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柚香光の繊細な表現力。「二人だけの戦場」観劇レビュー

宝塚歌劇を楽しもう

一方永久輝せあさん演じるクリフォード・テリジェンは没落貴族の三男坊なので(エリートではないので?)柚香さんと同じ辺境の地、コルスタに配属されます。

産まれた家によって身分が違う事があからさまなあたりが、明治〜昭和の軍のようです。

バウホールで聖乃あすかさん主演で「舞姫」が上演されましたが、士官学校、配属、上下関係といった世界観がなんとなくシンクロしますね。

初演とほぼセリフも同じということですが、キャスティングもお一人お一人の個性が活かされていて、29年ぶりの再演とは思えないフレッシュな作品でした。

恋愛と友情が、戦争という人の命が常に危険にさらされる状況の中でキラキラと浮かび上がるような舞台です。

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柚香光さんの繊細な心情表現と主人公の成長が細やかで素晴らしい 

柚香光さんが士官学校卒業から事件が起こるまでに、場面ごとに人としての経験値を重ねていく様子が、声がちょっとずつ低くなったり動作に重みが出てきたりして表現されていました。

ずっと軍服姿が美しかってのはいうまでもありません。

全方位応援したくなる星風まどかさんのライラ

星風まどかさんは過去3作品は「巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜」「フィレンツェに燃える」「うたかたの恋」と不倫だったり悪女だったりと現代女性としても100%共感できるとは言い切れないお役が続いていましたが、今回のライラは旅芸人をしている娘ということで、荒い言葉使いながらも広い大地で生きている伸びやかさと強さが素晴でした。

もうシンクレアが一目惚れするのも納得の可愛さでした。

柚香光さんと永久輝せあさんの友情

柚香光さんと永久輝せあさんの白い軍服と黒のレザーコートの並びが本当に麗しかったです。

テリジェンはシンクレアが告訴されても弁護人を務め情状酌量を必死に求めます。

柚香光さんと永久輝せあさんの歌のハモりと重なり友情の深さを感じました。

専科の凛城きらさんと高翔みず希さん、花組航琉ひびきさんの芝居があってこそ

この物語は架空の国ですが戦争中という状況設定です。

戦争中の生きるか死ぬか、仲間達の命はどうなるかという緊張した場面がお三方によって組まれ、その中でシンクレア、ライラ、テリジェン、アルヴァという若者の生き様が浮かび上がりました。

羽立光来さん

髭のイケおじのビックさんこと羽立光来さんの髭がワイルドで役柄にすごくマッチしていてめちゃカッコいいです。

髭のビックさんをまた観たいです。

峰果 とわさん

 「殉情」利太郎役の金持ち坊ちゃんの強烈なイメージがあったので、今回も感情豊かなお役かと思いましたが、びっくりするほど冷静で個を消した検事役でした。結果としてストーリーテラーとして完璧でした。

野生味がギラギラしていた希波らいとさん

前回「うたかたの恋」新人公演主演の希波らいとさんはルコスタ州の議長シュトロゼック(高翔みず希さん)の息子でライラ(星風まどかさん)の兄、アルヴァを演じています。

若くて祖国の独立を願う若者ですが、大国のエリート一家出身で洗練されたシンクレア(柚香光さん)に対して粗々しく粗野な部分が鈍色のナイフのようにギラギラ光っていました。

裁判?回想?という構成に理解がついていくだろうかと心配でしたが観劇してみると、その構成によってストーリーがすんなり理解できることに感動しました。

登場人物それぞれの行動と人物像が理解しやすく、あまりクズっぽいキャラもなく(?)今後も色々なタカラジェンヌさんでも観てみたいと思える素晴らしい作品でした。ライター・さんなん