今日は、記念すべき即位礼正殿の儀(そくいれいせいでんのぎ)。
まさに令和の始まりのこの記念すべき日に、新時代にふさわしい宝塚歌劇団星組の新トップスター礼真琴について書こう。
2019年10月14日、礼真琴さんが星組新トップスターに就任されました。
華の95期の主席として常に注目を集めるバリバリ実力派の礼真琴さんは、とにかく魅力があふれて書きつくすことなどとてもできませんが、今回はそんな礼真琴さんの過去作品やエピソードから、ひとまず歌・ダンス・お芝居のいわゆる「三拍子」について考えたいと思います!
DANCE DANCE DANCE!!
その実力で早くから抜擢の続いた礼さんですが、下級生時代に脚光を浴びた役としてはまず『ロミオとジュリエット』の愛が挙げられるでしょう。
しなやかでイキイキとした踊りで観客を魅了。
一気にダンサーとしての注目を集めました。
柚希礼音さん時代にはどの作品にも熱いダンスナンバーが多く、その後も礼さんは大活躍!
個人的には、裸足で爆踊りする場面に、身体能力や「踊りたい気持ち」が現れているように見え、心打たれます。
『ノバ・ボサ・ノバ』では、力強く躍動するカーニバルダンサーに。まさかのビキニ風スタイル!?で努力の結晶たる全身の筋肉を拝み、衝撃を受けました……。
そして『REON!!』では、憧れの柚希さんとのデュエットダンスを披露。
のびやかながらも、ダンサー同士が手加減なくぶつかり合う凄みを感じる場面でした。
3番手、2番手になると、若きダンスリーダーとして星組を牽引。
紅ゆずるさんの相手役を務めた『風と共に去りぬ』では、ヒロインを演じながらなぜかロケットにも参加するという驚異のダンス大好きぶりと体力あり余りぶりでした。
『THE ENTERTAINER』では、クールダンサーREI先生として、なんと11学年先輩のトップスター北翔海莉さんにダンスを伝授する場面も!
全国ツアー初主演となった『ESTRELLAS~星たち~』では、BACKで本家K-POP歌手顔負けのキレを見せ(しかも息ひとつ乱さずに歌い)、リベルタンゴではシックながらも情熱的なソロダンス、そして星サギで空を飛び、黒燕尾を完璧に決め、最後には幸せに満ちたデュエットダンス!
実は3人くらい影武者がいるのではないかと疑いたくなるほどの出番の量ですが、余裕すら感じさせるパフォーマンスは圧巻でした。
そして前作『エクレール・ブリアン』では、なんといっても次期トップ娘役・舞空瞳さんと組んだパリの空の場面が素晴らしいの一言でした。
頭のてっぺんから服の裾まで、全ての動きが風の精という設定にぴったり。
重力というものを忘れたような動きに感動しました。
柚希礼音さんへのリスペクトがにじむ男らしいダンスから、品よく硬派な正統派宝塚系、現代的な振付、そしてのびやかでやわらかい動きまで、様々な魅力を持つ礼さんのダンスからは、片時たりとも目が離せません。
同じく素晴らしいダンサーである舞空さんとのダンスナンバーが今から楽しみですね!!
無敵ののびのびボイス
研3での『オーシャンズ11』、ホテルのシンガーであるマイク役でパンチの効いた歌声を響かせた礼さん。
下級生ながらこれだけ本公演でのソロが多い役を任されていたところからして、歌唱力への評価の高さがうかがえます。
スカイステージの番組で、カラオケにて『エリザベート』の「私だけに」を歌い100点を出したことがあるという最強の逸話も……。
のびのびと広がり安定感のある声は、耳に心地よくいつまででも聴いていたくなります。
また、歌唱力が絶大であるからこそ安心して心を込めることができるのでしょう。
場面によって声も歌い方も異なり感情が染み渡ってくるようです。
バウホール初主演作品の『かもめ』では、台詞からそのまま歌に入るようなスムーズな流れが秀逸!
若きコースチャの初々しさや苦悩が歌声から伝わってきました。
娘役も多数こなし、高い音域もなんのその。
『GUYS AND DOLLS』ではショーガールのアデレイドちゃんを演じ、女声であるだけでなくコミカルで難しい節回しの歌をキュートに歌い上げました。
かと思えば、『オーム・シャンティ・オーム』ではムケーシュのダークなジャズナンバーをおじさまらしい渋ボイスで歌い新しい魅力を切り開きます。
そして『THE SCARLET PIMPERNEL』では、歴代のスターさん達も演じたショーヴランを熱演。
「マダムギロチン」歌い出しの低音は鳥肌モノでした……。
多彩な歌声でどんなナンバーも自分のものにしてしまう礼さん。
これからは主演としてどんどんソロもデュエットも増えると思うと期待大です。
CD発売や、プレお披露目公演『モーツアルト』でのロックナンバーも今から待ちきれません!
キュートからダンディまで幅広いお芝居
歌やダンスで注目を集めがちな礼さんではありますが、実はバウホール初主演作品はチェーホフの『かもめ』、バリバリのロシア文学です。
華やかな歌やダイナミックなダンスナンバーといったものはほとんどないながらも十分見ごたえのある作品になっていたのは、お芝居の力に依るところが大きいと思います。
下級生時代は娘役をかなり沢山演じられていました。
2013年の台湾公演『怪盗楚留香外伝』では、事実上ヒロインともいえるような石繍雲に抜擢。
そして全国ツアー『風と共に―』のスカーレット・オハラ、『GUYS―』アデレイドと、娘役として何度も大きな役どころを演じています。
あまりにその数が多いことから、一時期は男役としての在り方に悩んだという礼さん。
しかし娘役の経験から、組んでわかる「男役」らしさ、逆に「男役」にとらわれない人間としての深みなど様々なことを学びお芝居を磨かれたのでしょう……!
その後、『THE SCARLET―』のショーヴラン、『アルジェの男』ジュリアンなど名作中の影のある男らしい役から、『ANOTHER WORLD』徳三郎といった明るく気風の良い役、『霧深きエルベのほとり』フロリアンのような押さえて繊細なお芝居、そして『GOD OF STARS』ではどこか可愛いヘタレキャラまで、様々な役どころをそれぞれ「らしく」演じていらっしゃることに感動です。
トップスターとなり、お芝居で娘役や、格好悪い役、悪役などを演じることはもう多くはないと思います。
しかし、様々なお芝居を経験してトップとなった礼さんは、これからも様々な格好よさで我々を魅了してくれることでしょう!
『華麗なる千拍子』そろったスーパースター!
歌・ダンス・お芝居の三拍子どころか、カッコよさ可愛さ面白さ……ともう何拍子でも揃ってしまう礼さん。
その様子はまさに、過去の名作レビューの名前を借りればまさに『華麗なる千拍子』!
礼さんと舞空さん率いる新生星組に期待が高まります!