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宙組・ロマンとファンタジー溢れる「アナスタシア」キャスト別感想

宝塚歌劇を楽しもう

宝塚歌劇団宙組の宝塚大劇場公演「アナスタシア」千秋楽をライブ配信で観劇しました。

宙組はあまり縁がない私ですが、「アナスタシア」はとても興味がありました。

こんなご時世でなければ、おそらく東京公演を観劇すると思うのですが、残念ながら増え続けるコロナ感染者のニュースを見ると、東京遠征はあきらめざるをえません。

星風まどかさんが宙組から専科への異動が発表されたこともあり、これは絶対にライブ配信を観るしかないという気持ちになりました。

ライブ配信は本当にありがたいです。

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「アナスタシア伝説」とは?

最初に「アナスタシア伝説」についてお話します。

アナスタシアはロシア帝国ロマノフ家最後の皇帝ロマノフ二世の皇女です。ロシア革命により一家全員が惨殺されたのですが、末娘のアナスタシアが生きているという噂が広まりました。

実際に何人もの女性が「自分はアナスタシアである」と名乗り出ており、20世紀の謎の一つと言われているのが「アナスタシア伝説」です。

ロマノフ一家の惨殺は悲しい現実ですが、もし本当に皇女が難を逃れて生きていたとしたら・・・なんてロマンのある物語でしょう!

「アナスタシア伝説」を元に様々な国で映画やアニメ映画、ドラマ、ミュージカルなどが制作されています。

以前たまたまBS放送でアナスタシア伝説の映画「追想」(1956年)を見たことがありました。

自殺しようとして助けられた記憶のない美しい女性(イングリッド・バーグマン)をアナスタシアに仕立て上げるといったストーリー。

観ているうちに、宝塚グラフに連載されていた漫画を思い出していました。

宝塚で上演された舞台をさいとうちほ先生が漫画にして連載されていた時期がありました。

1981年に上演された雪組の「彷徨のレクイエム」を漫画にしたものだったようです。

その「彷徨のレクイエム」は、最近スカイステージで放送されていました。

麻実れいさん遥くららさんのトップコンビの時代の作品でした。

その麻実れいさんが日本版ミュージカルでマリア皇太后役をされたのは偶然とも思えない巡り合わせですね。

前置きが長くなりました。ここからは観劇の感想です。

素晴らしいセット・舞台装置・映像、そしてファンタジーな音楽

さすがブロードウェイミュージカルはスケールが大きいです。

緞帳が上がると「ANASTASIA」の文字と雪の結晶が舞う映像が浮かび上がり、大変美しく冬のロシアへと誘われます。

色を抑えたセットや背景が美しくさらに映像が効果的に使用されて、物語の世界観が見事に再現されていました。

一幕終わりに森の向こうにパリが見えてくる映像は、観ている私もパリに着いた!という高揚感がわいてきました。

さらに音楽が素晴らしくて、ファンタジー溢れる感じがディズニーかと思いました。

調べてみたらディズニーではありませんでした。

素敵な楽曲ばかりで、バックに流れる音楽も素晴らしかったです。

歌が多い!!

とにかく歌が多いです!

真風涼帆さんがこんなに歌っているのを見たことがない!
(宙組に縁がないくせにこんなこと書いてますが、実際はどうでしょう?)

真風さんはとてもていねいに歌っていらっしゃって、高音も危なげない。

歌詞が聞きやすい歌声でした。

星風まどかさんはヒロインらしい声と歌唱で、素晴らしかったです。

主要キャストの方みなさんたくさん歌う場面があります。

一番心に残ったのは、駅の場面でのアカペラの曲でしょうか。

宙組の皆さんのコーラスの素晴らしさに感動しました。

ていねいに心情が描かれている

最近、壮大な物語を1時間半に詰め込んでスピーディ過ぎる展開の公演を観ていたせいか、ていねいに心情が描かれているなぁ!とつくづく思いました。

長い物語なら一本物がいいですね。

主人公ディミトリとアーニャの場面が多く、お互いに次第に惹かれていく様子、アーニャが本物のアナスタシアでは…と感じていく様子がていねいに描かれています。

印象的な二人の場面は、子供の頃ロマノフ一家の馬車のパレードの思い出をディミトリが歌い、それを聞いてその日のことを思い出してアーニャが歌う場面でした。

キャストについて

真風さんは詐欺師役ですが、だますところもかっこよくてあまり悪い人感がありません。

生きるためには詐欺や闇の仕事をするしかなかったけれど、本当は純真な心を持っている、そんなさわやかさがありました。

星風さんはこの舞台を最後に専科に異動ということもあり、最初に登場したと同時に大変大きな拍手が起こりました。

宙組ファンのみなさまからのまどかちゃんへの愛を感じました。

アーニャ役はまどかちゃんにピッタリな役。

記憶を失い身寄りもない孤独な娘ですが、明るくたくましいアーニャを生き生きと演じていらっしゃいました。

二番手スターの芹香斗亜さんが演じたのは、ボリシェビキのグレブ。

このミュージカルの中では一番の悪役です。

ゾクッとするほどの冷たい目をしていますが、アーニャには特別な感情を持っていると思われます。

難しい役ですが、芹香さんは見事に演じられて、ソロ曲の歌唱は大変素晴らしかったです。

トップコンビの出番が多いのですが、それと同じくらい出ているのがヴラド役の桜木みなとさんです。

ディミトリとアーニャとそしてヴラドの3人の場面が多いのです。

ヴラドはディミトリのよき相棒であり、アーニャを皇女に仕立て上げる場面、パリへ旅をする場面など3人が中心となってストーリーが展開していきます。

ヴラドは公式HPによると「落ちぶれ貴族」とあり、セリフから想像するに、落ちぶれ貴族であるがかつてはロシアの社交界に入り込み貴族の婦人と恋を楽しんでいたらしい。

眼鏡をかけて、ひげをはやしていて、軽くて明るくて憎めないおじさんでした。

男役スターの和希そらさんは、今回は女役でマリア皇太后の侍女リリー役。

歌とダンスのシーンがあり、まるでショーダンサーみたいな衣装で歌い踊るのでびっくりしました。

皇太后の侍女ですよね?と思わず突っ込まずにはいられませんが、歌もダンスも素晴らしかったので、そこは目をつぶって歌とダンスを楽しみましょう。

マリア皇太后の組長寿つかささんは、まさにおばあさまの貫禄と品があり適役でした。

主な役はこれくらいで、役が少ないのがとても残念です。

この舞台から宙組生となった紫藤りゅうさん、潤花さんも複数の役をされていました。

そんな中でも、パリでのバレエの場面でロッドバルト役を演じた優希しおんさんの踊りが大変すばらしくて印象に残りました。

ライブ配信を観て、ますます東京公演が観たくなってしまいました。

コロナ肺炎感染者数が増え続けるこの頃、不安が大きくなるばかりですが、どうか感染が落ち着いて無事に東京公演が上演されることを心から願っています。