2022年の宝塚の幕開けは月組新トップコンビお披露目公演、「今夜、ロマンス劇場で」「FULL SWING!」と、発表されました。
「今夜、ロマンス劇場で」があまりにも宝塚にぴったりで、月組新トップコンビにお似合いな作品だと思いますので、映画をもとにネタバレを避けつつ、私見も交えて紹介させていただきます。
個人の見解や妄想が含まれますので、苦手な方はご遠慮ください。
ネタバレには気を付けているつもりですが、なるべくフラットに観劇したいという方も、ご注意ください。
ご理解のある方だけ、最後までお付き合いくださいますと幸いです。
映画「今夜、ロマンス劇場で」
「今夜、ロマンス劇場で」は、映画監督を夢見る青年と、もう誰も観ない戦前のモノクロ映画の中から飛び出してきたお姫様の、純愛ストーリーです。
病室に横たわる、老いた元映画の助監督の脚本から、物語は始まります。
その話は実話なのか、老人の創作なのか。
そしてなぜお姫様は映画から飛び出してきたのか。
お話が進むにつれ、その疑問は解き明かされていきます。
画面の向こうから抜け出してきたお姫様との恋愛映画というと、ディズニーの「魔法にかけられて」が有名です。
プリンセスのジゼルの愛らしさに心奪われ、日本映画で似たような設定が作られたと聞き、「魔法にかけられて」ほどは面白くないのでは? とちょっとうがった目で拝見しました。
けれどそんな心配をあっけなく吹き飛ばすほど、映画「今夜、ロマンス劇場で」は名作でした。
気が付けば突飛な設定など忘れて、キャラクターたちの行動に笑い、ハラハラしていました。
そして最後はこんな美しい純愛があるのかと、感動が止まりませんでした。
映画を観るときは、つい人目を気にして泣くのを我慢してしまうのですが、涙が止まらず、鼻も出てきてしまうほどでした。
宝塚での観劇時には、ハンカチでは足りないほどの涙がこぼれる恐れがあります。
ぜひタオル必携でお出かけください。
清く、正しく、美しいラブストーリー!
設定は突飛ですが、日本人の好みに合う、大人向けの名作です。
そして何よりも、清く、正しく、美しいラブストーリー!
人生をかけた究極の純愛と言ってもいいのではないでしょうか?
宝塚にぴったりの美しい名作です。
ストーリーを説明したいのですが、少し書くとネタバレになってしまうほどに緻密に作られたお話ですので、ご容赦ください。
宝塚で舞台化されると初めて聞いた時に「こんな宝塚に相応しい映画作品はない」と、感心しました。
そして主役もヒロインも、新トップコンビのお二人にぴったりなのです。
この映画は綾瀬はるかさんと坂口健太郎さんの、ダブル主演となっています。
文中では便宜上、坂口健太郎さんの演じた健司を主人公、綾瀬はるかさんの演じた美雪をヒロインとさせてください。
主人公は映画の撮影所で働く、映画監督を目指す青年です。
同僚からからかわれるほどに映画が大好きで、仕事の後は毎日のように「ロマンス劇場」に通っては、知り合いに頼んで一人でヒロインの映画を観ていました。
この真面目が過ぎるくらいに映画を愛するお役、月城かなとさんに似合うだろうな、と思っています。
やらなくてもいい仕事まで引き受けて、監督になるための勉強だとニコニコと作業する姿が、目に浮かぶようです。
モノクロ映画から抜け出したお姫様には、秘密があります。
しかし青年を深く愛するがゆえに、その禁を破ろうとします。
その時に、成年が返した言葉。
限りない愛が含まれた美しい台詞なのですが、一秒でも早く月城さんのお声で聞きたいです。
愛しているからこそ、一生をかけて美しく清らかな愛を捧げ続ける。
絶対に月城さんに似合います。想像しただけで胸がときめきます。
お姫様にぶっきらぼうに扱われても、暴力を振るわれても、優しく愛し続ける姿も、ぴったりです。
そして主人公がトレードマークのように被っているハンチング帽も、絶対にお似合いです。
映画ではお姫様を演じる、綾瀬はるかさんの衣装チャンジも見どころの一つでした。
レトロでかわいいデザインを次々に着こなす愛らしさが、モノクロ映画のお姫様というファンタジーな設定に、説得力を与えていました。
映画撮影所なので、素敵なお衣装がふんだんにあるという設定です。
ヒロインはモノクロ映画から抜け出したので、肌も服もモノクロです。
肌はメイクで色を付けています。
お洋服は、モノクロ世界との対比なのか、どれもカラフルなのが素敵でした。
海乃美月さんなら間違いなく、レトロ可愛いお衣装を魅力全開で着こなしてくれるでしょう。
宝塚のお衣装部さんがどんな素敵なものを、何着用意してくださるのか。
想像するだけでワクワクしてきます。
ぶっきらぼうな態度に、失礼だと感じた相手をすぐに殴る恐れを知らない態度。主人公を「下僕」と呼ぶ気位の高さも、海乃さんなら嫌味なくキュートに見せてくれること間違いなしです。
ただの「下僕」呼びから、愛のある「下僕」呼びになる変化も、楽しみです。
主人公が働いている「京映」の大スター俊藤龍之介の配役も気になります。
キザでワガママで、鼻持ちならないところもあります。
ですがスターとしての自負があるので、心が広く女性にも優しい紳士でもあります。
主人公にペンキをかけられても、ヒロインに失礼な口を利かれて、傘で殴られても、決して怒らずにキザな態度でポーズを決めまくります。
これぞ宝塚男役としての、力量の見せ所のお役ですよね。
「ハンサムガイ」シリーズという作品の主役を務めていて、撮影所にも何枚もポスターが貼られています。
「帰ってきたハンサムガイ」「レッツ・ゴー ハンサムガイ」「怪奇! 妖怪とハンサムガイ」など、人気シリーズのようです。
宝塚版のポスターを見るのが楽しみです。
グッズとして発売されましたら、買う準備は出来ています。
主な舞台は昭和35年で、映画では小道具もレトロ可愛いものが多いです。
宝塚の舞台ではどんな風に再現されるのか、ワクワクします。
ストーリーはネタバレになる部分が多く、ここではあまり紹介できないのが歯がゆいですが、映画はNetflix、dTV、U-NEXT、Amazonプライムなどで観ることが出来ます。
予習されたい方は、ぜひご覧ください。
前述の「魔法にかけられて」は、続編の製作が始まりました。
テーマは「Midlife crisis(中年の危機)」だそうです。
プリンセスストーリーとしては、なんだかがっくりしてしまうテーマですね。
「今夜、ロマンス劇場で」の二人に「Midlife crisis」はありません。
限りなく美しい純愛の世界が宝塚の舞台で拝見できる日が、待ち遠しいです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。