宝塚歌劇団の舞台で、様々な役を表現するために重要な役割を果たしている「かつら」。
娘役さんの方がかぶる機会は多いかもしれませんが、男役さんにとっても欠かせないアイテムです。
格好良い男役さんたちは、どんな髪型のかつらをかぶっていても素敵ですが、なかでも男役さんの長髪というのは、何とも言えない魅力があります。
長髪は、女性らしさの象徴でもあります。
特に、宝塚の舞台は外見で男性らしさ、女性らしさを表現しなければなりません。
その点からすると、男役が長髪のかつらをかぶって役を演じるという事は、ともすれば女性っぽさが出てしまいかねません。
そんな難しさをはらみつつも、長髪のかつらを格好良くかぶりこなす男役さんを、現役生、OG含めて独自にランキングにしてみました。
それでは、「長髪のかつらが似合う男役ベスト3」を、その出演作品とともにご紹介します。
第3位・・・美弥るりか
美弥るりかさんは、月組の二番手男役スターです。
美弥さんは、大きな目と小さなお顔、儚げな雰囲気が魅力の男役さん。
普段の美弥さんからは、時に可愛らしさを感じることもありますが、一度舞台に立つとすさまじい色気と格好良さを放ちます。
そんな美弥さんの長髪姿が見られる作品はこちら。
月組『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』(2017年7月~10月)
「三銃士」を元にしたこの作品で美弥さんが演じたのは、世紀の色男アラミス。
色男といえば美弥さんというくらい、こういう役が似合うお方です。
アラミスの髪型は、ウエーブがかったブラウンのロングヘアー。
三銃士の衣装との相性も抜群で、美弥さんの魅力が存分に活かされたお役でした。
・月組『カンパニー -努力、情熱、そして仲間たち-』(2018年2月~5月)
この作品は、宝塚では割と珍しい現代の日本が舞台。
美弥さんが演じたのは、世界的プリンシパルの高野悠。
トップスターの珠城りょうさん演じる主人公が普通のサラリーマンであるのに対し、彼を取り巻く人々がとても個性的で癖のある人物ばかりだったこの作品。
そんな個性あふれる登場人物の一人が、美弥さん演じる高野悠です。
ちょっと癖のあるロングの黒髪を、ハーフアップのような形で結んだ髪型が、高野の個性の強さや性格を表しているような気がします。
月組『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-』(2019年3月~6月)
自身の退団公演でもあるこの作品で美弥さんが演じるのは、佐々木小次郎役。
日本物らしい黒髪の長髪で、高い位置で一つに結んでいます。
サラサラのストレートヘアーですが、後れ毛や前髪のバランスなど、こだわりが感じられます。
そして何より、色気と格好良さがすさまじいです。
第2位・・・凰稀かなめ
凰稀かなめさんは、元宙組トップスターです。
現在は、女優として活躍されていますが、現役生の時からその美しさは変わりません。
凰稀さんの魅力は、美しくて小さなお顔と、抜群の等身バランス、儚げな目元と憂いを帯びた声。
そんな凰稀さんの、美しく格好良い長髪姿が見られる作品はこちら。
~星組時代~
星組『ロミオとジュリエット』(2010年7月 – 8月)
この作品で凰稀さんが演じたのは、ティボルト役。
キャピュレット夫人(ジュリエットの母)の甥であるティボルトは、今にもキレて何をしでかすか分からないような危険な若者。
髪型は、編み込んだ長髪に、ところどころキャピュレット家を象徴する赤い色の毛が混じっています。
長髪の危険な男って、もう危険な匂いしかしません。
それも、凰稀さんのような容姿端麗な美しい人が演じると、本当に狂気に満ちていて、それでいてものすごく魅力的です。
~宙組トップスター時代~
・宙組『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』(2012年8月 – 11月)
記念すべきトップお披露目公演で凰稀さんが演じたのは、銀河帝国の皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラム。
金髪のロングヘアーに蒼い瞳。
この作品が上演された当時、凰稀さんのあまりに美しく格好良いラインハルトの姿に衝撃を受けました。
その時に、これほどタカラヅカで長髪のかつらが似合う男役さんはいないと思いました。
それくらい、凰稀さんのラインハルトは格好良いので必見です。
・宙組『ベルサイユのばらーオスカル編ー』(2014年5月 – 7月)
凰稀さんの役は、主人公オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ。
言わずと知れたベルばらの主人公です。
オスカルと言えば、見事なブロンドヘアー。
ブロンドで巻き毛のロングヘアーは、一番日本人とかけ離れた髪色と髪質のはずなのですが、凰稀さんのオスカルは、それを忘れさせるほどとてもしっくりきていて、オスカルそのものでした。
よほどの小顔でなければ、あんなボリュームのあるかつらかぶりこなせません。
第1位・・・明日海りお
栄えある第1位は、花組トップスターの明日海りおさんです。
顔良し、歌良し、お芝居良し。
容姿が美しいだけでなく、非常に完成度の高い舞台で客席を圧倒する、誰よりも熱い魂の持ち主。
それが明日海りおという男役です。
そんな明日海さんの長髪姿が見られる作品はこちら。
~花組時代~
花組『戦国BASARA-真田幸村編-』(2013年6月 – 7月)
この作品で明日海さんが演じたのは、上杉謙信。
ゲームを元にした作品なので、登場人物のビジュアルが非常に個性的です。
明日海さん演じる上杉謙信は、シルバーのロングヘアーでとにかく美しい。
役柄的にも美しさが前面に押し出されていて、まさに明日海さんの為のお役というくらい、ハマり役でした。
~花組トップスター時代~
・花組『エリザベート-愛と死の輪舞-』(2014年8月~11月)
明日海さんの大劇場トップお披露目公演となるこの作品で明日海さんが演じたのは、黄泉の帝王トート閣下。
『エリザベート』と言えば、過去に宝塚でも何度も再演されている人気の演目ですが、トート閣下の大きな特徴の一つが長髪です。
明日海さんは、ブルーとシルバーが混ざったようなかつらを着用していました。
明日海さんの演じるトートは、美しいだけでなく妖艶で、力強くて、繊細で、見事なまでの黄泉の帝王でした。
その役作りに、ロングヘアーのかつらも一役買っていた事は間違いありません。
・花組『MESSIAH -異聞・天草四郎-』(2018年7月~10月)
この作品で明日海さんが演じたのは、天草四郎時貞。
天草四郎と言えば、フリルの襟にマントと言う姿の絵がなじみ深いですが、明日海さんの天草四郎は、赤い服に赤い長髪、目つきも鋭く荒々しい雰囲気で、私たちが知る天草四郎のビジュアルとは全く違います。
印象的な豊かな長髪は、頭のてっぺんで一つに束ねられています。
一揆を導いたカリスマとして活躍する四郎の生き様とともに、格好良い髪型にも注目です。
以上、長髪のかつらが似合う男役さんをランキング形式で3名ご紹介しましたが、いかがでしたか?
こうしてみると、長髪が似合うのは、小顔揃いのタカラジェンヌの中でもとりわけ顔が小さいと言われている方ばかりです。
凰稀かなめさんは、顔の大きさがメロンより小さいというエピソードもあるくらいです。
美弥るりかさんと明日海りおさんも、かなりの小顔ジェンヌですよね。
今回は、長髪のかつらが似合う男役さんに焦点を当ててみました。
長髪には、長髪だからこそ醸し出される魅力や色気、格好良さがあると思います。
今回ご紹介した以外にも、男役さんの長髪姿が見られる作品はいろいろあると思うので、ぜひお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。
ライター名:七海 れい