宝塚歌劇団月組「今夜、ロマンス劇場で」の公演もあと数回となった先日、「グレート・ギャツビー」のポスターが、発表されました。
トップコンビの美しさにうっとりすると同時に、当たり前ですが暁さんのお名前がないことを、寂しく感じました。
暁さんといえば、「ブエノスアイレスの風」のポスターがかっこよすぎましたね。
躍動するダンサーさん達の中で、一人じっとこちらを見つめる暁さんの視線に、キュンキュンさせられます。
あの目に心臓を撃ち抜かれた方も、多いのではないでしょうか?
オールバックス姿も、男らしくて素敵ですね。
筆者はいまだに「FALSTAFF」のイメージが強く、「すっかり大人になって……」と感慨深く眺めてしまいました。
マギーさんが退団されて、もうすぐ四年だというのに。
それだけロミオとハリー王子の二役が、鮮烈だったということでしょう。
暁千星さん月組最後の公演が、「ブエノスアイレスの風」で、初の東上となります。
「これには大きな期待が込められているのでは?」と思いましたので、考察してみたいと思います。
あくまで個人の意見ですので、ご理解のある方だけお願いします。
最後までお付き合いいただけると、嬉しいです。
ダンサートップに受け継がれた作品
「ブエノスアイレスの風」は、1998年月組、紫吹淳さんが初演となります。
そして2008年星組、柚希礼音さんで再演されました。
お二人ともダンサーとして評価の高かった、トップスターさんです。
紫吹さんは過去に傷を持つ男の色気たっぷりに、柚希さんは過去があるが故の強さをまとい、どちらもハードボイルな世界観を見事に見せてくれました。
筆者は生で観劇は柚希さんだけなのですが、ダンスの迫力が半端なく、どうやったらこんなにキレキレに踊り続けることができるのだろうかと、改めて柚希さんの実力に感心させられました。
このお二人を大いに意識した再演であることは、ポスターを見れば明らかでしょう。
紫吹淳さん、柚希礼音さんの時のポスターをオマージュして作られていることは、一目瞭然です。
過去のポスターをご存じない方も、「タイトルロゴ、なんか古くない?」と感じられたのではないでしょうか。
紫吹淳さんの時から、同じ構図、同じロゴでポスターが作られています。
紫吹淳さんといえば、最近は世間離れしたキャラクターでバラエティを賑わせたり、通販番組で楽しませたりしてくれています。
けれど宝塚時代は、観客の目を引き付けるダンスと、影のある色気で人気の男役さんでした。
「ブエノスアイレスの風」は二番手時代の作品になります。
柚希礼音さんといえば、皆様ご存じの通りダンスで鳴らした男役さんです。
下級生の時からダンスのシーンでは抜擢を受けるなど、抜群のダンサーさんでした。
「ブエノスアイレスの風」は、同じく二番手時代に演じられました。
人気ダンサートップさんであるお二人が演じた作品を受け継ぎ、主演を務める暁さん。
これはもう、将来の「人気ダンサートップ」として大きな期待がかけられているといっても、いいのではないでしょうか?
月の王子さまは、月のトップになる?
「月→星→月」と受け継がれることになった「ブエノスアイレスの風」です。
この作品が暁さんの「月組最後」の作品になるのは、実は月のトップとして戻る布石ではないかと、勝手に期待しています。
それは初演が前述通り、月組二番手時代の紫吹さん主演であるからです。
この作品の数作後、紫吹さんは一度専科に行かれ、再び真琴つばささんの後任トップとなるべく月組に戻られます。
「月組の御曹司」とも呼ばれた暁さんですが、どうも最近は「御曹司トップ」というものを、劇団側が良しとしなくなった様子。
他の組に武者修行に出すのが、ムーブメントになっている気がします。
生徒の育成には定評のある星組で、一度勉強させるつもりではないかと、勝手に考えています。
そこで選ばれたのが、月と星の懸け橋になる「ブエノスアイレスの風」だと考えると、とてもきれいに納まると思うのですが、いかがでしょうか。
暁さんのニコラスに期待!!
色々と考察ができる「ブエノスアイレスの風」ですが、ハードボイルドで男役の魅力たっぷりで、ダンスが最高なことに間違いはありません。
芝居パートが多いので、もっと踊って欲しいと思わされること請け合いで、「もう一回見たい!」となる中毒性のある舞台です。
最近は黒い役もお似合いの、暁さんです。
正塚ワールド全開のハードボイルドな舞台で東上主演を務められることで、ますます魅力が爆発されることは間違いでしょう。
「ブエノスアイレスの風」の幕が開く日が、楽しみですね。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。