宝塚歌劇の殿堂「エリザベート展」 十人十色なトート閣下のお出ましだ!

宝塚歌劇エリザベート 宝塚歌劇を楽しもう

現在、東京宝塚劇場にて好評を博している、月組公演『エリザベート~愛と死の輪舞~』。10回目の再演ということで、記念すべきこの年に、宝塚大劇場併設の《宝塚歌劇の殿堂》ではエリザベート展が執り行われている。今回のテーマはこちらから。

歴代トート閣下が勢揃い!

10人のトート閣下が、大きなタペストリーとなってお出迎え。

エリザベートの世界へと誘う。決して広い空間ではないのだが、舞台写真や衣装をはじめ、出演者や制作者のコメントなど、宝塚版エリザベートの誕生と歴史がぎっしり詰まったファン必見の空間だ。

中でも特に存在感をアピールしているのは、歴代トート閣下のウィッグだと言っても過言ではない。

同じ作品の同じ役、みな『エリザベート』の『トート閣下』のものであるにも関わらず、ずらりと並ぶウィッグは、それぞれカラー・スタイル共に全く異なり、見事に個性を光らせている。

それもそのはず、『死』という抽象的なものを擬人化した『トート閣下』、その表現法は多種多様。衣装の個性もさることながら、現在公演中の珠城トートを除く9名のトートウィッグを並べて同時に見られるのは非常にレアで、かつ非常に美しい。これほどビジュアルに個性を乗せられる主役というのも珍しいように思う。

宝塚版エリザベート、誕生の時

“死が人を愛し、人が死を愛す”という、ファンタジーチックな愛が歴史を動かしたかのような、この物語。

初演から12年という月日が経った今となっては、宝塚歌劇にぴったりの物語だと実感するばかりであるが、当時の前代未聞さと言ったらなかったという。

当然といえば当然かもしれない。

宝塚のトップスターといえば、まさに“理想の男性”。のはずが…死神なのだ。

さらに、初演といえば、当時の雪組トップスター・一路真輝さんの退団公演である。

果たして宝塚の作品として受け入れられるものか、制作陣のプレッシャーは計り知れないものだったに違いない。

初演時の演出助手・植田景子氏の著書『Can you Dream?ー夢を生きるー』において、彼女は当時の思い出をこう明かしている。

正月明けが、稽古初日。
その正月前の、大晦日の頃、つまり極寒の真冬である。

彼女は、『エリザベート』演出家・小池修一郎氏のマンションの下で、歌詞が出来上がるのを何時間もひたすらに待っていた。

そうして譜面が出来上がったならば、すぐさまコピーをし、自転車で生徒の自宅に届けて回ったという。

なんと優秀かつ献身的な宅配屋だろう!あまりの曲の難解さに、少しでも早く生徒の元に譜面を届けよう、という小池氏のご意向によるものだったそうだ。

今やすっかり宝塚歌劇の代表作としてその名を轟かせる演目となったが、そんな‟寒空と縁の下“の力も含め、当時のスタッフ・役者、関わったすべての人の熱意と努力あってこその今なのだろう。そう実感したエリザベート展。

展示期間は12月14日まで。お見逃しなく!

著者:まや のあ

■会場:宝塚大劇場内 宝塚歌劇の殿堂3F(企画展ゾーン)
■日程:2018年8月24日(金)~12月14日(金) 月、宙、雪組公演期間中

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