男役声の低音域を見事に堪能できて、私も口ずさんでいるナンバーだ。
もちろん、絶唱系の一幕ラストの「♪俺の愛は枯れない」が(劇中の解釈と異なるが、だいもんのタカラヅカへの愛は枯れないと歌っているようにも聞こえるのは、タカラヅカの舞台にかける彼女の宝塚愛を舞台から感じるかもしれない。)
とかく、一幕ラストはこんなにいい男がフラれるのかという衝撃とアカペラパートとオーケストレーションの流れが絶妙であり、
主題歌「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」は
曲の展開と歌詞と後半部の超大作ミュージカルナンバーの誕生であった。
もちろん、だいもんファンにトップ時代のベスト歌唱シーンは?と聞くと
「ひかりふる路」の冒頭の「夜明け空を」で繊細からダイナミックな革命までの
序曲であり、ファントムの一幕ラスト「もう君を離したくない、二人だけの世界へ旅立つ命をかけて」の
てぇーーーーーーーーーーーーの。
ロングトーンが素晴らしい。
特筆すべきは、東京公演楽のロングトーンは
歌唱に無理なくかつ、フォルテでまったくその声の強さにぶれがない。
車でいえば、LEXUSアクセルを軽く踏むだけで無理なく直進する感覚。
ロングトーンでまったく歌唱に無理なく歌う技術は、ワンスのアーサーのコメントにだいもんから体を使って歌を歌う技術を学びましたとあったが、
だいもんがもっている歌唱スキルの秘伝一つ、喉でなく体を使って歌っているからに尽きるのである。
話が脱線したので戻すと、
だいもんは好きな歌場面だけで組めども尽きぬほど、自然と言葉が浮かんでくる。
ファントム二幕冒頭の「クリスティーヌ」と幻想的な船で歌う
「withoutYou music」
それとも、「石を割って作桜」のポタリ、ポタリのいった情感触れる歌に
劇場でスミレ色の涙が流れました。
もちろん、同時上演のMusic REVOLUTIONのズバリ、プロローグ、クラシックの
「愛の夢」 「ラ・カンパネラ」 黒燕尾の「ティコ・ティコ」と
だいもんの歌場面を今、退団前に後、もう一年だけ宝塚歌劇で聞かせて
欲しかったと思う。
私のベストはトップお披露目の
SUPER VOYAGEのフィナーレの羽を背負っただいもんが組子のコーラスの中で、希望の海へ 水平線の彼方と歌うシーンがベスト。
ヅカのラストの階段降りの歌に加えて、ラスト羽背負っての歌とも
なれば、通常よりも歌声へも負担はかかるだろうが、ラストパートでの
トップの歌声堪能できるのは、ほんとにトップスターを愛して
やまない宝塚ファンには、最高に高揚する瞬間ですね。
さて、だいもんのトップスター主演作品について
思い出をたどる旅を続けてみたい。
だいもんへの愛が溢れすぎて、少し長くなってきてしまいましたので、続きは
次のページへと続きます・・・・
引き続き、だいもんのトップスター主演作品について語っていきたいと思います。
「壬生義士伝/MUSIC REVOLUTION」
・新選組、吉村貫一郎。一部、プレお披露目で誠の群像で
新選組を演じていた彼女にまた、石田先生の新選組??と
ネガティブが前評判を打ち消す、東北訛りと滅びゆく男の美学。
家族のために身を粉にして働く姿やトップ男役が新選組の下っ端で
お酒の給仕をする姿は新鮮な役柄であったり、これは、改めて
望海風斗のために書かれた役だと納得のいく作品に仕上がっていました。
今でもだいもんの朝廷に軍に立ち向かうセリフが鮮やかに読みがってくる
「新選組、吉村貫一郎~~」と戦う姿が。
『はばたけ黄金の翼よ』
タカラヅカのクラシックな作品。
ヴッイトリオが登場するシーンを
過去のプロローグのyoutubeにアップ版と比較してみた。
プロローグの時間、テンポ感ともに2019年だいもんverの方がテンポよく
曲の流れもスムーズ。
再演と合って過去の振り付けのニュアンスが残っていて
一から作り上げた作品ではなく、リメイクといった趣となっている。
アシンメトリーで左右非対称のだいもんのロングヘアー宝塚のマントスタイルが
最高に好きでしたね。
ヅカのマント好きの私は、自分の結婚式で、黒と白2色のマントをレンタルし
右のみをピン停めしてヅカっぽいニャアンスを楽しんだ記憶があります。
ヴィットリオは、漫画のキャラクターと書かれた時代が80年代とあって、
ヴィットリオがクラリーチェとの男女の関係性の描き方が、
「俺の背中を見ていればいい。俺についてこい」と
表面的にはふるまっていても、愛情を隠し切れずに
クラリーチェに剣の使い方を教えるシーンも印象的でした。
ラストでは
「自由にはばたくお前を俺のそばにおいておきたいと思うが、いつかお前が
戻ってくる日が待っている」との包容力を見せる場面もありました。
男役のおいしいところ「ラブシーン」への展開が前半のヴットリオの好きな子には少し
いじめたくなる的な愛の表現から、クラリーチェ生き方そのものを包むような愛へと
変化させ、ラストの歌は、前半、クラリーチェの歌に寄り添う形でうたうだいもんの歌声。
だいきほの歌声と静かなラブシーンに魅せられました。
「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」
まぎれもなく、ファントムという海外ミュージカルの代表作と並んで
オリジナル作品の代表作となったヌードルス。
少年の純粋な思いのまま、
ギャングとしての道を歩んだがバラの花びらの約束の場面のプロポーズで見事にフラれる姿に痺れました。
二幕は悪行と友を救いたいとの思いの葛藤、そして、冒頭のサスペンスの
幕切れに向かって物語はデボラとの再会。
マックスの死すべてを記憶の彼方に蘇る「ONCE UPON A TIME IN AMERICA」(今は、昔の物語)と
あの歌声で作品すべてを集約させて歌うあのだいもんの姿が大好きでした。
これからの歌劇ことはまったくよめないわけですが、タカラヅカスカイステージでオプション料金での舞台映像の中継、ネットでの有料中継等
だいもんがタカラヅカから去る日まで、舞台を私たちファンに
どうみせてくれるのかが、宝塚歌劇から、そして退団を発表され、
残り少ない宝塚人生である望海風斗さんから目が離せません。