公演関係者のコロナ陽性により、残念ながら一時休演となってしまった「心中・恋の大和路」ですが、なんと異例の追加公演が行われました。
更にディレイ配信も決定となり、ファンも盛り上がっています。
宝塚でディレイ配信が行われるのは「夢千鳥」以来の、二度目です。
前回も和希そらさんの主演作ですね。
ディレイという形でも和希さん主演作を配信したいという、劇団側の強い意志を感じます。
公演を順調に行うのは、小さな奇跡の積み重ねのような現状です。
宝塚は大所帯ですから、他の舞台より危険性が高いと思います。
現に同じく大所帯の「ハリー・ポッターと呪いの子」は、何度も休演となっています。
元星組トップの北翔海莉さんが、「LOVE&DREAMS」のクイズで、出演者さんよりスタッフさんの方が多いと仰っていた記憶があります。
舞台の幕を上げ続けるのは本当に大変な中、和希さんがなぜ今強く推されているのかという点を、考察したいと思います。
あくまで個人の考えですので、苦手な方はご遠慮ください。
最後までお付き合いいただければ、幸いです。
和希そらさんの代表作に!
「心中・恋の大和路」を和希さんの代表作にして欲しいと託されたと、谷先生が仰っていました。
再演だから、型があるからこそ難しいという、宝塚和物の代表作でもある作品です。
「夢千鳥」「心中・恋の大和路」と和物に挑戦され、しっかりと結果を残している和希さんですが、実は宙組出身です。
「夢千鳥」が「和物」と呼べるかは異論があると思いますが、ご容赦ください。
1998年に発足した宙組は、なんと2006年の「維新回天・龍馬伝!」まで、大劇場で和物と言い切れる作品が上演されなかった、特殊な組です。
そのあとも轟悠さん主演で「黎明の風」が上演されるものの、こちらも白洲次郎氏が主役という、現代よりのもの。
大空さんトップ時代に、平安物と戦国時代もの、そして全国ツアーの「銀ちゃんの恋」に取り組みますが、そのあとはまた和物と離れてしまい、真風さん時代まで待たなければなりません。
先輩から後輩へ、技術を受け継いでいくのが宝塚です。
和物を演じたいと思うタカラジェンヌには、宙組は厳しい組と言っていいでしょう。
和希さん自身も、レビューの「白鷺の城」ぐらいしか、和物を演じていなかったと思います。
そのほかには、スペインを舞台とした「エル・ハポン」の仙台藩士役ぐらいでしょうか。
そんな和希さんを抜擢し、これが宙組作品かと目を疑う「夢千鳥」を大成功させ、和物の雪組に移動させて「心中・恋の大和路」でその実力を見せつける。
劇団の慧眼と計画には、感服するしかありません。
和希さんと言えば、以前は洋風でスタイリッシュな印象でした。
宝塚GRAPH最新号の、桜木みなとさん朝月希和さんとご一緒の写真も、本当に現代的でかっこいいですよね。
しかし今では「和物の和希そら」と言ってもいいのではないでしょうか。
ディレイ配信は、和希さん専用なのか
「夢千鳥」でディレイ配信が始まった時、「これから宝塚もディレイ配信の時代が来る!」とワクワクしました。
「夢千鳥」は無観客収録で、ディレイ配信したのは5月8日(土)の19時からでした。
土曜日の夜という、ファンには嬉しい時間です。
ちなみに同時期に無観客ライブ配信した星組ロミジュリは、5月2日(日)と9日(日)の18時半からでした。
この時期はOGさんのエリザベート・ガラとの配信との調整があったので、単純には語れません。
無観客とはいえ、ライブ配信となれば生徒さんもスタッフさんもいて、「配信だからちょっと遅めにしようか」なんてことが出来ないのは重々承知です。
でも「夢千鳥」の時間設定が絶妙だと感じてしまうのも、また事実です。
宝塚ファンに多い会社員、主婦にとって、都合を合わせやすい時間です。
これからは「ライブ配信&ディレイ配信」や「ディレイ配信」の時代が来ると期待しましたが、全く音沙汰がありませんでした。
ファンへの福利厚生が手厚いことで知られる宝塚です。
舞台に合わせるのではなく、ファンそれぞれの都合に合わせられるディレイの時代が来ると思っていました。
しかしまさかの、「心中・恋の大和路」での復活です!
今回は日曜日ですが、やはり19時からと見やすい時間設定です。
ディレイ配信は和希さん専用機能なのでしょうか。
他の公演、特に日程調整が難しい外箱公演でも、やってくれてもいいと思うのですが……。
劇団の「和希さんを推したい」という、確固たる意志が見えるようです。
追加公演という、異例の厚遇
「心中・恋の大和路」で追加公演が発表されたときは、本当に驚きでした。
「そんなことできるの?」と思った方も多いはずです。
これまでも出来たはずなのに、なぜこの作品で……と考えると。
やはり、是が非でも成功させたい。
一人でも多くの人に生で見てもらって印象付けたいという気持ちが、あるような気もします。
「ODYSSEY」がある意味では追加公演ですから、それがヒントになった可能性もあります。
しかし和希さんが強く推されているという事実は、変わりません。
なぜ、今なのか
コロナ禍で、宝塚の人事は全体的に停滞しているような気がします。
新人公演の機会も減り、外箱も慎重になりました。
その中でも和希さんは停滞を許されず、押し上げられています。
「和希さんと言えば和物」と印象付けたいのは、明白です。
和物と言えば、雪組。
すでに雪組トップスターへの道が、約束されたようなものでしょう。
けれど雪組はトップ娘役朝月さんの退団が発表されたばかり。
次期トップ娘役と噂される夢白さんは丁寧に育てられた印象の強い方ですから、短期ということはないでしょう。
つまり彩風さんの任期はまだ長そうです。
その下には確固たる二番手の、朝美絢さんがいらっしゃいます。
トップに向けて、順調とは言えない道を歩んで来た朝美さんですが、現在は盤石のはずです。
それでも和希さんに停滞を許さず強く推すのですから、どこかで番狂わせがありそうです。
彩風さんが明日海りおさんのように後追いで退団し、夢白さんが朝美さんの相手役にスライドするのか。
朝美さんが大空祐飛さんのように落下傘になるのか、貴城けいさんのようなワン切りになるのか。
劇団が何の考えもなく和希さんを和物で爆上げしようとはしないはずですので、ムズムズします。
ただでさえ二番手問題が多い現状です。
人事が落ち着いているはずの雪組でもこの動きとなれば、ファンは落ち着いていられませんね。
和希さんを応援したい!
もちろん贔屓にはトップになって欲しいのが、宝塚ファンです。
しかしトップさんになると、ある程度役の幅が狭まってしまうもの。
様々な役、表情が見られる2番手、3番手ぐらいが一番おいしいと感じてしまうのも、また事実。
現在3番手の和希さんですが、今しか見られない和希さんを思いっきり応援したいと思います。
28日の配信が楽しみですね。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。