宝塚歌劇団花組全国ツアー『フィレンツェに燃える』『Fashionable Empire』
梅田芸術劇場公演を観劇しました。
大阪公演最終日とあって観客も気迫のある拍手で、花組メンバーの方の一体感も伝わって来て、やっぱり花組サイコー!となり帰ってきました。
「フィレンツェに燃える」は47年ぶりの再演ということで、映像は残っていないそうです。
初演時の作・演出の柴田侑宏先生は2019年にお亡くなりになられたので、今作は大野拓史先生が上演台本を頼りに作り上げられた作品です。
大野先生が公演プログラムに書かれているように、青年演出家柴田侑宏先生の熱さと青さを感じられる作品でした。
どこまでも貴公子柚香光さん
主人公のアントニオ演じる柚香光さんは髭をたくわえて落ち着いた風貌なのに、悪女と言われるパメラにあっという間に恋してしまいます。
柚香さんは、女慣れしていない育ちのいいお兄ちゃんを見事に演じられていました。
とにかく女性の手を取る時の紳士的な仕草は、まさに貴公子柚香光です。
手を直接取るのではなく、肘の辺りからすっと支える感じで手を取られるのです。
この繊細な動きが本当にノーブルで、かっこいいです。
人生何回経験した?という星風まどかさんの熟した演技
星風まどかさん演じるパメラは未亡人ということで、黒いドレスで皆の前に登場しますが、わざと酒場の歌姫時代の(貴族から見ると)下品な歌を披露し露悪的に振る舞い、強がって見せます。
メイクからも「色々乗り越えて来ました」感が溢れていました。
アントニオに見せる哀しみや純粋さも残るパメラも本当だし、レオナルドやオテロに見せる打算的でくだけた喋り方をするパメラも本当なんだろうなと思わせる説得力がありました。
星空美咲さんの瑞々しさ!
そして何と言っても、星空美咲さん演じるアンジェラの可愛いこと!アンジェラはアントニオの幼馴染で、アントニオがパメラに恋をすることで急に気になるという若い子にありがちな恋のおち方が妙にリアルでした。
弾むようなパッション、パメラへの嫉妬、傷ついたアントニオを支えるという恋をすることであっという間に、器の大きな女性に成長する魅力的なアンジェラが心に刺さりました。
永久輝せあさんの「いい子だ」がなんとも…
永久輝せあさん演じるオテロはパメラの元恋人ですが、パメラはすっかり忘れているのに愛憎を持ち続けて追いかけてくる粘着質な役柄です。
そんなオテロの今の恋人マチルドは咲乃美音さんが演じられています。
どこまでも追いかけてくるマチルドをなだめるシーンがあり、これ以上ない艶っぽい声で「いい子だ」っておっしゃるのです。
本当にやばいです!その部分だけCDにして売ってもらいたいです。
最後の高翔みず希さんのシーンが素晴らしい
舞台の最後にイタリア統一運動に旅立つレオナルドとの別れのシーンがありますが、貴族という立場から統一運動に加わるというのは身を滅ぼすかもしれない危険な行為ですが、高翔みず希さん演じるバルタザール侯爵はレオナルドを励まして送り出します。
時代の流れに逆らえないと思ってあきらめているのか、純粋に息子の進む道を応援するのか、どちらとも解釈でき余韻が残りました。
高翔みず希さんの落ち着いた演技でお芝居に何層も深みが出て終わった気がします。
より濃密になった『Fashionable Empire』
ショーの方は全国ツアーらしくご当地ネタや大阪弁が織り込まれていて、会場がどっと笑いに包まれていました。
星風まどかさんが永久輝せあさんに「私もファッションショーに出てみたい!」おっしゃのですが、永久輝さんは「あかん(ダメの意)」「ウソウソ ええでー」と返すシーンで大阪人の方は心を鷲掴にされたと思います。
オープニングの「come on!」は濃い方に変わっていた気がする
タカラヅカスカイステージの若手演出家特集番組#1で柚香光さんがオープニングのナレーションを録音するシーンがあり、
柚香さんが「これはやり過ぎですか?」稲葉先生「ちょっとやりすぎかな?」って言う場面があったのです。
確証はありませんが、今回の「come on!」はこちらに近い気がしました。
気のせいかもしれませんが…
聖乃あすかさんがミャクミャクさんのうちわを持って登場!
聖乃あすかさんは2025年大阪万博のアンバサダーをされていますが、大阪の地で大阪万博の公式キャラクターのミャクミャクさんが描かれた団扇を持って、青のアフロで登場され、本当に芸が細かいな!と感心しました。
柚香さんは最後の挨拶で、「こんなに大阪弁を勉強した4日間はありませんでした。」と言われていて「ほんまにありがとう!」とカーテンコールの度に聞けて、関西人としてはすごく貴重な機会でした。
このままお元気で全国ツアーの完走をお祈りしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本日、全国ツアー中の花組公演、横浜公演の様子がライブ配信されますので、是非、御覧くださいね!
ライター・さんなん