劇場に足を運び、客席の明かりが静かに落ちる瞬間は、何度経験しても胸が高鳴るものです。
華やかなトップコンビや若手スターの眩しい輝きはもちろんのこと、物語が進むにつれて「次はどんなお芝居を見せてくれるのだろう」と自然に視線を奪われてしまう方々がいます。
作品の骨組みをどっしりと支え、世界観に確かな説得力をもたらす芸達者なバイプレイヤーたち。
今回は、花組の峰果とわさんと、月組の佳城葵さんという、劇団にとって絶対に欠かせないお二人の魅力について、想いを巡らせてみたいと思います。
舞台に現れるだけで客席がほころぶ、特別な存在感
観劇後の感想やSNSの投稿を拝見していても、お二人の名前に触れた言葉には特別な温かみがあります。
「この人が出てくると、不思議と舞台の空気が引き締まる」
「セリフ一つ、目線一つで、絶対にクスリと笑わせてくれる」
過剰に誇張したり、無理に笑いを奪いにいったりするのではなく、あくまで役としてその世界で呼吸しているからこそ生まれる「自然なおかしみ」。
それを完璧な間合いで客席へと届けてくれる安心感は、客席で見守る私たちにとっても深く頷ける観劇の醍醐味ではないでしょうか。
端正な佇まいに宿る、スマートなユーモア――花組・峰果とわさん
花組の峰果とわさんは、研鑽を重ねた花組男役ならではの洒脱さと、品格ある美しい立ち姿が際立つ方です。
低く落ち着いた声の響きには大人の色気が漂います。
しかし、ひとたびコメディ要素のある役どころを担えば、見事な「外し」の芝居を披露してくださいます。
舞台の片隅に静かに立っているだけでも、その場の空気を一瞬で変えてしまう手腕には、いつも感嘆させられます。
絶妙な呼吸で劇空間をあたたかく染め上げる――月組・佳城葵さん
一方、月組の佳城葵さんは、「芝居の月組」の伝統をその身体と呼吸で見事に体現されている名バイプレイヤーです。
佳城さんの舞台姿に惹きつけられるのは、なんといってもセリフの間(ま)とテンポの巧みさ。
どんなに個性的な役柄であっても、佳城さんが息を吹き込むとリアルな体温が宿ります。
シリアスな場面では空気をピリッと引き締め、和やかな場面では客席全体を温かな空気で包み込む。
主演者がどんな芝居を投げかけても、それ以上の豊かさで返してくれる懐の深さがあります。
いつか見てみたい、芸達者な二人による本格コメディ
お二人を観ていて感じるのは、「この人が登場したら、絶対に楽しませてくれる」という確固たる信頼感です。
それは一朝一夕に身につくものではなく、日々の真摯なお稽古と舞台経験の積み重ねによって磨かれた、本物の職人技なのだと感じます。
舞台を観ながら、ふと「このお二人が同じ板の上で、丁々発止の掛け合いを繰り広げる姿を観てみたい」と夢想してしまうことがあります。
組の垣根を越えた特別なイベントや、あるいは本格的なシチュエーション・コメディのような作品で、二人が芝居の火花を散らしてくれたなら――。
峰果さんの洒脱でスマートなおかしみと、佳城さんの自然体で滋味あふれる呼吸が交差したとき、客席にはどれほど贅沢で幸せな笑いが満ちることでしょうか。
想像するだけでも、思わず胸が躍ってしまいます。
劇団の屋台骨として、長く舞台に立ち続けてほしい
宝塚歌劇の長い歴史の中で、組のカラーを背中で教え、作品の屋台骨を支え続けてくれる上級生の存在は、何ものにも代えがたい宝物です。
「どうか一日でも長く舞台に立ち続け、その豊かな芸を見せてほしい」
それは、舞台を愛するすべてのファン共通の、心からの願いではないでしょうか。
これからも花組、月組の舞台で、唯一無二の彩りと上質な笑顔を届けてくださることを、客席の片隅から大切に見守り応援していきたいと思います。

