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花組若手の活躍が見れたバウ「PRINCE OF ROSES」観劇レポ

宝塚歌劇についての雑記

宝塚歌劇団花組バウホール公演「PRINCE OF ROSES -王冠に導かれし男-」が今年の1月と2月にかけて上演されました。

主演は期待の若手男役である聖乃あすかさんでした。

100期生以降でのバウホール主演の先駆けとして上演された「PRINCE OF ROSES」についての感想を書きたいと思います。

この作品は聖乃さんのバウ初主演でもありますが、作・演出を手掛けた竹田悠一郎先生にとっても、デビュー作であり、若手のために作られたバウホールにふさわしい作品になっていました。

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「PRINCE OF ROSES」

 ランカスター家とヨーク家が争った薔薇戦争を扱い、その中でランカスター家を勝利に導き、テューダー朝の祖となったヘンリー・テューダーの生き様を描いています。

 リチャード3世はキャラクターにインパクトがあって有名で、よく上演されているのですが、後にヘンリー7世となるヘンリー・テューダーはあまりよく知られていないのではないでしょうか。

 主人公・ヘンリー(聖乃あすかさん)はランカスター家(赤薔薇)の血を引き、母はマーガレット・ボーフォート(春妃うららさん)です。父親は生まれる前に亡くなっており、おじであるジャスパー・テューダー(高翔みず希さん)のもとで育ちます。

 ヨーク家(白薔薇)とは長い間対立していて、後にリチャード3世になるグロスター公(優波慧さん)との抗争を中心に進みます。

 はじめにヘンリー6世(冴月瑠那さん)が王位につき、そこでジャスパーに連れられ、王に謁見したヘンリーは凛々しく、皆に「王冠を戴く男」という印象を抱かせます。

 しかし、すぐにヨーク家のエドワード4世(羽立光来さん)が王位につくことにより、ヘンリーは亡命することになってしまいます。

 ここへトマス・スタンリー(一之瀬航季さん)や、その弟のウィリアム・スタンリー(芹尚英さん)、ヘンリー・スタッフォード(希波らいとさん)などがこの薔薇戦争に巻き込まれていきます。

 また、アン・ネヴィル(美羽愛さん)、イザベル(星空美咲さん)といった女性陣も運命に翻弄されます。

 実際の歴史の話なので、結末はわかっていますが、どうやって勝利へと導くのか興味深く見入りました。

聖乃あすか(100期)

聖乃あすかさん演じるヘンリーは勇敢ですが心優しくて力だけではなく、皆の心をつかみ、一つになってランカスター家を勝利へと導いてイングランドの平和をもたらす姿がとても清々しかったです。

途中、裏切られたり苦悩しながらも何があっても正しい道へと突き進み、王冠を戴くべき男として成長していく様子が聖乃さんと重なりました。

新人公演の主演も数多く務め、「花より男子」の花沢類や「はいからさんが通る」の蘭丸など大役を担っているので見ていて安心感がありつつ、若手ならではの伸びやかさも印象的。

 このコロナ禍で新人公演が行えない中ですので、この若手中心のバウホール公演は、下級生達にとって実力を発揮して、観客に成長ぶりを届ける良い場だと思いました。

その意味で、若手を中心に感想を述べたいと思います。

星空美咲(105期)

イザベルを演じた星空さんは、最初はフランス国王の使者ということで、本当は何か目的が?と思いミステリアスでしたがヘンリーと心通わせるところなど可憐で似合っていました。

ヒロインの位置付けですが流石にまだ少し硬いかな、という印象が。

元・トップ娘役の愛希れいかさんに似ていると評判になっていて注目度が高い娘役で、華やかで綺麗に歌えていましたし、伸びしろを感じました。

美羽愛(104期)

アン・ネヴィル役の美羽愛さんはリチャード3世の妻となる人物。

生きるためなら、と自分の心を閉じ込めて嫁ぎ、子供が亡くなっても夫に話を聞いてもらえない不幸さを漂わせますが、実のところ芯が強いというのが伝わりました。

Wヒロインといってもいい重要度で、演技が上手く、今後どういった娘役になるのか目が離せません。

希波らいと(103期)

ヘンリー・スタッフォード役の希波さんは、同じヘンリーの名を持ち、行動を共にしますが、唆されて野心を抱く姿が哀れで人間臭かったです。

一之瀬航季(100期)

トマス・スタンリー役の一之瀬さんは、ヘンリーの仲間なのか、敵なのか、弟さえもその意向がわからないような腹の内が見えない役を好演。

髭姿も似合い、どっしりとしていました。

本来ならば「はいからさん~」で新人公演の主演をしていたはずですが、その存在感のすごさに目を見張りました。

新人公演再開の際には主演として見たいです。

芹尚英(101期)

ウィリアム・スタンリー役の芹尚さんはすっきりとした立ち姿で、台詞の口跡も良く、将来が楽しみな男役の一人。

他にもリチャード・グレイ役の翼杏寿さんやトマス・グレイ役の海叶あさひさんも、よく演じていました。

もちろん、トップスター中心の作品に比べて実力はまだまだですが、皆にスポットライトが当たり、こうやって重要な役を演じてこそ成長すると実感。

そして、王になるまでの物語が主演の聖乃さんにオーバーラップして、少人数で若手中心の作品ならではの輝きが感じられ、花組の今後につながる期待が感じられた公演でした。

これからの花組公演は

花組は、4月から(2021年4月2日(金)~5月10日(月))の宝塚大劇場公演『アウグストゥス-尊厳ある者-』『Cool Beast!!』というお芝居とショーの二本立ての公演が始まります。

初舞台を終え、花組に配属されていた106期生も卒業から1年経ってやっとこの公演から参加になります。

上級生に一生懸命ついていく花組下級生さんたちの姿を楽しみにしています。