スポンサーリンク

星組「ロミジュリ」役替り2パターンを観劇して

宝塚歌劇についての雑記

宝塚歌劇団星組大劇場公演『ロミオとジュリエット』Aグループ・Bグループの両日程、観劇してきました。

この公演は、日程によって役替りのある作品でした。
宝塚に限らず、演じる人によって同じ役・同じセリフでも違って見えるのがお芝居の面白さだなぁと改めて感じました。

今回は、役替わり公演で感じたことを中心に感想を書きたいと思います。

スポンサーリンク

ベンヴォーリオの役替わり

一番、イメージが変わるな!と感じたのはベンヴォーリオかもしれません。ベンヴォーリオはA日程では礼さんと同じ95期の瀬央ゆりあさん、B日程では2期下の綺城ひか理さんが演じました。

綺城ひか理さんのベンヴォーリオ

確かWOWOWの番組で礼さんが、綺城さんの方が身をゆだねられるベンヴォーリオな気がする、と言っていたと思います。

その通り、綺城さんのベンヴォーリオにはとても包容力を感じました。

幼馴染というよりも、保護者に近い感じで、モンタギュー夫人がロミオの面倒を頼むのも無理はないな、というしっかり具合!

『ロミオとジュリエット』はよく、お茶会のインタビューやファンの間でも“作中で結婚するなら誰がいい?”ということが話題にあがると思います。

先日のニコニコ生放送でも話題にあがっていましたね。

B日程を見たら、ベンヴォーリオと結婚したら幸せになれそう!と確実に思えるベンヴォーリオでした。

そんな好青年なベンヴォーリオを演じた綺城さんが、A日程のパリス伯爵ではどことなく胡散臭い雰囲気を醸し出していたのも個人的にはツボでした(笑)。全く違う人なのが面白かったです。

瀬央ゆりあさんのベンヴォーリオ

一方、瀬央さんのベンヴォーリオも優しさはもちろんありますが、もう少し等身大の若者のイメージ。

もっとロミオと対等で、“ロミオやモンタギュー家のためにこうしなきゃ”と動くというよりは、自分の心に素直に従って動く人物に見えました。

そしてだからこそ、ベンヴォーリオの大切なナンバー「どうやって伝えよう」が泣けます…!

これまで楽しく過ごしていた情景がとても鮮明に浮かぶんです。

物語的に、ベンヴォーリオがロミオに伝えさえしなければ全てうまくいったのでは?とついつい思ってしまいがちです。

けれど瀬央ゆりあさんのベンヴォーリオがジュリエットの死を告げる決意にはとても説得力があり、あの悲劇的な結末はなるべくしてなってしまった、という印象が強く残りました。

ティボルトの役替わり

次に大きな役替わりはやはり、ティボルトではないかと思います。

A日程では愛月ひかるさん、B日程では瀬央ゆりあさんがティボルトを演じられています。

愛月ひかるさんのティボルト

愛月ひかるさんのティボルトは、ロミオを絶対に許さない執念を強く感じました。

血気盛んなヴェローナの若者たちの中でもとりわけ異質で大人な雰囲気があり、絶対勝てない相手という印象。

礼さんのロミオは純粋な少年のイメージが強いので、対比がはっきりとしていました。

瀬央ゆりあさんのティボルト

そして、瀬央さんのティボルトは硬派ゆえに他人を寄せ付けない雰囲気がありました。「本当の俺じゃない」で歌われているように、周りの環境によって作り上げられた自分を頑なに守っているけれど、環境が違えばロミオとも仲良くなれたのではないかな?と思わせるような理性を感じるティボルトでした。

歌唱指導も変わります

今回は、フィナーレ序盤の歌唱指導をA日程B日程でそれぞれティボルト役だった人が担当するのも見どころでした。

13年の星組版ではAB日程でベンヴォーリオとティボルトを演じた紅さんがいずれも歌唱指導をしていました。

今回、愛月さんが死を演じて最後まで舞台に立っているため、B日程フィナーレ序盤に出ることが難しかったことが理由のひとつとしてあると思います。

ティボルトは劇中で笑顔を見せることがないので(不敵な笑みはありますが…)、歌唱指導でキラキラオーラをまとった愛月さんと瀬央さんが見られるのはとてもおいしいですね。

できれば両方観てほしい!

ロミオとジュリエット、ロレンス神父とモンタギュー家・キャピュレット家の夫婦、そして乳母以外の主な役は全て役替わり、しかも出演する下級生までガラッと変わる今回の公演。

ティボルト愛月 ひかる瀬央 ゆりあ
ベンヴォーリオ瀬央 ゆりあ綺城 ひか理
マーキューシオ極美 慎天華 えま
パリス伯爵綺城 ひか理極美 慎
ヴェローナ大公輝咲 玲央遥斗 勇帆
天華 えま愛月 ひかる
碧海 さりお希沙 薫
ピーター遥斗 勇帆輝咲 玲央
ジョン羽玲 有華天路 そら

A日程B日程でかなり違う公演になっていると言っても過言ではないと思います。

チャンスさえあれば、ぜひ両方を見て2種類の『ロミオとジュリエット』、楽しんでくださいね。

(ライター:霧村さえ)