次回宝塚歌劇団星組公演『ディミトリ〜曙光に散る、紫の花〜』の原作ストーリーをご紹介いたします。
また、配役や人物相関図から舞台の見どころを予想したいと思います。
原作の主人公は女王ルスダン
原作タイトルは「斜陽の国のルスダン」。
作者は並木陽さんです。
原作では、礼真琴さん演じるディミトリの妻ルスダンが主人公です。
2017年NHKのオーディオドラマとして放送されました。
余談ですが、このオーディオドラマ作品に宝塚OGが声優として多数ご活躍されています。
最近では並木陽さん原作の『軽業師タチアナと大帝の娘』に朝夏まなとさん、野々すみ花さん、愛月ひかるさん、桜咲彩花さんが出演されていました。
※この記事は2022/4/5に出版されている、電子書籍を参考にしています。
13世紀のジョージアの物語
ジョージアはロシアとトルコなどと国境を接するヨーロッパと西アジアの境にある国です。
カスピ海ヨーグルト発祥の地でもあります。
昨今はロシアからジョージアへ越境する人が多い事から日本でも知られる事が多くなりました。
13世紀はじめ、ジョージアはタマラ女王統治のもと強大で平和な国でした。
しかし長男ギオルギ国王の時代にモンゴルに攻められ国の存亡が揺らぎ始めます。
戦争で命を落とした兄の跡を継ぎ、妹のルスダン(舞空瞳さん)が女王となります。
モンゴルだけでなくホラズム朝のジャラルッディーン(瀬央ゆりあさん)にも領土を脅かされます。
このお話はジョージアの女王ルスダンとその夫ディミトリの行き様を描いた作品です。
ディミトリとルスダンの関係
主人公ディミトリ(礼真琴さん)はルームセルジューク朝という今のトルコあたりにあったイスラム教国の王子です。
正式な王子ではないので和平のために人質としてジョージアに送られます。
王女ルスダンとは、幼馴染として仲良く育ちます。
ルスダンの兄ギオルギ国王(綺城ひか理さん)がモンゴルに攻め込まれた際に大怪我を負い、死に際にディミトリとルスダンにジョージアの未来を託します。
ディミトリとルスダンは結婚します。
しかし年若い女王ルスダンと異国生まれの人質ディミトリは、古くからの臣下イヴァ・ザカリアン(ひろ香祐さん)達からは歓迎されずつらい立場の中、ジョージアを諸外国の侵攻から守ろうと奮闘します。
ジョージアを守ろうとするルスダンとディミトリ、それぞれの勇気
二人は幼馴染でとても深く愛しあっていますが、宮廷や国を取り巻く状況がそれを許さず、時にお互いが疑心暗鬼になってしまいます。(その場面で極美慎さん演じる白人奴隷ミハエルが深く関わってきます。)
しかし最後は相手の命を救うためにはどうすればいいかを考え行動します。
離れていても自分の命をかけても相手を想う深い愛情が礼真琴さんと星空瞳の素晴らしい歌声でどう表現されるのか本当に楽しみです。
瀬央ゆりあさんに注目!
瀬央ゆりあさん演じるジャラルッディーンはモンゴルに滅ぼされたホラズム朝の帝王です。
国を再興するための拠点としてジョージアに目をつけ、ルスダンに服従と結婚を要求します。
ルスダンは首都トビリシからクタイシに遷都を余儀なくされますが、トビリシにディミトリを残します。
同じイスラム教国人同士なので、ジャラルッディーンはディミトリの命を奪わないだろうと考えたからです。
ルスダンの予想通りディミトリはジャラルッディーンの保護の下に命を救われます。
原作ではその描写をディミトリの美しさに心奪われて「寵愛」すると表現しています。
寵愛って…寵愛って…
単に保護された感じなのか?
一歩踏み込んで原作通りの「寵愛」なのか?とにかく瀬央ゆりあさんのジャラルッディーンがディミトリにどう接するのか大注目です。
本格的な民族舞踊が楽しめる
雪組『蒼穹の昴』でも本格的な京劇の演技指導が話題になりました。
今作品でも日本人初のジョージア民族舞踊ダンサーの野口雅史さんが指導に入られています。
ジョージアの可愛らしい民族衣装もヨーロッパの歴史を感じさせるジョージア民族舞踊も本当に楽しみです。
国について考えさせられる作品
ジョージアはロシアとも国境を接しているため、ウクライナ侵攻のことを考えずにはいられません。
単にお芝居で楽しむだけでなく、世界の歴史や国際情勢についても考えるきっかけになる宝塚歌劇。
この作品も世界を考える扉になる作品になると思います。
ライター・さんなん