みなさまこんにちは。
宝塚歌劇団友の会の先行抽選で、初めて新人公演が当たったので、大劇場で月組の新人公演を初観劇してきました。
宝塚大劇場は、開演前から熱かった
新人公演の開演は18時。
宝塚大劇場は東京宝塚劇場と違って夜公演がないので、夕方に劇場に向かうのは珍しいシチュエーションです。
6月8日は、梅雨の晴れ間の夏日でした。
阪急電車から入道雲を眺めながら、宝塚駅へと向かいます。
花の道の紫陽花を眺めながら劇場に入ると、改札内はいつもより熱気が満ちていました。
1階席も2階席も最後列まで埋まっているのを見るのはいつぶりでしょうか。
全席に、新公のプログラムが配られていました。これは嬉しいサービスです。
どんだけ「芝居の月組」なんだ
礼華はるさんのアナウンスに、満場の拍手。
周りから聞こえる拍手も本気の音量です。
老年の正儀役の風間柚乃さんがせり上がり、芝居がスタート。
貫禄たっぷり、さすがの風間さん、と思いました。
が、ここからがすごかった。
他にも風間さん級の芝居巧者が次々登場したのです。
新公メンバーはほとんど名前を知らないので、観劇後に宝塚おとめとプログラムを見比べました。
真弘蓮
ナンバーワンのびっくりは、後醍醐天皇役の真弘蓮さんです。おとめを開くと、104期で、きよら羽龍さんの隣に写真があります。愛称オラフ、北海道苫小牧のご出身。
後醍醐天皇の本役は、専科の一樹千尋さんです。
いつもの一樹さんに増して迫力炸裂の今回のお役なのですが、新公でも地鳴りのような声とともに、怨霊が降臨しました。
あとで研4の方と知って衝撃でした。いろんな役を観てみたいスターさんです。
毬矢ソナタ
次のびっくりは、一平太役の毬矢ソナタさん。本役の颯希有翔さん(本作で退団)が、楠木の音頭をアカペラで歌い出す場面で、歌ウマ颯希さんさすが!と思っていましたが、新公の毬矢さん節もまた素晴らしい。
役としてこれだけ歌える方がいたとは。颯希さんと同じくらい心揺さぶってきた毬矢さんは103期、研5の男役さんでした。
空城ゆう
さらにびっくりは、大田佑則役の空城ゆうさん。本公演では本役の春海ゆうさんが、憎まれ役の大田父の存在感をずっしり出しているのが芝居を底上げしています。
負けず劣らずの空城さんは100期生、今回特例出演となった新公の長の期でした。100期の男役といえば蘭尚樹さん風間柚乃さんに気を取られていましたが、空城さんにも注目していきたいと思います。
結愛かれん
意外だったのは仲子役の101期結愛かれんさんです。とびきりキュートでダンスが得意な娘役さんかと思いきや、含みのある芝居も得意のようで、本役の白雪さち花さんよろしく湯浴(あ)みのシーンを回していました。
夏風季々
インパクトがあったのは、100期の夏風季々さん(本作で退団)。
若くて美しい母·久子の元気さが、渋い出演者の中で印象に残っています。
101期天紫珠李さんはさすがで、老年の弁内侍という老け役でも安定感がありました。
101期コンビ ぱるかのん
主役の101期の礼華はるさんは、まっすぐで、堂々としていて、フレッシュで、素晴らしかったです。お歌もまっすぐ。今回の楠木正行がお似合いでした。
同じ101期の彩音星凪(あやおとせな)さんは正儀役。
本役は月城かなとさんの、やんちゃな三男坊役です。
大きな目をくりくりさせながら、のびのび演じていました。
2人が最後に言葉を交わすシーンでは、客席からはすすり泣きが聞こえました。
そして出陣式で銀橋に皆が出揃うと、長男正行の礼華さんはまず、二男の正時役の一星慧さんには一瞬ほほえみ、反対側の三男正儀·彩音さんにはうなずき、正儀もうなずき返していたかと思います。同期コンビの名場面でした。
本役さんはすごかった
月組の若手で芝居上手な方といえば、柊木絢斗(ひいらぎあやと)さんが筆頭だと思っていました。
今回も、難役ジンベエを、見事にやり遂げていました。うまかった。その柊木ジンベエを観ながら、本役の千海華蘭さんのうまさに気づかされたところもありました。
今回は南北朝時代という設定と、武家と百姓それぞれの関西の言葉、貴族はあらしゃいます調で、関西出身者にとってもハードルが高いのでしょうね。
風間さんでさえ、ラストのしゃがれ声の関西弁の老人正儀のシーンにはまだ進化の余地が残されていそうで、ほっとしました。
新公を観ると、本公演の本役さんのすごさがわかりますね。
礼華さんときよら羽龍さんが好演だったからこそ、珠城りょうさんと美園さくらさんの本役トップコンビが涙を誘うのは、何が違うんだろうと思った夜でした。
無事に幕が下りて
礼華正行が下手花道にはけ、緞帳が下りてから長い間、拍手は鳴りやみませんでした。
幕が上がり、長の期·蘭尚樹さんのご挨拶です。
昨年新公が中止となり、「一人ひとりが、がんばりたいという思いを手に握りしめたまま、この状況に、己に、必死に向き合ってまいりました」と、高師直のメイクのまま(!)しっかりとお話しされました。
続く礼華さんも、芝居になぞらえて豊かな言葉で表現された、視野の広い、立派なご挨拶でした。
おわりに
新人公演は、舞台の熱もさることながら、客席側の熱気もすごいんだというのを体験してきました。また機会があれば、別の組の新公も観に行ってみたいです。
今回の新公復活までの、出演者·関係者のみなさんのご苦労がしのばれます。
まずは1年数か月ぶりの新人公演復活、おめでとうございました。
東京も無事に幕が開きますように。
ライター:Dj heaven