新型コロナウイルスの影響で世の中の混乱が続いている昨今、宝塚歌劇も免れず影響を受けています。
安全のことを考えれば頷ける判断とはいえ、公演がないと思うとしょんぼりしてしまうファン心も切実。
昨日の生放送を見て、「愛と感謝」に溢れた時間と空間に心が救われた方も多いと思います。
やっぱり混沌とした時代でも前を向いて強く明るく生きていきたい!
こんな時こそ宝塚が必要だ!!!と強く思いました。
そこで、塞いだ気分を吹き飛ばすようなパワーをくれる作品を紹介したいと思います!
みんなで元気になって、明るく乗り越えましょう!
2018年星組『ANOTHR WORLD』
家にいてばかりでつらい気持ちになるときは、やはり思い切り笑いたいものですよね。
宝塚の公演ということ忘れてしまうほど抱腹絶倒で笑わせてくれるのが、落語を題材としたお芝居『ANOTHR WORLD』。
「落語ミュージカル」というそれだけで面白いような冠がついている作品ですが、その名に恥じない楽しさ満載です。
舞台はなんとあの世! 作中の登場人物がどんどん死んでしまうことで有名(?)な谷正純先生が、ついにほぼ全員死んでいるところから物語を始めたというのも面白ポイントかもしれません。
紅ゆずる&綺咲愛里の関西人コンビを中心とした、間違いなくこのときのこの組ならではのお芝居です。
気持ちよく笑えることはもちろんですが、落語の醍醐味のひとつでもある「人情」の要素も大きな魅力となっています。
恋しいお澄を探して冥土をゆく道中、主人公の康次郎は様々な人生を歩んだ人(または人でないもの)と出会います。
最後は娑婆に戻る康次郎。「生きていればどんな苦労も乗り越えられる。いっぺん死んだ気になってやってみなはれ」「この世は極楽、命に感謝や!」という言葉が出るのは、冥土での出会いを通し、仲間とともに生きる心強さを知ったからでしょう。
楽しく思い切り笑いながら、いっぺん死んだ気になってこの局面を乗り越えましょう!
2018年花組『MESSIAH―異聞・天草四郎―』
いつの時代にも辛いことや苦しい生活があるもの。
『MESSIAH―異聞・天草四郎―』は、信じる心と熱い思いを胸に苦しみに立ち向かった人々の物語です。
江戸時代初期、キリシタンたちの起こした島原の乱とその指導者天草四郎時貞についてドラマチックに描かれています。
トップオブトップともいわれた明日海りおさんが、その美しさと繊細なお芝居で新たな解釈の指導者・天草四郎を魅せました。
結末だけみれば悲劇と思える作品ですが、その中には信念を貫いて生きる力強さと輝きが満ちています。
圧政に耐える島原の人々が、四郎の言葉に動かされ立ち上がる場面は圧巻の熱量。
四郎の瞳の炎が、人々にどんどん燃え移っていくのが伝わります。
「心 勇気の赤に染めて 熱き 希望の波となれ」という歌詞も印象深いです。
現代に生きる我々が自分を重ねて感情移入しやすい物語ではないかもしれません。
しかし命をかけて愛に生きた人々の熱は、いつの時代にも伝わってくるものだと感じます。燃える瞳から勇気をもらい、力強く毎日を歩みたいものです…!!
2018年月組『BADDY!! ―悪党(ヤツ)は月からやって来る―』
辛いこと、許せないこと、理不尽なことがあったとき、みなさんならどんな言葉で立ち向かいますか?
私の言葉は決まっています。
「冗談じゃねえ!!!」
そう、上田久美子先生初のショー作品『BADDY!!』の台詞です!
通し役のついたストーリー仕立てという珍しいつくりと、トップスターが「月からやってきた超クールでエレガントなヘビースモーカーの悪党」であるという意味のわからない設定で注目を集めた『BADDY』。
月組の芝居心と若い力が作品の奥深さを見事に表現し、宝塚史に残る名作となりました。
魅力は語り尽くせませんが、なかでも全体を貫くエネルギーの大きさは圧倒的です。
宇宙服にくわえタバコで現れ、男女の別を気にせず美しい人を愛し、好き勝手に悪事をはたらいてはイキイキと笑う主人公BADDY。
完璧な平和のなか幸せな生活を送るはずの「ピースフルプラネット・地球」の人々には、彼の瞳の輝きは理解不能だったことでしょう。
自分のしたいことを、自分の価値観で選び取り、心のままに感情をほとばしらせるBADDYの生き方は、「完璧」なんてない人生の本当の楽しさとは何かを力強く魅せてくれます。
BADDYよろしく「冗談じゃねえ!!!」と心で叫び、塞いだ空気も暗い気分も思い切り蹴り飛ばしてしまいましょう!
目から元気に!
今回選んだのは、NHKBSで放送されたことのある作品ばかり。録画してある、という方も多いのではないでしょうか?
録画で、DVDで、タカラヅカスカイステージで、はたまたオンデマンドの配信で、コロナに負けないエネルギーをチャージしましょう!
ライター:松下梨花子