宝塚歌劇の楽しみのひとつに「役替わり」があります。
同じ作品、同じ役、同じ台詞。
それなのに、演じる人が変わると、まったく違う人物に見えることがありますよね。
現在、宝塚大劇場で上演されている花組『エリザベート-愛と死の輪舞-』でも、そんな役替わりが行われています。
ルドルフを演じるのは、侑輝大弥さんと希波らいとさん。
今回は、この二人のルドルフに注目してみたいと思います。
『エリザベート』のルドルフは、短い登場時間でも心に残る役
『エリザベート』でルドルフが登場するのは、物語の後半。
オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフとエリザベートの息子として生まれたルドルフは、皇太子という立場にありながら、孤独や葛藤を抱える人物です。
父親との政治的な対立。
母親の愛を求める気持ち。
そして、死の象徴であるトートとの関係。
ルドルフは、さまざまな感情を抱えながら物語の中を生きています。
特に、トートと歌う「闇が広がる」は、『エリザベート』を代表する名場面のひとつ。
ルドルフの心が揺れ動く様子が、歌とダンスを通して表現されます。
登場時間だけでは語れない、強い印象を残す役ですね。
侑輝大弥さんと希波らいとさん、二つのルドルフ
今回の花組公演では、侑輝大弥さんと希波らいとさんがルドルフを役替わりで演じています。
10月17日の初日から18日までは侑輝さん。
10月20日から25日までは希波さん。
そして10月27日から、再び侑輝さんがルドルフを演じています。
同じ作品の中で、二人のルドルフを楽しめるのはうれしいですね。
二人のルドルフの違いを楽しむ
希波らいとさんのルドルフについて、生命力や意志の強さを感じ、希波さんのルドルフについて、反逆者としての自覚や国を思う気持ち、孤独と葛藤が伝わってくる。
一方、侑輝大弥さんのルドルフには、儚さやトートとの関係性に独特の魅力を感じ、母親への愛を求める純粋さが印象的。
どちらが優れているということではなく、それぞれに違う魅力がある。
「闇が広がる」は、トートとの関係にも注目
今回のトートを演じるのは、花組トップスターの永久輝せあさんです。
トートとルドルフが向き合う「闇が広がる」は、二人の関係性が色濃く表れる場面。
同じトートであっても、相手となるルドルフが変われば、二人の間に生まれる空気も違って見えるかもしれません。
ルドルフは、トートに救いを求めているのか。
それとも、自分の理想を実現するために、トートの力に引き寄せられていくのか。
観る人によって、さまざまな解釈が生まれそうです。
侑輝さんと希波さん、それぞれのルドルフに対して、永久輝さんのトートがどのように向き合うのか。
そんな視点で観劇するのも楽しそうですね。
少年ルドルフから青年ルドルフへのつながりも見どころ
そして、今回もうひとつ注目したいのが、少年ルドルフです。
花組公演で少年ルドルフを演じているのは、彩葉ゆめさん。
少年時代のルドルフから、侑輝さん、希波さんが演じる青年ルドルフへ。
ひとりの人物が成長していく過程を、異なる出演者が表現することになります。
少年時代に感じていた孤独や、母親への思い。
それが青年になって、どのように変化していくのでしょうか。
同じルドルフという人物の人生を、複数の出演者がつないでいく。
そこにも宝塚の舞台ならではの魅力があります。
『NOW ON STAGE』にはWルドルフの二人も出演!
10月27日には、タカラヅカ・スカイ・ステージで花組『エリザベート』の『NOW ON STAGE』が初回放送されました。
出演者は、永久輝せあさん、星空美咲さん、聖乃あすかさん、極美慎さん、侑輝大弥さん、希波らいとさんの6名。
ルドルフを演じる二人がそろって出演しているのも、今回の注目ポイント。
公演の見どころや役づくりへの思いを知ることができる番組として紹介されています。
役替わりがあるから、何度でも観たくなる
宝塚の舞台は、同じ作品を何度観ても、新しい発見があるものです。
前回は主役を中心に観ていたけれど、今回は別の出演者に目がいった。
最初は気づかなかった表情や仕草が、二度目の観劇で印象に残った。
そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
そこに役替わりが加わると、楽しみはさらに広がります。
侑輝大弥さんのルドルフ。
希波らいとさんのルドルフ。
同じ役でも、それぞれの個性が生かされることで、違った人物像が生まれる。
一度観た方が、もう一方のルドルフも観たくなる。
これから観劇する方は、ルドルフの表情やトートとの関係にも注目してみてはいかがでしょうか。


