無事に公演終了した宙組全国ツアー公演『バロンの末裔/アクアヴィーテ!!』、梅田芸術劇場での初日公演と、沖縄で行われた千秋楽公演へ行ってきました。
沖縄の会場はビーチが近くリゾート気分
宝塚の全国ツアーが沖縄に行くのは、真飛聖さんがトップだった時代の花組公演以来、実に10年ぶり。
10年前も、会場は今回と同じく宜野湾市にある「沖縄コンベンションセンター」でした。
場所が那覇市内ではないことに不安を感じたものの、那覇空港からゆいレールでおよそ10分の「旭橋駅」から徒歩すぐにある「那覇バスターミナル」からバスに乗れば、およそ30分ほどで会場入り口前に到着します。
そのため、バスの時刻表さえチェックしておけば、観劇当日那覇着予定な県外の人でもじゅうぶん公演に間に合うでしょう。
沖縄コンベンションセンターはすぐ近くにビーチがあり、リゾート地!という雰囲気がただよっていました。
入り口にシーサーがいるのも沖縄らしいですね。
緞帳には琉球船があしらわれているのも印象的。気温は想像以上に高く、12月ながら半袖でも過ごせる陽気でした。
広々としていて開放感のある会場でしたが、客席側に傾斜があまりないのが残念。
前方席でも、前の人の頭が場合によっては気になるかもしれませんね。
初日は違和感を覚えた全国ツアー版『アクアヴィーテ!!』
筆者は今回の公演、梅田芸術劇場での初日も観劇しています。
その時はやはり、2年前の公演の印象が強かったからか、全国ツアー版『アクアヴィーテ!!』に違和感を覚えてしまいました。
トップ娘役が星風さんから潤花さんへ、そして芹香さんと和希さんがいないことによる番手スライド。
それにより、場面がほぼ前回と一緒なまま、真風さん以外のキャスティングがほぼほぼ変わっていたためだと思います。
前回の『アクアヴィーテ!!』を複数回観ていたためか、“次にこの人のあの歌が!あの人のあのダンスが!”とついつい条件反射的に期待してしまうと、“あ…違った…”と思ってしまうんですね。
しかし、千秋楽ではすっかりその違和感が払拭されていたことに驚きを感じました。
大劇場公演時と同じ高揚感を覚え、やっぱり『アクアヴィーテ!!』は神ショーだな!
と大満足のひとときとなったのです。
これは、観る側の“慣れ”だけでは決してなく、それぞれのスターさんが公演期間を通して自分の魅力を活かす見せ方をされ続けたた結果なのだと思います。
それぞれの持ち味・魅力を発揮
潤花さんはとくに、星風さんの印象で定着していた『アクアヴィーテ!!』のヒロインポジションをされるとあって、プレッシャーなどもあったのではないかな?と思っていました。
しかし、持ち前の明るさでそんな観客の心配は完全に吹き飛ばしていましたね。
潤花さんのほうが大人っぽい顔立ちではありますが、やや男前だった星風さんと違ってキュート感強めにされていたのも似合っていて素敵でした。
オープニング後すぐの場面は、大劇場版では芹香さんの余裕たっぷりな男らしいビーストと、とにかく足の長さが衝撃だった実羚さんが印象的で、大劇場版のお二人のほうが身長があったことや、出演者の数が少ないことから、迫力の面での心配が少しありました。
しかし、桜木さんのビーストは茶目っ気たっぷりで優希さんとの気持ちのやりとりに重点を置いている印象があり、2人の駆け引きを見るのがとても楽しい場面となっていました。
瑠風さん以降の男役さんは、番手が2つ繰り上がることでたいへん美味しかったのではないかと思います。
瑠風さんの歌声がたくさん聴けたことは本当に外箱ならではの大収穫ですね。
大劇場公演でもますます活躍してほしくなりました。
和希さんのパートをつとめた鷹翔さん。
和希さんはキレッキレのダンスを見せるダンサーで、とくにウィスキーボンボンの場面はダンスに目が釘づけでしたが、鷹翔さんは男役らしいキザな雰囲気をかもしだしていてとても格好良かったです。
鷹翔さんは大人っぽい色気がある男役さんなんだな、と改めて知ることができました。
宙組の今後について感じたこと
先日、次回公演での退団者が多数発表された宙組。
ここ最近の宙組は立て続けに舞台で重要なポジションを務められている方が多数退団発表されてきている印象があります。
しかし、全国ツアーでの『アクアヴィーテ!!』で感じた、決して層が薄くならない宙組のパワー。
その場にいない方・退団される方の意志や技術をリスペクトして継承しつつ、自分の持ち味に昇華する素晴らしい体系が出来上がっているのでしょう。
退団発表には毎回ショックを受けるものですが、今後の宙組にも注目し続けたい、と改めて思いました。
(ライター:霧村さえ)