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宙組退団者に思いを馳せ「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」を語る

宝塚歌劇の懐かしシリーズ

純矢ちとせ、澄輝さやと、蒼羽りくをはじめ、多くの宙組生が『オーシャンズ11』をもって退団してしまいます。

いわば宙組の顔として舞台の重要なポジションを演じ長らく活躍されてきたメンバーだっただけに、退団が迫ってきた今、一つの時代の終わりをひしひしと感じています。

純矢ちとせ(せーこ)、澄輝さやと(あっきー)、蒼羽りく(りく)達の出演している舞台を振り返ろうと手持ちの映像を見返して、この舞台の魅力について改めて語りたい!と思ったのが、今回取り上げる『銀河英雄伝説』です。

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伝説級ライトノベル、まさかの宝塚化

『銀河英雄伝説』、通称『銀英伝』は田中芳樹作の長編ライトノベル。

これまでにアニメや漫画、宝塚以外の舞台とマルチメディア展開されてきた超人気作品です。

遠い未来、「常勝の天才」ラインハルト率いる帝国軍と、「不敗の魔術師」ヤン・ウェンリーを中心とする同盟軍の銀河を二分する戦いを描いた壮大な世界観の作品です。

それぞれの信念をかけて戦乱の時代を生き抜くキャラクターは魅力にあふれており、老若男女問わず多くの熱狂的なファンを持つメガヒット作です。

戦争の歴史を描いた硬派な作品で登場人物にも渋いおじさんが多く、また政治や軍隊の細かい設定がたくさんで説明も大変そうで、これをどう宝塚の舞台にするのか……という驚きもあったのではと思います。

しかし、原作の魅力を損なわずに宝塚らしい優美でキラキラした舞台となっており、宝塚ファンのみならず原作ファンからも好意的な評価を得ました。

男性ファンの多い作品なので、宝塚は観たことがないけど銀英伝だから行ってみようという男性客がたくさんいたのか、劇場の男子トイレがこの時いつになく混んでいたという逸話があるほど。

普段宝塚に触れたことのない観客にも「宝塚って楽しいな、面白いな」と思ってもらえるきっかけになったのではないでしょうか。

役者が揃っていたからこそ舞台化できた

改めて観て思いましたが、メインの配役が原作のキャラクターイメージにぴったりなのです!

ポスター画像を見ただけでこの美、圧倒的な美……!

アニメから飛び出てきたような現実離れした美しすぎるヴィジュアルには惚れ惚れしました。

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まばゆいばかりの美形で畏れを感じさせるほどのカリスマ性を持ちながらも、内面には少年っぽい無邪気さや意外な脆さをあわせ持ち、信頼できる人に対しては純粋な面を見せる帝国軍のリーダー、ラインハルトを演じたのは当時のトップスター凰稀かなめ

まさに二次元!なヴィジュアルと本人のギャップのあるキャラクターが相まって、彼女だからこそできたはまり役と言っていいと思います。

そんなラインハルトを献身的に支えたのは、心優しく懐広く、人望の厚いキルヒアイス。演じた朝夏まなとの陽のオーラと希望に満ちたキラキラした瞳は、この人なら信頼できるという説得力を与えていました。

それだけに終盤の展開には涙……。

ラインハルト、ひいては帝国軍の光を担ったのがキルヒアイスならば、その影となったのが参謀のオーベルシュタイン。

悪役に定評のある悠未ひろさんが演じました。

クセの強いキャラクターでしたが不思議な色気があり、印象深い役になっていました。

ラインハルトのマントをグッと掴むところが好きです。

そして私の最も好きなキャラクター、ヤン・ウェンリー。演じたのは緒月遠麻です。

緒月遠麻(ヤン)は本来は歴史家志望で戦争嫌いでありながらも戦術家としての天才的な才能ゆえに英雄に祭り上げられていってしまうという葛藤に常に悩んでいるキャラで、ぐうたらに見えつつも深い洞察力のある魅力的な人です。

原作を読んでヤンが大好きになってから改めて宝塚版を観ましたが、緒月遠麻がヤンを演じてくれてよかった!と心から思います。

それぐらいぴったりの役です。

上に挙げたのはごく一部。

原作のキャラクター数が膨大なだけに、役がたくさんあったのがこの公演の良いところ。

もっとも、その分一人一人の掘り下げは薄味になってしまうきらいもありましたが、もしヤン編やオーベルシュタイン編、双璧(ミッターマイヤーとロイエンタール)編があったら……!とスピンオフを想像するのも楽しいです。

スタイリッシュの極致、圧巻の男役群舞

『銀英伝』では、これぞ宙組!という迫力のある男役群舞を存分に堪能できます。

この作品では艦隊戦や軍の訓練をダンスによって表現しており、軍服の宙男が勢揃いしている光景を劇中でも何度も見ることができます。

フィナーレはもう最高!青緑色の軍服に身を包んだ選りすぐりの長身ジェンヌたちにうっとり……

役のイメージを最大限に拾ったヴィジュアル作りにこだわる凰稀かなめの金髪青メッシュの髪型がとてもよく似合っていました。

宝塚を通じた、素敵な作品との出会い

この『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』を機に、『銀英伝』原作にどハマりしました。

本編全110話にも渡る長大なアニメを一気に観て、全9巻からなる原作小説を読み、おまけにコラボカフェにまで行きました。

ちなみに宝塚で描かれたのは原作第2巻まで。

舞台のストーリーの先も壮大な物語はまだまだ続くんです!

宝塚が世界を広げてくれたおかげでまた素敵なものに出会えたなと改めて思います。

ライター:ミナミ

89期の純矢ちとせ(せーこ)は、ジェシカ役で
92期の澄輝さやと(あっきー)、フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト役
93期の蒼羽りく(りく)はケンプ役で、出演しています。
ぜひ、その時の映像を見返してみましょう。
そして蒼羽りくは、映像は残っていませんが、新人公演では主演を演じていました。