雪組全国ツアー、『はばたけ黄金の翼よ/MUSIC REVOLUTION!』を川口にて観劇してきました!
今回の演目『はばたけ黄金の翼よ』は、少女漫画原作の再演作品。
中世北イタリアを舞台とした歴史物です。
父を暗殺した敵国の領主ヴィットリオ(望海風斗)に嫁がされることとなったクラリーチェ(真彩希帆)。
冷酷なヴィットリオに、心だけは許さないと憎しみをあらわにしていたクラリーチェですが、彼の隠された愛情に気づき、次第に愛が芽生えていくという王道の少女漫画的ストーリーです。
仇同士ゆえのだいきほのバトル、陰謀渦巻く政治的駆け引き、誘拐・暗殺未遂に拷問シーン……と、手に汗握る緊張感のある場面が続きますが、最後はめでたくハッピーエンド。
「だいもんがやたら死にがち」とバッドエンドの多かった雪組としては、久しぶりに涙なしで観られる演目かもしれませんね。
俺様系ドS、望海風斗
今回のだいもんは俺様系!
野心に溢れる有能な領主で、自信満々、女性に対してもかなーり強引。
「面白い女……」と、乙女ゲームの俺様キャラのようなセリフがよくお似合いです。
『壬生義士伝』での「おもさげながんす」の吉村貫一郎との温度差がすごすぎて風邪をひいてしまいそうです(笑)
声量があり、演技の圧も強いだいもんはこういうオラオラ系の役も似合いますね。
だいきほコンビといえば、誰もが認める歌唱力に裏付けられた本格派ドラマが売り。
それだけに、今回のちょっとレトロな少女漫画的キャラ付けは意外性があって見ていて面白かったです。
しかし、それと同時に舞台を観ていると「だいもんが演じている役」でなく「ヴィットリオ」という人物そのものとして体感できました。
これまでの他の演目でも感じていたことですが、だいもんの演技力の高さ、役に対する作り込みの細かさ(発声や細かい所作まで、相当気を遣っているんだろうなと想像できます)あってのことなのだろうなと思います。
クセの強い役でも、「なんだかいそうだな」という説得力を持ってキャラクターを生き生きと表現する実力には毎回感動します。
正直、この尺の短さでクラリーチェとの間に愛が芽生える過程を描くのは少々強引な感がありましたが……ハッピーだからOK, OK!
魂震わせる歌声と渾身の演技で滝のように涙する観劇体験も良いものですが、やはり宝塚を観ているのだから、幸せな気持ちで幕間を迎えられるのはありがたいものです。
最後の眼帯黒マントはかなりかっこよかったです。
キーヴィジュアルの白×金軍服より全身黒のほうが似合っていると思うのでぜひ見ていただきたい!
あと、策にはまりジュリオ(永久輝せあ)に鞭打たれているシーンは一見の価値あり。
だいもんのハッピーエンドを望みつつも、やっぱり苦しんでいる姿に魅力を感じてしまう……ファンの業ですね(笑)
健気な真彩希帆ちゃんが最高にかわいい!
トップ娘役、真彩希帆が演じるのはヒロインのクラリーチェ。
父親が暗殺され、政略結婚で父の仇であるヴィットリオに嫁ぎます。
そんな境遇ですから、最初はヴィットリオが憎くて憎くて仕方ないものの、次第に支配者としての冷酷な仮面の下に隠された彼の愛情に気付き、命を賭して彼を救います。
王女として、自分の気持ちを犠牲にして政治の道具として利用される人生。
それでもクラリーチェは、自分の道を自分で決めたいと運命に抗おうとします。
可憐さ、純粋さを持ちながらも心の奥に燃えたぎる熱さを持っているキャラクターは、希帆ちゃんによく似合います。
そして、今回のお衣装が希帆ちゃんに最高に似合っていました!
スチール写真で着ている水色のドレスもとってもお似合い。
特に素敵だなあと思ったのが、舞踏会のシーンでの深紅のドレス。装飾が華やかで、ゴージャスながらも可愛らしさがあり観ていてウットリしました。
ヴィットリオを助けるため、髪を切り少年に変装している姿もキュート。
今回は全体的に前髪のある髪型だったので、よりあどけなく愛らしい印象を受けたのかなと思いました。
もちろん、歌声も健在。
ショーありの二本立てということもあり、歌唱シーンはそれほど多くはありませんでしたが、それでも第一声を聴いただけで恋に落ちてしまいそうな透明感のある美しい歌声を十分に堪能することができました。
「蕨音頭」を披露
さて、全ツ恒例の地元出身者紹介。
川口公演では、お隣の蕨市出身の希帆ちゃんが「蕨音頭」を歌っていました!
持ち前の透き通る美声で突如披露された「蕨音頭」。
まさかのサプライズにどよめく客席……レア体験をさせていただきました。
プラチナブロンドのロングがとっても似合う朝美絢
朝美絢は、ヴィットリオの腹心の部下ファルコ役。
ヴィットリオの影として幼い頃から付き従う仲でありながら、為政者が特定の人を愛することは弱さに繋がるからあってはならないと、密かにクラリーチェの命を狙います。
ヴィットリオへの愛憎、自分を殺して国の将来を考える信念の強さ。
影のあるこの役がとても合っていました。
お歌も心なしか更に以前よりパワーアップしたように感じられました。
セクシーな低音ボイスがたまらないですね!
歌ウマのトップコンビと並び立っていても遜色ない実力を身に着けたと思います。
もはや言うまでもないと思いますが、ヴィジュアルの良さはピカイチ!
ストレートロングのブロンドがここまで似合う人がいるでしょうか?
毎回出てきた瞬間に、思わずオペラグラスが自然とあーさの方を向いてしまいました。
こんなに素敵なんだから、もっと写真を出してほしいです(涙)
雪組、やはりさすがの実力
全ツということで、大劇場よりメンバーが少なかった今回の公演。
それでも変わらない満足感がありました。
私は雪組に特別好きな生徒さんがいるわけではないのですが、それでも雪組を観た後は「良いものを見たなあ」という幸福感に包まれて毎度劇場を後にします。
この満足度の高さこそ、雪組人気の理由なのかもしれませんね。
次の大劇場公演『ONCE APON A TIME IN AMERICA』がますます楽しみです!
ライター:ミナミ