スポンサーリンク

芹香斗亜・春乃さくら プレお披露目公演『Xcalibur エクスカリバー』をもっと楽しむ3つのキーワード

宝塚歌劇を楽しもう

スポンサーリンク

①ドルイド教

物語を動かしていく重要な人物、魔法使いマーリン。

若翔りつ(わかと りつ)さんが演じます。

歌もダンスも芝居も確固たる実力をお持ちの若翔さんなら、この重要な役もきっと見事に演じ切ってくれるでしょう。

さて、マーリンという人物は、いわゆる皆さんが想像する「魔法使い」そのものです。

おじいさんで、杖をついていて、自然界に関することを何でも知ってる知識人。

科学的なことが何も分からない古代・中世では、世界でも日本でもこのような賢者がとても敬われました。

マーリンは「ドルイド教の魔法使いであり預言者」と作品解説にあります。

「ドルイド」とは祭司のことです。

この「ドルイド教」というのは、当時の英国で実際にあったケルト人の宗教です。

エクスカリバーの舞台となっている6世紀の英国では、この「ドルイド教」の賢者たちが政治や裁判など、国家の根幹に関する決定権をすべて持っていました。

古代ローマにおける「元老院」みたいなものでしょう。

ドルイドたちが博識であることは間違いないのですが、このドルイド教はなかなか過激な宗教であったようです。

ドルイド教はキリスト教で言うところの聖書のように文字で教義を伝えるのではなく、口頭で伝えていく宗教なんだそう。

つまり、記録というものがほとんど残っていませんので断定的なことは言えないようですが…

神様へのお供えとして、「生きた人間」を木製の檻に閉じ込めて燃やして捧げていたという記録が外国での文献に残っているようです……(@_@)

紀元前1世紀にはもうドルイド教は興っていたようなので、日本で言うところの「八百万の神々を崇める」宗教のようです。

今や日本でもクリスマスと同じように定着したハロウィーンも、ドルイド教発祥の文化です。

『エクスカリバー』に出てくるマーリンは国を助けようとするいい魔法使いですが、その弟子であるモーガン(真白悠希)は悪役です。

同じ魔法使いでも、その力を正義に使う人と悪用する人がいた、ということですね。

ちなみにモーガンは原作の『Xcalibur エクスカリバー』で「モルガーナ」という女性役です。

宙組バージョンの『Xcalibur エクスカリバー』では真白さんが演じるということで、男性役に変えたのでしょうか?

②サクソン族

モーガンと同じ、悪役として登場するのが「サクソン族」。

悠真 倫(ゆうま りん)さん演じるウルフスタンが、サクソン族の王様です。

ウルフスタン率いるサクソン族がブリテン島を乗っ取りに来たので、彼らに立ち向かう英雄として白羽の矢が立ったのが主役のアーサー、というわけです。

小さな島国である日本は外国からの侵略はそれほど多くありませんが、ヨーロッパは常にいろいろな部族による血なまぐさい国盗り合戦状態でした。

サクソン族はブリテン島の下にある、今で言う北ドイツあたりから侵攻してきた部族のことです。

まさに『エクスカリバー』の物語と同じように、5世紀~6世紀頃に海を渡り(ゲルマン大移動)、進出してきたそうです。

日本史でも、例えば江戸時代後期に開国を迫ったペリーは「日本を侵略しに来た悪い奴」というイメージです。

きっと『エクスカリバー』という物語が作られた時代も、ネイティブにとってのサクソン族はペリーのような印象だったのでしょう。

『エクスカリバー』では、ブリテン島のネイティブであるケルト人、アーサーが王となってサクソン族をやっつけますが、史実は残念ながら征服されてしまいます。

サクソン族は、同じゲルマン系民族のアングロ族と一緒になって「アングロ=サクソン族」となり、「アングロ」は今の「イングランド」の語源にもなりました。

サクソン族・アングロ族に追われたケルト人は彼らに押し出され、北上して現在のアイルランドあたりに土着していきます。

③ケルト人

アメリカ大陸に「ネイティブ・アメリカン」という民族がいるように、ブリテン島のネイティブ民族は、「ケルト人」と呼ばれる人種でした。

ケルト人、聞いたことはあるような…という感じがしますね。

現代で言うケルト人は、アイルランド人、スコットランド人などです。

例えばケルト音楽というのは、映画『タイタニック』で主人公とヒロインが出会った船のパーティー場面で二人がぐるぐる回りながら踊っていた、特徴的なあの音楽のことです。

ハリーポッターに出てくる民族もほとんどがケルト人ですね。

やはりケルト人=魔法使いという価値観が欧米では根付いているようです。

宝塚でも、ケルトの文化を演出に採り入れた作品がありました。

瀬奈じゅん(せな じゅん)さん・彩乃かなみ(あやの かなみ)さんの大劇場お披露目作品『JAZZYな妖精たち』です。

アイルランドの孤児院出身の幼なじみたちが、仕事を探しに渡ってきたニューヨークで悪戦苦闘する物語です。

物語の冒頭で「アイリッシュダンス」の場面が採り入れられ、アイリッシュダンサーを招いて本格的な振り付けをした場面があることが売りの一つでした。

アイリッシュダンスはラインダンスに似ていている部分があるので、タカラジェンヌと親和性があると見込んだのかもしれませんね。

『Xcalibur エクスカリバー』は、外国からやってきた侵略者から祖国を守る英雄アーサー、という分かりやすい物語ではありますが、ヒロインがアーサーの親友(ランスロット/桜木みなと)と浮気をしてしまったり、なかなか意外な展開もあります。

また、もはや宝塚ではお馴染みのフランク・ワイルドホーン氏の作曲ということで、本来ならば大劇場お披露目作品として用意しても良かったほどの大作です。

チケ難必至ではありますが、新生宙組のスタートに相応しい作品のようで、とても楽しみです!