――昨日からの続きです!――
第六章 オリンピア
中詰後のデュエットにいざなわれて、古代ギリシャをモチーフにしたオリンピアの場面が始まります。
まずは可愛らしい銀色のお衣装のロケット! 小桜ほのかさん、桜庭舞さん、瑠璃花夏さんの3人が歌手として登場し、歌って踊れる娘役さんの層が厚いことをばっちり見せつけられます。
パワフルかつキュートで、正統派ロケットの良さを感じました。
ロケットが終わると、組長·万里柚美さんの語りと共に、五輪の各色の精霊たちが踊り始めます。
メンバーは漣レイラさん、音咲いつきさん、碧海さりおさん、天飛華音さん、水乃ゆりさんともうこれでもかとダンサー揃い。
飛んだり跳ねたりが自在で、まさに人ならぬ精霊といって納得です。
その後、礼真琴さん扮するアポロンとオリンピアンたちの熱い舞いがスタートします。
『Ray』は全体的にセットの建込みがとても少ないですが、この場面は神殿風の構造物があり、盆やセリも使われて立体的な見ごたえがあります。
特に盆を回しながらの、礼真琴さんと愛月ひかるさんのバトルダンスのシーンは印象的!
愛月さんのお大きな体にキレある動きと、礼さんのしなやかさ伸びやかさが互いを引き立てあってお2人ともより格好良く見えます。
トップ娘役さんだけでなく、2番手さんとの相性がよいこともまた嬉しい限りです。
大七章 フィナーレA~D
フィナーレの始まりは、天華えまさんと極美慎さんの小粋なジャズナンバーです。
お2人のそれぞれが銀橋ソロを歌い継ぐかたちで、立派なスターさんになったんだなあと感動します。
ちょっと力の抜けたスィングも大人風味でとてもお洒落です。
続いて銀橋に現れたのはピンクのオフショルダードレスを着た舞空さん。新鮮に驚く可愛らしさ!!
どことは言えないのですが、ふとした瞬間に綺咲愛里さんに似た雰囲気を感じて嬉しくなります。
全瞬間·全角度にスキのない可愛い芸は星組トップ娘役の伝統でしょうか。
舞空さんに目を奪われがちですが、本舞台ではダンサー勢がガンガンに踊っています。個人的なツボは、男役さんたちが登場してくるところ、同じ振付を踊っているとは思えないほどの動きのばらつき(笑)。「
オレがいちばん格好いいぜ!!」という星オトコのガッツが全面に出ていて楽しくなります!
そして本舞台が奥まで開くと、男役群舞の始まりです。
正統派の黒燕尾。礼さんの燕尾に輝くスパンコールを見て、改めてトップスター就任という実感が湧いてきます。
隊列を活かしながらやや抜け感のある大人っぽい振付で、艷やかな魅力を感じました。
全体の集中力が凄まじかったのは、振り数の多さだけでなく、芸事のレベルが全体的に跳ね上がった新体制の充実によるものだと思います……!
きりりとした黒燕尾から一転、局長が変わり娘役さんが登場すると舞台は一気に明るい雰囲気に!
そしてにこにこで歌い出す礼さん! 5秒前まであんなに踊っていたのに!
ここで驚きの素晴らしい演出。なんと娘役さんだけが銀橋にずらっと並んで歌うのです。
男役に負けず劣らず「ワタシがいちばん可愛いのよ!!」という圧がものすごいです。
男役さんに負けず劣らず輝く星娘の格好良さに興奮しました!
銀橋からの去り際にお一方だけ残るのが柚美組長というのが泣かせどころです。全組子の母であり最も美しい星娘の柚美さん……。
専科に行かれても、どうかいつまでも星組を見守り続けてください……。
柚美さんに誘われるように銀橋に出てくるのはにっこにこの瀬央さん。
続いて男役スターさんたちが次々と登場し、パレード後かのような盛り上がりを見せます。
そして本舞台には、娘役さんをこれでもかと侍らせて踊る華形さん!
「世界の彼氏」に相応しいイケメンぶりに、積み上げた日々の厚さを感じます。
華やかな銀橋タイムが終わると、大階段には礼さんの姿が。デュエットダンスの始まりです。
お衣装は赤スパンと黒の燕尾風。
礼さんの好きな色に合わせて、演出の中村先生がこの色づかいを選んでくださったのだそうです。ここにも愛が!
舞空さんも赤と黒のドレスが艶やかでとてもよくお似合いです。
超絶ダンサーコンビとしては想像より穏やかな振付でしたが、そのぶん目線や笑顔を交わすタイミングが多く胸が熱くなりました。
第八章 パレード
最後はパレード。今回のエトワールは桜庭舞さんです。『眩耀の谷』では新人公演主演もされるなど抜擢が続く桜庭さんですが、プレッシャーをばっちりはねのける伸びやかな歌声でした。
トップスターさんまでの階段降りは、
天華さん&極美さん→有沙さん&綺城さん→瀬央さん→華形さん→愛月さん→舞空さん
の順番で。
愛月さんは立派な二番手羽根を背負っていらっしゃいました。
そして最後に、ひときわ大きな白×雉羽根を背負った礼さんが登場。
ここまで来たら当然のことなのですが、この大きな羽根をつけた姿からはトップスターさんとしての輝きが溢れ出ていました。
割れんばかりの拍手のなか、トレードマークの笑顔で手を降って膜。感無量です……。
最後に、降りた緞帳に再び「Ray」の文字と、礼さんの目のデザインが映し出されます。
最後にトップさん自身のお名前が浮かび上がるというのは、これまた粋な演出です。
光り輝く文字と共に、心に焼き付くような公演でした!!
(ライター:松下梨花子)