宝塚歌劇団雪組の2022年一本目の公演は、彩風咲奈(あやかぜ さきな)さん主演の『ODYSSEY』チームと、
縣千(あがた せん)さん主演のバウ公演『Sweet Little Rock ‘n’ Roll』チームの2組に分かれます。
縣さんはこれまでに新人公演で2度主演を務め、今回ついにバウホール公演の主演を射止めました。
その記念すべき作品、『Sweet Little Rock ‘n’ Roll』は公演解説を読むと、「シェイクスピアの『から騒ぎ』を軸にして作った、アメリカの高校生たちの物語」だとか。
ロミオとジュリエットがその代表であるように、宝塚でもシェイクスピア作品はこれまでにも数多く公演されています。
今回の『から騒ぎ』も、1999年に月組がバウホールで公演しています。
でも、実に23年ぶり。
古参のヅカファンも「から騒ぎってどんな話だったっけ…?」と古い記憶を辿っていることでしょう。
こちらの記事では、「から騒ぎ」が一体どんなお話なのか、どの役を縣さんが演じそうなのか、予想も含めてお伝えしていきたいと思います!
「から騒ぎ」はハッピーエンドラブストーリー
シェイクスピアといえば、代表作に挙げられるものはほとんどが悲劇であるため、「シェイクスピア=悲劇作家」の印象が強いかもしれません。
しかし、この「から騒ぎ」は喜劇のハッピーエンド。既に発表されている先行画像も明るいオーラの縣さんにぴったりな楽しそうな印象ですよね。
シェイクスピアがこの戯曲を書いたのは、1598年から1599年頃と言われています。日本で言えば戦国時代。関ヶ原の戦いが勃発する直前あたりの時代ですね。
当時、演劇は風刺などの意味合いが濃く、政治や戦争など、物語の中にいろいろな意味を見出せるものでした。
しかし、「から騒ぎ」は言葉に振り回される人間の滑稽さを表現している物語ですので、政治的な側面はほとんどありません。
あらすじを一言で言えば、2組のカップルが周囲の言葉に振り回されながら真実の愛に気付いていくお話です。
そういう意味でも宝塚に合う作品のような気がしますね。
「から騒ぎ」主な登場人物とあらすじ
まず、中心になるのは2組のカップル。
どんなカップルたちなのかと言うと、まずはその2組をAカップルとBカップル、としましょう。
Aカップルのほうは、男性側の一目惚れであっという間に恋に落ちてしまう2人。
そしてBカップルのほうは、顔を合わせればいつも減らず口を叩いて喧嘩ばかりしている幼なじみの2人です。
Aカップルのほうはあっという間に恋に落ちますが、周囲の悪だくみによって男性が次第に女性を信じられなくなってしまい、愛を見失いかけます。
Bカップルのほうは、お互い憎まれ口を叩いているのは本当は愛情の裏返しだろうと感じていた周囲が2人をその気にさせて、恋仲に発展していきます。
どちらのカップルもポイントになっているのは、「周囲の口車に乗せられて相手への愛情が左右されてしまう人間の単純さ」のような気がします。
Aカップルのほうは周囲の悪だくみによって破局させられそうになり、Bカップルのほうは周囲のお膳立てによって急に「好き」と思い始める。
その「言葉の威力」というものが主題になっている物語のように思いますね。
「Sweet Little Rock ‘n’ Roll」気になるキャスティングは…?
一気に恋に落ちたのに一気に疑心暗鬼になるカップルと、ずっと不仲だったのに一気に恋に変わるカップル。
そのうちの1組を縣さんと夢白あや(ゆめしろ あや)さんが演じ、もう1組を演じるのは…キャスト表を見る限りだと、彩海せら(あやみ せら)さんと音彩 唯(ねいろ ゆい)さんになるのでしょうか…?
彩海さんは新人公演主演も一度経験していますし、『Sweet Little Rock ‘n’ Roll』での2番手として相応しいのではないでしょうか。
問題は、娘役さんの2番手。
キャストの中で新人公演ヒロイン経験があるのは、夢白さんと音彩さんだけですが、音彩さんは直近の『シティーハンター』が初ヒロインでしたので、経験不足は否めません。
しかし、かといって他にキャリアのある娘役さんは見当たらないので、たぶん彩海さん&音彩さんカップルになるのではないでしょうか。
では、AカップルとBカップル、どちらを縣さん&夢白さんコンビが演じるのでしょうか…?
「会えば喧嘩ばかりしている2人」という役柄から、なんとなくBカップルが縣さん&夢白さんのような感じがしますが…でも原作では一目惚れでくっついたAカップルのほうが物語の軸になっています。
そしてそもそも、舞台は1950年代アメリカのハイスクールという設定に変わるわけですから、もしかしたらもっと大幅に脚色が加えられているかもしれませんね。
「周囲の言葉に振り回される2組のカップル」を、縣さんをはじめとする雪組の若手メンバーはどう演じてくれるのでしょうか。