宝塚歌劇団の組織で他にはない制度であり、この上ない魅力的なもの、それは〝トップコンビ〟という存在です。
この二人を中心に舞台が進行し、ラストフィナーレで息の合ったトップコンビのデュエットダンスというものは宝塚歌劇でしか見ることが叶わない最大の醍醐味と言ってしまっても過言ではないほどの名物です。
トップコンビの雰囲気でその組のカラーが決まってしまう程大きな影響力のある存在。
トップコンビ
そして時代と共に移りゆくトップコンビの顔並び。
今まで数えきれない程にたくさんの魅力的なトップコンビに出会いました。
年齢的にも精神的にもしっかりと大人になり包容力が溢れた男役トップスターと
まだ若く未知数で可能性をたくさん秘めた原石のような娘役トップスター。
多くのコンビはこのような感じの組み合わせで成り立っています。
まぁ、この並びが一番バランスが取れてちょうど良かったりします。
先輩と後輩でありながら本物の恋人同士、夫婦のような関係。
女の子二人が築き上げる何物にも変え難い絆があまりにも尊く熱く美しくて時折涙が出てしまいそうになります。
素敵な男役トップスターに見守られながらひよこのように右も左もわからない未熟な娘役が〝トップ娘役〟という大きな責務を背負った瞬間に秘められた能力を思いがけないスピードで開花させ公演ごとに洗練され魅力的な女性に七変化していくその成長過程もまた大きな魅力の一つとなります。
いろんな意見があるかと思いますが、トップスターという立場や責任、場数が与える思いもよらぬエネルギーが存在するので、出来るならば早期で長い年月をかけて就任して頂きたいなぁと個人的には感じています。
それではトップスターに選ばれる人が減ってしまうではないかという声もありますが、そのくらいに選ばれし王者だと思っています。
誰も追いつくことが出来ない程の生まれ持ったスターを若い時からじっくり大切に育てて、まだ青さの残った状態で就任させほしいのが本音なところです。
そして…トップコンビといえば、同時就任同時退団こそ夢問題です。
大好きなコンビは絶対に二人で一緒に卒業して欲しい…これはきっとコンビファンならば誰しもが思い描く夢です。
私は幾度となくその夢を破り捨てられました。
自分の好きな女の子と女の子が別々の人生を歩み、別の女の子と一緒になることへの謎の苦しさ。
まるで失恋でもしたかのような。
コレは宝塚ファンでないと全く理解して頂けない問題なのですが想像以上に辛い案件であります。
それでも不思議なのです。
最初は目を背けていても、結局は誰と誰が組んでも、その二人にしか描くことが出来ない夢があり、愛があり、結局二人が築き上げる世界があまりに尊くて最終的には好きになってしまうのです。
トップコンビは相手が変わると全くのゼロスタートとなります。
相手が変わることでこんなにも変わってしまうものなのかと驚かされます。
しかし気付けばその新しい魅力の虜になってしまっているのです。
二人で仲良く卒業していくサヨナラショーを観ると、これこそが理想的と思いながらも大事な相手役の卒業を隣りで見守るというのも何とも言い難い熱い想いが込み上げるものです。
男役トップスターを見送る娘役トップスターの包容力、相手役から自分自身がバトンを渡されたような勇ましさと格好良さがあります。
逆に娘役トップスターを見送る男役トップスターは優しく、その日だけは自分の0番の位置を相手役に委ね、最大の愛情と尊敬の念を持ってお姫様として讃え見守る姿勢に涙が溢れてしまいます。
そして稀に起こる星風まどかちゃんのような他組へのスライド異動。
複雑な人事異動に各々のコンビファンが各々の苦しい思いを抱えながらの日々を送ったことでしょう。
しかし今となれば結局良かったのだと思わせてくれるのは、両トップコンビの努力の賜物だと感じます。
〝パートナー〟という言葉に正解はありませんが、トップコンビを見る度にこれがパートナーの模範回答であり正解に違いないと感じるのです。
お互いがお互いのために切磋琢磨し、良い意味で利用し合い成長していく。
お互いに寄り添いながらも自分自身のアイデンティティは失うことなく何があろうと屈しない。
だからこそ客観的に自分と相手役を切り離して考えていられるような冷静さを見受けると、ファンである自分も同じように解釈しなければいけないと奮い立たされます。
トップコンビで好きになってしまうと出会さずにはいられない大きな壁ではありますが、二人を一つで見るのではなく、各々のスター人生を理解し、その上で二人の化学反応を楽しみ宝塚ファンとしてこれからも邁進してゆこうと思います。
結局のところやっぱりトップコンビはいつの時代も最強なのです。