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宙組公演『シャーロック・ホームズ』の魅力 

宝塚歌劇を楽しもう

現在東京宝塚劇場にて上演中の宙組公演「シャーロック・ホームズ -The Game Is Afoot!-」~サー・アーサー・コナン・ドイルの著したキャラクターに拠る~が宝塚らしく、とても楽しめる作品ですので、その魅力を語りたいと思います。

この作品は世界でも、そして日本でも有名な主人公・シャーロック・ホームズが活躍する物語です。

今までにも探偵では、大和悠河さん主演の宙組公演「A/L -怪盗ルパンの青春-」や龍真咲さん主演の月組公演「ルパン ―ARSÈNE LUPIN-」などでアルセーヌ・ルパンが主人公になっています。

日本を舞台としたものでいうと姿月あさとさん主演の月組公演「結末のかなた」や春野寿美礼さん主演の花組公演「明智小五郎の事件簿 -黒蜥蜴-」で明智小五郎を主人公とした作品がありましたが、今回ホームズが主人公ということでワクワクしながら観劇しました。

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生田大和先生らしい作品

まず、世界観が生田大和先生らしく作りこまれていて、キーワードとなっている鎖のセット(装置)も圧巻。

霧のロンドンの気味悪く、おどろおどろしい雰囲気が肌で感じられ、登場人物が生き生きと描かれています。

真風涼帆さんと芹香斗亜さん

そして主人公・ホームズ(真風涼帆さん)と宿敵であるジェームズ・モリアーティ(芹香斗亜さん)との関係が一筋縄ではいかない様相で、ただ追って、追われ、戦うだけでなくお互いを意識しているのが宙組のトップ、2番手の絡みとしても見ていて楽しいです。

絵的にも映えますね。

モリアーティーたちの凶悪な犯罪を解決するホームズは、取り締まりをしたいというよりも謎を解くことに快楽を見出すようで、その手段は選ばないところがまた魅力的に映ります。

変装場面も上手いですし、どの衣装も似合い、特にコート姿は長身によく合い、真風さんの魅力を目一杯引き出しています。

対して、ホームズが追うことを意識して誘うように犯罪を仕掛けていくモリアーティが無邪気で妖しくて、芹香さん、何とも良い顔するなぁ、なんて見ていしまいます。

ホームズ、モリアーティともに、どこか社会からはみでている人間で、周りからすれば変わり者ですが、天才ならではだと感じます。

潤花さん

また、アイリーン・アドラー(潤花さん)との何やら素直でない関係も面白いです。

今回宙組のトップ娘役に就任した潤花さんが小悪魔な印象で大変魅力的。

新しい宙組になったと実感します。

ホームズ、モリアーティ、アイリーンとそれぞれに複雑な感情と駆け引きがあり、目が離せない展開です。

まさに謳い文句にあるトライアングル・インフェルノ=幾何学模様がまざまざと描き出されています。

桜木みなとさん

そして、ジョン・H・ワトスン(桜木みなとさん)は助手としてホームズに振り回されながらも、信頼関係を感じさせ、やりとりも楽しいです。

天彩峰里さん

ワトスンの恋人であるメアリー・モースタン(天彩峰里さん)は可憐で、殺人事件が発生し緊張感のある中にも、恋人同士の場面はほのぼのと可愛らしくて気が休まります。

それぞれのキャラクターがしっかりと描かれ、演じられているので主軸のストーリーはもちろん、それぞれの周囲の仲間たちとのやりとりも気になって見ていて引き込まれます。

その他のキャストさん

犯罪シンジゲートのメンバーはひときわ個性的で、フォン・ヘルダー(松風輝さん)やセバスチャン・モラン大佐(鷹翔千空さん)など、ベテランから若手までそれぞれキャラクターが光ります。

中でも、ジェームズ・モリアーティの兄であるJ・モリアーティ大佐(紫藤りゅうさん)は悪の匂いはしませんが、弟の夢をかなえるため、という何とも偏愛ぶりがある意味狂気じみています。

兄弟といえば、ホームズにもマイクロフト・ホームズ(凛城きらさん)という兄がいて、こちらも立派な肩書ですが、どこか弟に甘いのも面白味があります。

他にも挙げればキリがないですが、G・レストレード警部(和希そらさん)、トバイアス・グレグスン警部(留依蒔世さん)など警察の面々も個性的。

娘役で目立ったのは下宿の女主人・ハドスン夫人(遥羽ららさん)やホームズの昔の恋人・ミス・フォークナー(愛海ひかるさん)。

遥羽さんは今までにない役でもったいないくらいだけど、しっかりとした存在感が。

愛海さんは男役からの転向が生き、恋人としてだけじゃなく相棒としての信頼感がありました。

有名な主人公で小説だけでなく、映画やドラマにもなっていますが、宙組では宝塚らしく味付けして出色の出来栄えです。

ミステリアスな雰囲気で殺人事件もありますが、謎を追うだけでなく、それぞれの関係に目を向け楽しめる作品になっています。

前回の「アナスタシア」、今回の「シャーロック・ホームズ」と乗りに乗った宙組の今後が楽しみです。