時が過ぎるのはあまりにも早く、今年もあっという間に年末を迎えました。
今年もお披露目公演やサヨナラ公演など宝塚ファンにとっても忙しい1年でした。
やはりコロナの脅威に立ち向かうには演劇界もまだまだ難しいようで残念ながら途中ストップとなった公演などもありましたが、2022年も宝塚は本当にたくさんの夢と愛を見させてくれました。
そこで今回は2022年の振り返りとして特に思い出に残った公演についてお話していきたいと思います。
個人的ベスト・オブ・大劇場作品
宙組「HIGH &LOW」
正直1作品に絞るとなると、月組のロマ劇も映画の雰囲気を上手く舞台で表現させていて素敵でしたし、雪組の蒼穹の昴もよくぞあれだけ分厚い小説を3時間の舞台によくぞまとめたなと感心するほどの大作でした。
ただ、今回は総合評価として宙組の「HIGH &LOW」こと通称ヅカローに決定させて頂きます。
今までも宝塚は、舞台化の想像が一切つかないと言わんばかりの作品を舞台化し成功を収めている訳ですが、そんな安心安全百発百中の宝塚の舞台化であってもハイローだけは正直かなりの不安要素が初日前までありました。
まず原作ではコブラ役に恋愛要素がないことから、恋愛展開不可欠の宝塚においてどのようにオリジナルキャラを絡ませてくるんだ?という不安や、オリキャラまで作って原作にはない恋愛展開を進めるなんて流石に原作ファンから怒られない?など。
あとは、現代を題材とした宝塚作品でたまにあることですがセリフになぜか若者用語などを取り入れていて返ってダサくなってしまい客席に冷たい空気が漂うなんてことを心配しておりました。
しかし幕が開けば、そんな心配は全くしなくて良かったと思うほど原作のリスペクトは決して忘れずにいながらも、唯一無二の宝塚版としてヅカローが存在していたことが宝塚って本当にすごいなと、ありきたりな表現になってしまいますが改めて感心致しました。
個人的ベスト・オブ・小劇場作品
花組「TOP HAT」宙組「カルトワイン」
どうしても1作品に絞ることができなかったので、2作品ともあげさせて頂きます。
まずは花組「TOP HAT」。
こちらは初演は朝夏さん主演があるので再演ものとなりますが、この作品は柚香さんにとっての代表作となるのではないでしょうか。
観た方の評価などでも「宝塚界のフレッドアステアだ」との声が多く上がっていましたがみなさんの仰る通り、タップダンスや動きの一つ一つに柚香さんの”男役としての才能”と”血の滲むような努力”が感じられました。
そしてそんな柚香さんに食らいつくように花組の団結力で宝塚の枠を超えたようなブロードウェイミュージカルを日本で見せてもらったなと思えるような作品に仕上がっておりました。
そして「カルトワイン」。
「夢千鳥」で見事な演出家デビューを果たした栗田先生の2作目ですが、”テーマ”、”ストーリー”、”舞台構成”、”舞台美術”、もっとたくさんありますが全てにおいてハナマルでした。
わかりやすく感想を一言で述べるとすると、”例えこれが宝塚の作品ではなくて好きなジェンヌさんが誰ひとり出ていなかったとしても最初から最後まで楽しめる上質な作品”です。
宝塚観劇後に「良い宝塚を浴びたな~」と感じることは多いのですが「上質な作品だ~」という感想がカルトワイン観劇後にまず出てきました。
宝塚の作品って悲恋物、tragedy作品の名作は多いと思いますし、明るくて”陽”な作品、コメディ寄りの作品でも名作はいくつか思い当たります。
ただ、陽な作品ほどトンチンカンなセリフやトンチンカンな展開があったりで、”上質な舞台”とまでの評価には結びつかないなと感じたことが今までにありました。
そんな中で”陽な作品”であるカルトワインには、セリフや展開にもアレ?と感じることは途中一切もなく本当に最初から最後まで”上質”だったことにひたすら感心し、栗田先生のこれからのご活躍の期待がより一層膨らみました。
いかがでしたでしょうか。
今回は2022年の振り返りとして特に思い出に残った公演について3作品をあげさせて頂きました。
2023年は宝塚110周年を目前に控えた109周年目の年となります。
ここからますます宝塚を盛り上げていくためにも一ファンとして来年も観劇三昧で宝塚を目一杯楽しみたいと思います!!!