①最高のキャスティング
当時花組トップスターであった明日海りおさんだからこそできた作品ですね。
明日海さんは、いわゆるフェアリー型と言われるタイプで、男役さんのなかでは比較的小柄で華奢(それでも男前の役からプレイボーイの役まで なんなく演じきるからすごいですよね)。
だからこそあの少年の役を、まるで漫画からそのまま出てきたかのように演じられたのだと思います。
そして柚香さん演じるアラン。
こちらもびっくりするぐらい似合ってましたね。
今でこそどんな作品でもハズレなしのトップスターですが、トップ就任前の作品のなかではトップレベルでハマって いた役だと思います。
そして前花組トップ娘役の華優希さんがメリーベルという重要な役に大抜擢されたのもこの作品です。
彼女にとっては間違いなく出世作となったことでしょう。
可愛いを具現化したような役を見事に演じ切られました。
②場面の切り取り方が素晴らしい
原作のあの膨大な量かつ難解な物語を約3時間の舞台に綺麗にまとめられていることに驚きました。
原作ファンで 何度も読み込んでいた私ですが、舞台化された中に1つも無駄なシーンがないと感じました。
物語の本筋をしっかりと描きつつ、本筋には重要ではない部分はコンパクトにまとめてナレーションベースで進める、そのバランスが絶妙です。
③原作の言葉を歌詞に
基本的に劇中歌は原作の言葉から引用されています。
そもそも原作に綴られているのは詩的な言葉が多いのです が、その中からのチョイスが逸品です。
特に最後にエドガーとアランの2人で歌う、「時の輪」は、一緒に生きていくことを決めた2人の心情とこれからも続く旅を思わせる、素敵な場面です。
さて、ここまで『ポーの一族』について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
小池先生が手がける次 回の花組作品『アルカンシェル』は、ダンサーが主人公のお話だそうですね。
公演は2月から、それまでに小池先 生の前作『ポーの一族』もぜひチェックしてみてくださいね。
さて、今日から、東京宝塚劇場にて花組公演「鴛鴦歌合戦」が開幕します。
退団発表をされてから初めてお客様の前に立ちます。どんなご挨拶をされるのか、楽しみですね。