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上田久美子先生宝塚退団に思うこと

宝塚歌劇団演出家

宝塚歌劇団で美しい作品と言えば思い浮かべる方も多かったであろう演出家・脚本家であられる上田久美子先生のご退団。

毎度発表されるタカラジェンヌさん達の退団発表もダメージがかなり大きいものですが、それと同じくらいの大打撃を感じた方も多かったのではないでしょうか…。

タカラジェンヌさんとは違うので基本的に演出家・脚本家の先生達の退団は事後報告が常です。

その為退団されたのは2022年3月31日でしたが、その事実が明るみに出たのは当日でもなく事前でもなく…。

もう本当に辛くて仕方がない事実でした。

上田久美子先生と言えば大劇場デビュー作である雪組公演『星逢一夜』では哀しくも美しくそしてとにかく「あの時あそこであぁしていれば…」なんていう仮説が成り立たないくらい緻密に計算されつくした世界観で大きな話題を飛びました。

その他にも元花組トップ娘役である花乃まりあさん退団公演である『金色の砂漠』ではまさかの当時トップであった明日海りおさんが奴隷役を努めるというこれまでにない役どころというポイントでも我々は驚かされました。

そしてなにより宝塚で唯一上田先生が手掛けられたレビューである『BADDY-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』では宝塚歌劇団にある長い歴史の中で確立されていたレビューというものを引き継ぎながらも新しいスタイルを見せつけてくださりその際に受けた衝撃は未だに忘れられずにいます。

そんな上田先生がご退団…。

悲しく辛い事実ではありますが、既に嬉しいニュースも舞い込んでいます。

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上田先生による新演出でイタリアオペラ『道化師』『カヴァレリア・ルスティカーナ』の2作品が上演

それが上田先生による新演出でイタリアオペラ『道化師』『カヴァレリア・ルスティカーナ』の2作品が上演されるというもの。

上演は全てイタリア語で行なわれ、日本語と英語の字幕がつくという情報は今のところ出ているようです。

これまで様々な作品を手掛けてこられた上田先生ではありますが、オペラの演出は初めてということ。

上田先生にとって初めての試みということですが、これまでの実績を見てみると安心感しかないので不思議ですよね。

東京公演と愛知公演があるとのことですので是非タイミングが合う方は行かれてみてください!

しかしこの上田先生の退団で改めて考えさせられたのが可能性です。

もちろん大好きな上田先生の世界観をこれからもずっと宝塚歌劇団の中で観ていきたかったというのは本音ではありますが、それと同じくらいそれ以外のところでも先生の作品を観てみたいというのも事実。

宝塚歌劇団には宝塚歌劇団にしか表現できないものがありますし、未婚女性だけで100年以上続く伝統もありトップ・トップ娘役さんというわかりやすいヒエラルキーもあるという独特の劇団はこれまで多くの人々を魅了し続けてきました。

そこで表現される先生方の世界観というのは美しく儚くそしてなにより宝塚でしか観ることの出来ないものが感じ取れます。

けれどもスミレコードという明文化されていない制限があったり、公演時間や全員女性ということで体格的に不可能な演出があるというのも事実です。

それが外箱になると選択肢がグッと増えて宝塚歌劇団では出来ない世界観というのも生まれます。

上田先生が旅立たれてしまうのは本当に本当に辛いですが、今はそれ以上に上田先生のこれからの可能性を考えるとワクワクする気持ちが上回るというのもあります。

劇団を退団されたからと言ってこれから宝塚歌劇団で演出・脚本を一切関わらないということではありませんので、寂しくはありますがこれからの上田久美子先生の可能性に心から期待を寄せつつ応援させていただきます。