オミクロン株の感染者数はなかなか一気に減っていかない状況ですが、宝塚もようやく公演中止を解かれて各組が幕を開けられるようになりました。
雪組も全公演が中止になってしまった『オデッセイ』の仕切り直しが発表されたり、雪組生となった和希そら(かずき そら)さんの主演作品『心中・恋の大和路』が発表されたりで、楽しみなニュースが増えてきました。
雪組は現在、次の本公演『夢介千両みやげ/Sensational!』へ向けてのお稽古中のようです。
和希さんを迎えてのようやくの演目、『夢介千両みやげ』の初日に向けて期待感を高めるため、一緒に予習をしていきましょう!
【山手樹一郎】日本人にはお馴染みの原作者
劇団の公式ホームページにある前情報ですと、『夢介千両みやげ』は原作となっている小説があるようです。
その作者は「山手 樹一郎」。
あまり聞いたことがない名前だな…と思っている方も多いと思いますが、代表作を聞けば誰でも知っている有名な作品の原作者。
日本人にはお馴染み、『遠山の金さん』『桃太郎侍』の原作者です!
どちらも分かりやすい勧善懲悪モノですね。
最後には絶対に悪人がお決まりのパターンで成敗されると分かっていても、その予定調和がたまらなく爽快な名作です。
日本を代表する小説家といえば太宰治や夏目漱石など、読むのが難しい「純文学」というジャンルが確立されていましたが、もっと庶民にも読みやすく分かりやすい小説をということで、勧善懲悪のハッピーエンド作品を主に執筆された先生です。
あらすじを知れば知るほど雪組にピッタリな作品
雪組トップスターの彩風咲奈(あやかぜ さきな)さんは脚が長くて現代的な魅力のあるスターさんなので、「う~ん、和モノか…」と思ったヅカファンも多かったかもしれません。
しかし、『夢介千両みやげ』の登場人物を知れば知るほど、「よく今の雪組で『夢介千両みやげ』をやろうと思いついたなあ!さすが!!」と唸ってしまいます。
登場人物の役柄を知ると「ああ、ピッタリ!!」と思うことうけあいなので、ここでは、登場人物の紹介をあらすじに代えてご紹介していきたいと思います。
夢介(彩風咲奈さん)
田舎百姓の息子。
父親から「都会で遊んで一人前の男になってこい!」と千両ものお小遣いをもらい、のんきに江戸に遊びに来たお人好しです。
ちなみに千両を現在の貨幣価値に換算すると…1億5千万円くらいです(笑)
息子の東京見物のためにそんなにお小遣いを渡すなんて、とんでもない親ですね(笑)
「田舎豪族のボンボン」で、ぼんやりしていて人を疑ったり怒ったりすることがなく、一見鈍感な青年です。
ゆえに江戸のいろいろな悪党からカモとして利用されますが、あまりに動じないため、夢介を気に入って仲良くなっていく悪党もたくさんいます。
その中の筆頭が、朝月希和(あさづき きわ)さん演じる「お銀」になります。
一見ぼさっとした優男に見えますが、実はとんでもなく喧嘩が強いという超かっこいいギャップもあります!
男性作家が書いた勧善懲悪モノなのに、この役柄設定は少女漫画のヒーローっぽいですよね。
そのあたりが宝塚にマッチしたのだろうと思います。
お銀(朝月希和さん)
主にスリ、詐欺などで生計を立てているワルイ女です!
夢介を見た途端に「ちょうどいいカモだ」と思って見事に千両を盗んでみせますが、その悪巧みは実は夢介に既に見破られていました。
今まで色仕掛けでたくさんの男を騙してきたのに、夢介には色仕掛けが一切通じないところにかえってコロッといってしまい、ベタ惚れしてしまいます。
どうにか夢介の奥さんになりたくて、夢介を好いている女性陣を敵視して遠ざけたり、悪の道から足を洗おうと努力したり。
このあたりも少女漫画のお転婆ヒロインっぽいですね。
前回の『シティーハンター』でも男勝りな香を好演していた朝月さんにピッタリの役柄のように思います。
伊勢屋 総太郎(朝美 絢さん)
江戸の金持ちのバカ息子ってところでしょうか(笑)
女遊びに明け暮れていて、江戸にやってきた夢介にいろいろなワルイ遊びを教えます。
自分の遊びのお金を夢介に出してもらったくせに、夢介が困っているときに手を貸さないという薄情な奴ではありますが、鈍感で人の良い夢介とは相性が良く、なんだかんだと親友のような関係になります。
女好きの色男ということで女絡みのトラブルをたくさん起こし、夢介やお銀にいつも助けられています。
三太(和希そらさん)
お銀(朝月さん)の子分的なスリ少年。
和希さんは宙組での『オーシャンズ11』でもスリ少年を演じましたが、ほぼ同じような役どころですね(笑)
スリという悪いことを稼業にしていますが、それは根っからの悪党というわけではなく、事情があってしていること。
根は悪い人間ではなく、夢介の人の良さに影響されて三太も悪の道から足を洗っていきます。
朝月さんと和希さんは同期生になりますので、初舞台以来の共演となる2人の掛け合いにも注目です!
彩風・朝月・朝美体制だからこその作品『夢介千両みやげ』
本当はもっともっとたくさんの魅力的な登場人物がいますが、文字数の関係で残念ながらここまでにしておきます。
芝居巧者の上級生にしかできないような難しい役もたくさんあり、発表されている配役を見ると「うわ!ピッタリ!」という感想が出てきます。
彩風さんというショースターがトップの体制ではありますが、やっぱり宝塚の伝統で言えば雪組の真骨頂は和モノ。
和モノ作品の公演は、和モノでの所作やお化粧など、宝塚の和モノならではの文化を下級生に伝えていくという役割もあると思います。
本格的な和モノが初めてとなる和希さんも初めて学ぶことがたくさんありそうですね。
まずは、無事に初日の幕があがりますように!!