宝塚歌劇団星組を代表する娘役、音波みのりさん。
先日『めぐり会いは再び next generation-真夜中の依頼人(ミッドナイト・ガールフレンド)-』『Gran Cantante(グラン カンタンテ)!!』をもって退団することが発表されました。
上級生ながらいつまでも変わらない娘役らしさが印象に残る娘役で非常に残念です。
これまで礼真琴さんがトップになるまで、何度かお芝居・ショーで組んでいた音波みのりさん。
そこで、礼真琴さんとの歴史を振り返りつつ、音波みのりさんの魅力をお伝えしていきます。
『鈴蘭(ル・ミュゲ)―思い出の淵から見えるものはー』
礼真琴さん演じるシュリアンの幼馴染であったシャルロットを演じていました。
ヒロインではありませんでしたが、全てを包み込むような包容力・大きさを感じました。
この時、ヒロインという枠ではなく、娘役として別格であると思いました。
『Killer Rouge』でのタンゴ
踊った時にお互いの踊りと音楽のタイミング嵌るような感覚が忘れられません。
お芝居要素が入っていた場面だったので、お互い帽子で顔はそんなに見ながら踊ってはいませんでしたが、空気感で想像を膨らませる踊りで、余韻が残りました。こちらは宝塚おとめで好きだった役でご本人も書いています。
『アルジェの男』
全国ツアーでヒロインとして礼真琴さん演じるジュリアンの恋人・サビーヌを演じました。恋人がアルジェを出てパリへ行くのを止めない、ジュリアンを想っているからこその強さが印象的でした。この強さがただ強がっているのではない、心の底からジュリアンにとって大事なことを考えて行動する強さ。その塩梅が上級生ならではでした。また、赤い衣裳もキュートに着こなしていて、上級生とは思えない、新鮮に可愛らしさを感じ、改めて音波みのりさんのいつまで経っても娘役として可憐さ・可愛らしさを感じました。こちらも宝塚おとめで好きだった役でご本人も書いています。
礼真琴さんと考える音波みのりさんの魅力
礼真琴さんの相手役を選ぶのはとても大変だったのではないかと思います。
なぜなら、なんでも出来るから。
そこで隣にいても引けを取らない人、もしくは存在を際立たせてくれる人が必要だったのだと思います。
例えば歌がとても合う人、ビジュアルで合う人、ダンスが合う人…
そういう一部分合った人はいたと思います。
ただ、これからトップとして一緒に常にいるにはどこか足りない…なんて思っていました。
そこで唯一、技術的にあうというより全体的な雰囲気、バランスで礼真琴さんにあうと思ったのが、音波みのりさんでした。
音波みのりさんは礼真琴さんより上級生です。
しかし学年が上なのに、それを感じさせない娘役芸がしっかりあった娘役だと思います。
役によって、上級生としてしっかり張り合いながらも、娘役として邪魔をしない部分があったり、慈愛に満ちたように包み込む優しさがあったり、守ってあげたいと思わせる可愛さがあったり、礼真琴さんをそっと包み込み、その時々によって強さを変えているような娘役としての立場を上手くコントロールできる人なのだと思います。
礼真琴さんが音波みのりさんを見つめる眼差しが、とても印象に残っています。
礼真琴さんはなんでも出来るからこそ、同じベクトルで動ける人でないと一人で突出して見えることがありました。
しかし、音波みのりさんと組む時はそんなことは一切感じず、必ず2人の世界を作り上げていたように見えました。
きちんと向き合ってその場のお互いの空気を感じて舞台を作り上げているように思いました。
音波みのりさんについて総括
上級生になっても、その貫禄だけでない、娘役として大切な品の良さ・いつも綺麗にいること・組む男役に合わす技量を持った貴重な娘役だと思います。
他の上級生の娘役とは違うところは、上級生になっても良い意味で変わらないビジュアル部分で新鮮に可愛い・綺麗と思えるところです。
退団する最後まで娘役・音波みのりさんの活躍に目が離せません!