梅田芸術劇場で上演される2023年4月29日から公演が始まった花組「二人だけの戦場」は、正塚晴彦先生の作品で、1994年に雪組で一路真輝さんと花總まりさんが主演した作品の約30年ぶりの再演です。
宝塚観劇団オリジナル作品なので、原作を見つける事ができず架空の国?いつぐらいの時代設定かしら?と思っていましたが、天野 道映著 男役の行方: 正塚晴彦の全作品 青弓社 という本を見つけました。
前半は宝塚男役についての評論的な内容でしたが、後半部分に2009年までの正塚晴彦先生の作品についての解説が書かれています。
正塚晴彦先生作品は2022年では暁千星さん主演のブエノスアイレスの風、月城かなとさん主演のブラック・ジャック があります。
また8月からの雪組全国ツアー「愛するには短すぎる」も正塚晴彦先生の演出です。
1976年宝塚歌劇団に入団された大ベテランの先生ですが、まだまだ現役で作品を観劇することができます。
柚香光さんは正塚晴彦先生の作品は、2018年花組全国ツアー『メランコリック・ジゴロ -あぶない相続人-』で主人公ダニエルを演じられています。
正塚先生ってこんな感じ?という映像が最近アップされていましたのでこちらもお楽しみくださいね。
作品の舞台と時代設定
さて「二人だけの戦場」の 時代設定について、1991年から2001年までのユーゴスラビア紛争を下敷きにしているとあります。
ユーゴスラビアはオーストリア、ハンガリーの南側の東ヨーロッパ諸国の一つです。
「エリザベート」「うたかたの恋」のオーストリア・ハンガリー帝国のその後のヨーロッパあたりと想像すると民族主義や内戦などもなんとなくイメージがつきやすそうです。
宝塚歌劇団の洋物作品は、「ベルサイユのばら」をはじめとするフランス革命、「エリザベート」「うたかたの恋」のような東ヨーロッパ系、「グレート・ギャッツビー」「ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)」などの禁酒法時代のアメリカを舞台とした作品が多いです。
今作品は東ヨーロッパが舞台となり、柚香光さんは2014年花組「エリザベート」出演、と今年の正月公演「うたかたの恋」主演されているので民族の独立運動などの世界観も馴染みがあると思います。
初演の物語の構成
初演では、シンクレアという青年士官が上官を殺害した疑いで裁判にかけられた事をインタビューしながら法廷の回想をしつつ上官殺害の経緯を語るという構成になっているようです。
インタビューする作家役の高峰潤さんがタカラヅカニュースのお稽古場情報に主演されていたので、作家の役が物語を語る重要な役どころかもしれません。
登場人物比較
初演時と今公演の登場人物を比べてみました。
まだ観劇はしていませんが、宝塚歌劇団はかなり明確に番手が決まっているのでどのジェンヌさんが演じるかによって役の重要度や立ち位置によって役や物語が想像できます。
高翔 みず希さんが星風まどかさんと 希波 らいとさんの父親役ですが、昨年度花組全国ツアー「フィレンツェに燃える」でも柚香光さんと水美舞斗さん兄弟の父親役でした。
また今作品の見どころの一つに花組におかえりなさいの綺城 ひか理さんの出演があります。
柚香光さんに反発する古参兵のようです。
インパクトの強い演技と歌、ダンスが楽しみです。
シンクレア 一路真輝さん→柚香光さん
テリジェン(シンクレアの友人)轟悠さん→永久輝せあさん
シンクレアの上官でハト派(穏健派)ハウザー古代みず希さん→ 凛城 きらさん タカ派(強行派)クェイド少佐 泉つかささん→航琉 ひびきさん
自治州議長でアルヴァとライラの父 シュトロゼック汝鳥怜さん→高翔 みず希さん
アルヴァ 和おうようかさん→希波 らいとさん
ライラ 花總まりさん→星風まどかさん
シンクレアに反発する古参兵のボス ノヴァロ 矢吹翔さん→綺城 ひか理さん
作家 (インタビュアー) 安蘭けいさん→高峰 潤さん
今公演の解説では揺るぎない友情と、異民族であるが故に許されない恋を描いているとありました。
柚香光さんと星風まどかさんの恋愛はもう安定のカップルだと期待しますし、水美舞斗さんが専科に異動され、柚香光さんと永久輝せあさんとの友情も熱い演技を楽しみにしています。
ライター・さんなん