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和希そらさんと和物の親和性

初心者のための宝塚

『夢介千両土産』より、雪組生として舞台に出演される和希そらさん。

また新しい魅力が爆発しそうで、ワクワクしますね。

そんな和希さんに、超ビッグニュースが発表されました。

組替えしていきなりの東上!

しかも、あの『心中・恋の大和路』です。

宝塚和物の名作を和希そらさんが、和物の雪組で上演するというだけで、もう注目度抜群ですよね。

チケット争奪戦必至でしょう。

「和物は苦手」「雪組には贔屓がいないんだけど」なんて宝塚ファンにも、絶対見て欲しい作品です。

その理由を三つにまとめましたので、ぜひ最後までお付き合いください。

そして「観たい!」という気持ちになっていただけると、嬉しいです。

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宝塚が誇る和物の名作

『心中・恋の大和路』は、近松門左衛門の『冥途の飛脚』を宝塚版に翻案したものです。

『冥途の飛脚』は、人形浄瑠璃では『けいせい恋飛脚』となり、さらに歌舞伎に取り入れられ『恋飛脚大和往来』として、今も人気の演目です。


『封印切』と言えば、「聞いたことある」という方も多いのではないでしょうか。

原作自体が、すぐれた人気作品なのです。

宝塚では1979年に星組が公演して以来、1982年星組、1989年月組、1998年雪組、2014年雪組、と再演を繰り返してきました。

この再演の回数だけでも、宝塚ファンにどれだけ愛されているのかをわかっていただけると思います。

「宝塚の和物で好きな演目は?」という質問があれば、間違いなく上位に入ってくる作品でしょう。

宝塚ファンでも、「和物はちょっと……」という方も多いと思います。

けれど再演を繰り返す名作となれば、和物の第一歩として観ても損はないのではないでしょうか?

『夢千鳥』に見る、和希さんと和物の親和性

『夢千鳥』のポスターは、衝撃でした。


あのポスターの滴るような色気にやられて、決死の覚悟でチケット争奪戦に向かった方も多かったのではないでしょうか。

残念ながら4月22日に幕を開けた公演は、26日にはコロナ禍によって中止となってしまいました。

劇団の計らいによって、スカイステージでは普段より早く放送されました。

その素晴らしさに、道半ばで公演中止になったことの悔しさが、倍増されたのを覚えています。

あの舞台がたった4日しかお披露目できなかったとは、悔しすぎます。

ディレイ配信という試みがあったのも、『夢千鳥』という作品のすばらしさがあってこそなのだと、感じました。

筆者の知人に、30年来の宝塚ファンの方がいます。

この方は大劇場派で現在宙組に贔屓がいないため、全く『夢千鳥』に興味がなかったそうです。

しかしスカステで何気なく録画をして、その素晴らしさに立て続けに三回連続で観たのだとか。

長年の宝塚ファンすら、唸らせる名作なのです。

和希さんが色気溢れる男役さんなのは、重々承知していたのですが、あそこまでぴたりと和物がハマる方だとは、失礼ながら存じ上げませんでした。

もちろん『夢千鳥』が純粋な和物と呼べるかというと、「意義あり」となるかもしれませんが、本当に着物がお似合いでした。

途中で「これ、宙組だったよね?」と思わず確認してしまうほど、完成度の高い和の世界でした。

また悲劇の匂いを漂わせる、ダメ男の恋愛が、とてもお似合いでした。

タイトルでネタバレしていますが、悲しい結末を迎える和物の『心中・恋の大和路』です。

和希さんに似合わないわけがない、と太鼓判を捺したいと思います。

和物を避けがちな人にこそ見て欲しい、ロックと美の調和

残念ながら宝塚では、和物は、どうしても客入りが悪い傾向があります。

一番売れるのが海外ミュージカルで、残念なのが和物です。

それでも伝統を守り、和物作品を作り続けてくれる宝塚に、まずは敬意を表したいと思います。

だからこそ和物を避けてしまう宝塚ファンに、和物をもっと見て欲しい!

その入り口にぴったりの作品だと思うのが、この『心中・恋の大和路』です。

和物を避けがちな理由の一つとして、「難しい」というのがあると思います。

人間関係やお家騒動、役職の上下、色々しがらみがあますよね。名前もなんだか難しいですし。

歌舞伎ですと、武家社会を描いた作品を「時代物」、江戸の町人の生活を描いた作品を「世話物」と呼びます。

『心中・恋の大和路』は「世話物」になります。

バウ作品だけあって、登場人物が限られています。

難しい人間関係もありません。

悲恋と、美しい舞台に、どっぷり集中することができます。

音楽は、現代的なロックに彩られています。

和楽器ではなく、普段の宝塚と変わりない楽器を使っていますので、耳馴染みもいいと思います。

主題歌も、帰り道にはつい口ずさみたくなるメロディです。

「和物にロック? 合わないのでは?」と思われるかもしれませんが、違和感はありません。

和洋折衷の空間を作り出すのは、宝塚の誇るべきお家芸だと筆者は考えているのですが、それが見事に生かされた舞台です。

とくに二人の最期の雪山のシーンは、美と音楽の融和に圧倒されること間違いなしです。

和物だからこその美と、和希さんの色気と和化粧、そして宝塚らしい音楽に酔いしれて欲しい。
そんな舞台です。

今は劇場に行かなくても、気軽に配信で楽しめるようになりました。

「和物はちょっと……」という方は、まずはライブ配信からでもお楽しみください。

絶対損はありませんし、「なぜドラマシティのチケットを取らなかったんだ!」と地団太踏むこと請け合いです。

そしてこれを機に、もっと和物人気が上がるといいなと思っています。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。