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星組全ツの【統括団体によるアートキャラバン事業】ってなに??

宝塚歌劇についての雑記

宝塚星組の全国ツアー公演『モンテ・クリスト伯/Gran Cantante‼』が9月1日から始まります。

また、星組の別チームによるバウホール公演『ベアタ・ベアトリクス』も9月8日が初日。

どちらも公式サイトの公演案内を見てみると、あまり見慣れない記載が…

文化庁 統括団体によるアートキャラバン事業(コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業)」とあります。

これは一体何でしょうか?

宝塚歌劇団の経営状況と何か関わりがあるのでしょうか?

そういえばコロナ禍になってからの演目には少し傾向があるような…

コロナ禍以降の演目を洗い直しながらちょっと調べてみました。

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『統括団体によるアートキャラバン事業』概要

「文化庁 統括団体によるアートキャラバン事業(コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業)」というのを少し調べてみると…

コロナ禍で多くの公演を中止せざるを得なかったエンタメ界を助けるため、政府が補助金を出す政策のようです。

対象は大規模公演型と地域連携型の2種類に分かれていて、宝塚歌劇団は前者になります。

補助金額はというと…

『1補助事業当たり上限520,000千円』

520,000千円…?

5億2千万円!!!

あくまで「上限」ですので、どの事業にも5億2千万が出されるわけではありません。

宝塚歌劇団の星組全国ツアー、相模女子大学グリーンホールの公演は全部で9公演。

梅田芸術劇場メインホールでも6公演ですので、やはり補助金のおかげでこれだけの回数に増やすことができたという背景はあるでしょう。

全国ツアーの関東地方はいつもチケ難必至ですから、いつもよりは激戦にならずに済みそうですね。

補助金をもらうほど、宝塚歌劇団は経営状況が悪い…?!

宝塚歌劇団が国から補助金を受けて公演をしている、と公表したのは私の記憶にある限り前代未聞です。

コロナ禍での公演中止は2020年から始まっており、2020年の損益だけでも概算10億円を超えています。

母体が阪急電鉄の宝塚でも、さすがにこれは「ピンチ」と言える状況ですよね。

2021年に阪急ホールディングスが出したエンタメ部門の決算内容は、「22億5800万円の営業損失」でした。

つまり「赤字」です。

それはそうですよね。

≪中止期間があった公演≫

2020年

  • 月組『出島小宇宙戦争』
  • 花組『はいからさんが通る』
  • 星組『シラノ・ド・ベルジュラック』
  • 雪組『NOW! ZOOM ME‼』
  • 星組『眩耀(げんよう)の谷/Ray』
  • 宙組『FLYING SAPA』
  • 宙組『壮麗帝』
  • 雪組『炎のボレロ/Music Revolution!』
  • 雪組『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』
  • 月組『赤と黒』

2021年

  • 花組『PRINCE OF ROSES』
  • 花組『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』
  • 月組『ダル・レークの恋』
  • 月組『幽霊刑事』
  • 宙組『夢千鳥』
  • 宙組『ホテル スヴィッツラ ハウス』
  • 星組『ロミオとジュリエット』
  • 花組『アウグストゥス/Cool Beast!!』
  • 花組『元禄バロックロック/The Fascination!』

2022年

  • 雪組『ODYSSEY』
  • 星組『ザ・ジェントル・ライアー』
  • 星組『王家に捧ぐ歌』
  • 宙組『NEVER SAY GOODBYE』
  • 雪組『夢介千両みやげ/Sensational!』
  • 宙組『カルト・ワイン』
  • 星組『めぐり会いは再び next generation/Gran Cantante‼』
  • 雪組『心中・恋の大和路』
  • 花組『巡礼の年/Fashionable Empire』
  • 月組『グレート・ギャツビー』

すごい公演数です…!!

数日のみの中止で済んだ公演もありましたが、別箱公演は公演期間が短いので「全中止」になった演目もありました…

ライブ配信を積極的に行うことなどで売上を作ってきましたが、それで補填できるほどの損失ではありませんよね。

チケット代を上げるなどの措置ではなく、このような補助金や助成金を積極的に利用してくれるのは素晴らしい判断だと思います。

コロナ禍は演目にも影響?

考えてみると、コロナ禍による損失は演目にも影響が出ている気がします。

予算があまりかからずに集客が見込める演目、それは「人気作品の再演」です。

演目が決まるのはだいたい1年ほど前ですから、中止が相次いだ2020年の翌年、2021年の演目はまだコロナの影響を受けていないはずです。

つまり、2022年から「予算重視の演目」が増えているのではないでしょうか。

2022年に公演された、または公演が予定されている再演モノはこちらです。

  • 月組『ブエノスアイレスの風』
  • 雪組『心中・恋の大和路』
  • 花組『殉情』
  • 花組『うたかたの恋』

全国ツアーでは過去の名作を再演することが恒例化していますので、全国ツアーは抜きました。

『ブエノスアイレスの風』はスーツモノですし、『心中・恋の大和路』も『殉情』も江戸時代なので豪華な衣装はほとんどなく、セットも民家などで済みます。

『うたかたの恋』も衣装やセットは豪華ではありますが、過去に何度も再演されているのでトップコンビの衣装以外、「使いまわし」は可能です。

バウホール公演や3番手の主演作品では割と新作が作られることが多いと思うので、これはやはりコロナの影響と見ていいのではないでしょうか。

2022年現在もいまだコロナによる中止が続いていますので、これは2023年の演目にも影響が出るような気がします。

しかし、過去の名作を新規ファンに紹介することも大変に意義のあることだと思います。

初演を観たファンにとっても、「演者が変わること」はとても興味深いですよね。

この時代なりのやり方をうまく駆使して、とにかく宝塚歌劇団が元気に110周年を迎えられることを願っています。