宝塚歌劇団専科の星蘭ひとみさんが2020年10月13日に退団を発表されました。
星蘭ひとみさんと言えば先日、最終回が放送されたTBS火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』で主演である三浦春馬さん演じる猿渡慶太の元恋人役である聖徳まりあとして出演されたことでヅカオタのみならず世間一般でも大いに話題になりました。
宝塚OGでドラマ出演はよくある話ではありますが、現役タカラジェンヌでの連ドラ出演は1994年にNHK連続テレビ小説「ぴあの」でヒロインを務めた元花組トップ娘役の純名里沙さん以来26年ぶりという大快挙でした。
ちなみに、純名さんはドラマ出演のために約1年間休演された後に雪組から花組へと組替えをされて復帰され、真矢みきさん(現:真矢ミキさん)の相手役にまで上り詰められました。
星蘭さんも放送中は「あの可愛い子は誰?」「オードリー・ヘップバーンみたい!」とSNSでも騒がれていたことは皆さんもご存知かと思います。
純名さんの過去の功績もありますし、映像専科とは言われていたものの星蘭さんも2017年星組公演「ベルリン、わが愛」や2018年「ANOTHER WORLD」で2回の新人公演ヒロインを務められている将来を有望される娘役さんであったことからも期待の眼差しを向けているファンの方々も多くおられたことと思います。
しかしドラマ最終回放送終了後に蓋を開けてみれば、まさかの2020年11月30日付で退団という発表。
星蘭さんはまだ研6であることから、公演に出演することなく退団するというのもそこまで珍しいことではありません。
退団するためにはタカラジェンヌ本人の金銭的な負担も大きいことであったり、元々星蘭さんは映像専科ということもあり2019年12月の星組公演「ロックオペラ モーツァルト」以降舞台出演もありませんからそういう意味では当然の措置でもあるとは納得もいきます。
いきますが…。
結局のところ映像専科とは一体なんだったのであろうかという謎がでてきます。
映像専科ということで一般的な芸能事務所のようなプロフィールが作成され、写真も他のタカラジェンヌの皆さんとは違う所謂素化粧でラフな服装というこれまでにないものが掲載されておりヅカオタの皆さんも驚かれたのではないでしょうか。
しかし、結局のところたったの1作品しか出演されることはなくすぐに退団…。
もちろん退団はご本人の意向あってのものではありますが、なんのために映像専科という新しいものまでつくったのかというモヤモヤした気持ちは拭いきれません…。
宝塚歌劇団は100年以上続く歴史ある劇団であり世界にも誇るエンターテイメントであることはご承知のことと思います。
ですがその長い歴史を見ていっても映像方面で多くの功績を残したというようなものはありませんでした。
そのこともあり映像専科にこれからの宝塚歌劇団の可能性が広がるのではないかという期待と宝塚『歌劇団』であるのにその意味に反する映像部門に手を広げるのはどうなのか?という不安のお声もありました。
実際のところ、地上波のドラマに出演されるというのは個人的にではありますが大いに意味はあったと思います。
FNS歌謡祭等の音楽番組に出演してパフォーマンスを披露することはありますが、大抵の場合タカラヅカメイクで出演されることが殆どです。
ファンにとってはそこが魅力の1つではありますが宝塚を見たことがない方からするとあのメイクが近寄りがたい…と感じられる方もおられると聞きます。
しかしドラマ、それも多くの方が見られる時間帯の作品とあれば宝塚に興味のないかたも見られることが簡単に予測できます。
ともなれば、冒頭に記したように星蘭さんを初めて見られた方々が「宝塚ってこういう人がいるんだ!」「凄く綺麗な方だし宝塚もいいかも」というような好意的な気持ちを持っていただけたのではないかと思います。
そういった意味では星蘭さんが地上波ドラマに出演されたことは、大いに意味があったのではないとは考えられるのですが、宝塚は舞台方面には強くても映像方面にはそこまでの力を持っていないことは歴然であり現場で一般の芸能事務所に所属される皆さんと接することで気持ちが動かされることもあるのでは…と考えられます。
敢えての「映像専科」などではなく、これまで通り組に所属した状態で純名さんのように一時的に休演をして映像作品に出演する…という形であれば、また何か違った結果になっていたのでは…と考えずにはいられません。
とても綺麗で可愛らしい星蘭さんをもう宝塚歌劇団の中で観られないという事実は悲しくてなりませんが、今後の彼女の人生と残り少ないタカラジェンヌとしての人生を謳歌していただきたいと思うと共に応援していきたいと思います。