緊急事態宣言が全国で解除され、まだまだ安心とは言えませんが、少しずつ新しい生活が動き出している今日このごろ。
宝塚歌劇団の公演再開はもう少し先のようですが、ゆったり待ちたいものです。
そんな毎日に元気をくれるのが、映像で手元にある作品!
ここでは、観るだけで最高に元気になる星組のショー『Ray-星の光線-』のBlu-rayを観倒した感想をレポートしたいと思います!
宝塚歌劇団星組新トップスター礼真琴さん&舞空瞳さんの大劇場お披露目公演として上演された『Ray』。演出は中村一徳先生です。
第一章 プロローグ Ray
始まりは、舞台の幕に投影された「Ray」の文字と色とりどりの光線のビジュアルから。
無数の光が集まって次第に球をつくり、それは輝く瞳の形になります。この瞳は、礼さんの眼を撮影してデザイン化したものだそう。
とても華やかで印象的!
最近では宝塚でも映像を用いた演出が多く見られるようになってきましたが、そのなかでもかなり洗練されたビジュアルかと思います。
そしてこれでもか!というほどのきらめきのなかに現れたのは礼さん。
はじめは静かに歌い出すのですが、ワンフレーズを歌い出しただけで響きとビブラートに圧倒されます。
そして歌ったと思いきやダンス!
振り数は多くテンポも早いはずなのですが、礼さんを観ていると軽快さしか感じることができません。
開始1分で歌も踊りも完全なハイクオリティーを見せつけられ、「スーパースター礼真琴の時代が始まりますよ!」と宣言された気持ちになります。
わくわくが止まりません!
礼さんのダンスが終わると組子たちが登場するのですが、基本的に誰も舞台上で普通に歩きません。
移動は常に爆走か爆踊り、なんなら側転です。
のっけから新生星組の元気をこれでもかとアピールするエネルギッシュなプロローグでした!
第二章 金星の輝き
続いて現れたのは、若手ダンサーズと瀬央ゆりあさん。瀬央ゆりあさんはもともと笑顔と歌声がとても素敵な方ですが、この場面では磨きのかかったダンスにも注目です。
ダンシング&シンギングサイボーグの礼真琴さんが活動の基準となっているので、踊った後にすぐ歌う流れがどの場面でも非常に多いこのショー。
どのスターさんについても限界への挑戦と進化を感じることができて、ひと場面ごとに感動が大きいです……。
第三章 Ray 夢(霊夢)
笑顔いっぱい金星の場面から一転、シックなタンゴと共に現れたのは天寿光希さん&音波みのりさんという麗しき91期コンビです。
白いお衣装とターバンがエレガントでたまりません。
本舞台に礼さんが登場すると本格的なダンスゾーンに突入。
この場面の振付は外部からお呼びした Bryant Baldwin先生とのことで、キレとしなやかさが共存する振りが絶妙です。
また、随所にみられる手拍子や掛け声の使い方にラテンの空気が滲みドキッとします。
注目は終盤、唇に指を当てて「しーっ」とする振付!
とんでもない色気に記憶が飛ばないよう注意が必要です。
第四章 霊歌 スピリチュアル
前場面の色気に耐えたと思ったのも束の間、さらなる妖艶の波が押し寄せてきます。
今公演から星組に加わった愛月ひかるさんです。
オトナな空気の宙組にあっても際立ってアダルトだった愛月さん、スーツにハットで気だるげに登場します。
そして後ろには同じく気だるげな有沙瞳さん。娘役さんがハットでキメる姿はあまり見ることができませんが、非常にセクシーで◎です。
そして見逃せないのが、副組長·美稀千種さんのソロ歌唱!
ガンガンに踊った直後ながら息も乱さず、渋かっこよく歌い上げる姿に男役としての蓄積を感じました……。
第五章 霊鳥
続いて銀橋にひとり現れたのは、今作品で退団される専科の華形ひかるさん。
最近は星組の組子なのではと思うほど星の出演が多かった華形さんですが、やはり正統派なオラつき方には花組仕込の伝統が感じられ泣けます。
後ろの娘役さんたちは扇のような飾り(霊鳥の羽根を模している?)を持っており、踊るとエキゾチックで魅惑的です。
そうこうしていると礼さんが登場、踊りながら舞台中央へと進み出ます。
知っていても毎回新鮮に驚くしなやかさです。
続いて舞空さんも妖艶に微笑みながら登場。礼さんと舞空さんは平たいつば付き帽を被っているのですが、とにかく2人ともよく似合っていて最高です。
丸顔さんの素敵さを際立たせる帽子なのだと感じます。
お衣装部さんのコーディネートの素晴らしさに、まさに脱帽です!
この「霊鳥」の場面では客席降りがあります。
登場から終始色気あるニヤリ顔の礼さん、客席降りが始まるといつもの笑顔が満点に! クールで大人な新しい魅力も大変素晴らしいですが、やはり礼真琴といえばこの星のようなニコニコがトレードマークですね!
感染症予防のためにハイタッチや握手はできない状況のなか、千切れんばかりに手を振り笑顔を振りまく星組の皆さんの熱気が画面越しに伝わってくるようでした。
そして場面の締めくくりは、有沙瞳さんと綺城ひか理さんのデュエットです。
花組から組替えしたての綺城さんを、雪組から来ていまではすっかり星組の中心人物である有沙さんが優しく導いているようで、とても優しい気持ちになる一曲でした。
後編に続きます!
(ライター:松下梨花子)