令和初・9度目再演の「うたかたの恋」は小柳奈穂子先生の演出です。
豪華絢爛な衣装がとても正月らしく華やかでした。
お話は心中物語なので決して明るくないのですが、クラシカルな品ある雰囲気を残しつつ「うたかたの恋」の世界がより深くなる素敵な作品でした。
柚香光さんを堪能してきました
美の暴力とも言われる花組トップスター柚香光さん。本当にため息が出そうなほど美しい軍服姿でした。福眼とはこの事をいうのですね!マリーとの交際を止められ酒場で荒れて着崩れた姿まで美しかったです。
ポスターの挑むような眼の解釈
ポスターが発表された時には、この挑むような眼はマリーへの独占欲なのか?と思いました。
観劇してみると、どうして心中に至るまでの感情の変化がゾッとするほど狂気に満ちていました。
闇堕ちという言葉がぴったりで、個人的には、ポスターにある挑むような眼差しは、心中以外に選択肢がないという決意をしたルドルフの表情だと思いました。
今までのルドルフ皇太子のポスターは気高くノーブルな雰囲気でしたのでその違いに驚かれたファンも多かったと思います。
舞台装置がルドルフにかかる圧を表現
舞台装置で、ハプスブルク家の紋章を思わせるアンティークゴールドのアーチが印象的でした。
豪華なんですが影がありルドルフが息苦しさを感じるハプスブルク家の圧そのもののようでした。
史実に近いマリーを演じた星風まどかさん
星風まどかさん演じるマリー・ヴェッツェラ男爵令嬢ですが、史実によると歴史ある名家の令嬢という訳でなく父親が有能であったために貴族となり、母の猛プロデュースにより社交界にデビューしたという背景がありました。
星風まどかさんのマリーは何も知らない無垢な少女というより、史実に近いしっかりと意思のあるマリーでした。
最初は恋に浮かれている少女が心中を決意するあたりから瞳がギラギラ輝いて、自らの意思でルドルフ皇太子と運命を共にするという強いマリーを感じました。
豪華絢爛な衣装
前作の花組宝塚大劇場作品「巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜」でも貴族の豪華な衣装がとても宝塚らしく素敵でしたが、今作はこれを上回る豪華さでした。
お正月らしい華々しい舞踏会のシーンは本当に夢の世界でした。
柚香光さん水美舞斗さん永久輝せあさんの3人並びが尊い
水美舞斗さんの専科異動は宝塚ファンにとってかなりの衝撃ニュースでした。
ショーだけでなく劇中でも柚香光さん、水美舞斗さん、永久輝せあさんのダンスがあり、退団ではないので見れないわけではないけど花組の水美舞斗さんはこれで最後だと思うと、はかなくて美しくて尊いなぁとすら思いました。
びっくさんの安定感
びっくさんこと羽立 光来さんは策略をめぐらすフリードリヒ公爵役です。
永久輝せあさん演じるフェルディナンド大公を皇帝にしようと企みます。長身もさることながら柚香さんの熱量をどーんと受けとめられていて観劇して安心感がありました。
公演グッズの扇はうたかたの恋とリンク?
「ENCHANTEMENT(アンシャントマン) -華麗なる香水(パルファン)-」は野口幸作先生の作品です。
今回の公演グッズは扇でした。「うたかたの恋」で二人が出会うシーンでマリーが落とした扇子をルドルフ皇太子が拾うのですが、そこにリンクしての扇かなというのは考えすぎでしょうか?
MADOKA NO.11 と03/05
香水といえば、CHANEL No.5ですが、MADOKA No.11でした。そして隣には03/05の数字が。03/05は柚香光さんのお誕生日、11は星風まどかさんのお誕生日が11月11日でした。
鹿!鹿!
香水がテーマのショーですが、ムスクの場面でバカでかい鹿の首が登場!
ムスクはジャコウジカから採取されていたので、鹿なのは理解できましたが、そんなに主張しなくても…というビッグサイズでした。
1月号の「歌劇」でチェックすると柚香光さんが、その存在感を超えるため打倒、鹿!でお稽古しなければ。と書かれていました。
ダンスや歌だけでなく、香水にも思いをはせたいとおもいましたが、すべて鹿!に持って行かれたショーでした。
ライター・さんなん