宝塚歌劇団・雪組の大劇場お正月公演『fff ―フォルティッシッシモ―』『シルクロード~盗賊と宝石~』。
上田久美子先生が作られる『fff ―フォルティッシッシモ―』は主人公がベートーヴェンということですが、どのようなストーリーになるのか非常に気になりますよね。
この作品でナポレオン役を演じる雪組2番手の彩風咲奈さんは、すでに次期雪組トップスターになることが決定しています。
大きな存在感で組を引っ張ってきたトップの望海風斗さんのもと、正2番手として彩風さんは様々な役柄を演じてきました。
これまで雪組で着実にスター街道を歩んできたので、次期トップ就任は極めて順当といったところでしょう。
雪組の御曹司
咲ちゃん(彩風咲奈)は新人公演主演を5回も経験した雪組の御曹司です。
新公主演が5回というのは同じ雪組のトップスターだった音月桂さんも同じですね。
そういえば、音月桂さんの大劇場お披露目公演『ロミオとジュリエット』で咲ちゃんは死を演じていました。
セリフがなく踊りだけで表現する咲ちゃんの死や大湖せしるさんの愛は印象的でした。
『ロミオとジュリエット』の世界観がとても斬新で、劇中の音楽や音月さんの素晴らしい歌声に感動したことを今も思い出します。
この公演の時、咲ちゃんはまだ研4だったんですよね。
新人公演では主人公のロミオを演じていました。
初めての新人公演主演は研3の時、『ソルフェリーノの夜明け』で当時雪組トップスターだった水夏希さんのお役でした。
咲ちゃんは2007年の首席入団で組替えすることなく、雪組で大切に育成された印象が強いです。
咲ちゃんと言えば…
早霧せいなさん大劇場お披露目公演の『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追えー』で演じた次元大介はスーツの着こなしも様になっていてクールで素敵な次元でした。
『20世紀号に乗って』のブルースはおバカで軽薄で面白かったし、ピンクのスーツがこんなに似合う人っているのかと思っちゃいました。
『凱旋門』も『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』の時もそうでしたけど、咲ちゃんのスーツ姿、スタイルが良くてお似合いなんですよね。
注目を集めた『るろうに剣心』の斎藤一や『ひかりふる路』のダントンなどの男くさい役は個人的に私の好みには合わなかったのですが、役作りとても工夫されていたと思います。
「咲ちゃんはシャンドン伯爵の方が似合いそう」と配役を見て思っていた『ファントム』のキャリエール役は意外や意外、とても良かったです。
望海さんの演じるエリックが幼い感じだったこともあり、咲ちゃんキャリエールから包容力を感じました。
銀橋でのエリックとキャリエールの歌には思っている以上に胸を打たれました。
キャリエールの贖罪の気持ちと父としてエリックを愛おしく思う気持ちが伝わる温かい役作りでした。
『ファントム』の時に、大きな動きやセリフがない中で役として存在感を出すためにはどうすればよいか考えるようになったと組本で咲ちゃんもお話しされているので、キャリエールは転機になったお役なのかなと思います。
ショー『Music Revolution!』のジャズの場面を観た時は、以前のショーよりも咲ちゃんの男役としての見せ方や大きさが感じられ、頼もしい2番手になられたなと思いました。
これまで咲ちゃんは雪組でたくさんの上級生をお手本にしながら、地道にお稽古を重ね、ずっと努力を続けてこられたのでしょう。
ご自身の言葉やトップコンビなど周りの人のお話からもそんな印象があります。
お稽古することが好きで、努力を厭わない咲ちゃんは舞台人に向いているなと思います。
組替えがなく慣れ親しんだ同じ組でたくさんの経験をさせてもらえることは幸せなことだとは思いますが、早くから抜擢が続き、ご本人はきっと御曹司としての苦しさもあったのではないでしょうか。
そんな中で、努力し続け、着々と実力をつけていった咲ちゃんは素晴らしいと思います。
また、トップになる方は実力に加え、華も必要ですが、人柄も大事になってくるのではないかなと私は思っています。
歌劇やグラフの咲ちゃんの記事を読んでも、自然体でまじめだし、素直で可愛らしいところがあって、性格の良さを感じます。
トップの望海さんにも信頼されているのが舞台を見ているとわかります。
これからの雪組
咲ちゃんとコンビを組む次期トップ娘役には朝月希和ちゃんが決定していますが、2番手男役には果たしてどなたがなられるのでしょうか。
このまま組内で昇格するのなら朝美絢さんにチャンスがあるかも?と予想しますが、組替えなどの可能性もあるので、今は何とも言えませんね。
ただいま雪組さんは、『fff ―フォルティッシッシモ―』『シルクロード~盗賊と宝石~』に向けてお稽古に励んでおられると思います。
無事に初日の幕が上がりますように!!
今後の雪組にも注目していきたいと思います。