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真面目にはっちゃけ!雪組『20世紀号に乗って』観劇レポ

観劇レポ

雪組シアターオーブ公演『20世紀号に乗って』観劇してきました!

雪組トップスター望海風斗&トップ娘役真彩希帆の「だいきほ」は当代きっての歌うまと名高いトップコンビ。

この二人率いる雪組は、前回の大劇場公演で『ファントム』を大成功に導き、現在ますます勢いづいています。

観劇したのが週末ということもありますが、シアターオーブは超満員、立ち見もぎっしり……という大人気ぶりでした。

望海風斗トップ就任後の雪組作品は悲劇続きでした。

魂を震えさせるだいきほの美声に思う存分涙するのも最高の舞台体験とはいえ、そろそろ明るいお話も観たい!という期待が高まっていた中、今作は終始笑い通しのコメディ作品。

悲しすぎて、ではなく笑いすぎて涙が出てしまうような楽しい演目でした。

(以下、ネタバレを含みます)




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実力に裏付けられた、全力のコメディ

冒頭「20世紀号」に乗り遅れ、列車の外壁にしがみついて「開けてくれーーー!!!」と窓を必死に叩くというまさかの登場をする落ち目の舞台監督役、望海風斗。

事あるごとに妄想劇場を繰り広げ、常に芝居掛かったセリフ回しで絶叫しまくりの大女優役、真彩希帆。

何度も何度も扉にバンッ!と挟まれヘロヘロになる二番手なんて中々観られるものじゃありません、「残念なイケメン」風の彩風咲奈。

上記以外にもとにかく濃ゆ〜〜いキャラクターが揃ってハイテンションなドタバタ劇を繰り広げます。

幕が上がってから下りるまで息つく間も無くギャグシーンの連続でしたが、それでも中だるみやクドさがなく舞台に夢中でいられるのは、各々の生徒さんが自分の役を掘り下げちょっとした動きや間の一つ一つに至るまで研究を重ねた成果ではないでしょうか。

雪組生たちが真面目に真面目を重ねて全力ではじけている、そんな舞台でした。

トップコンビは言うまでもなく、彩風咲奈や朝美絢はじめ脇を固めるメンバーも歌唱に自信のある生徒揃い。

いかんせんコメディなので歌詞の内容自体は割としょうもない(例: ハリウッド映画業界の俗悪さにいちゃもんをつける歌、思わぬ大金が舞い込んでお金を数えながら狂喜する歌など)にもかかわらず、歌がうますぎて謎の感動を覚えるという不思議な体験をしました。

以下、主要キャストの役別感想です。

ヒゲのダンディ奇人、望海風斗

望海風斗(だいもん)はヒゲが似合う。

そんなことは根っからのだいもんファンの方々からすると何を今更……という感じかもしれませんが、立派な口髭にクラシカルなスーツ姿の望海風斗は最高に渋くてカッコいい!

古き良き洋画俳優のようなダンディな魅力に溢れています。

あんまりヒゲが似合いすぎて、フィナーレのデュエダンでヒゲ無しになっているのを観て「ヒゲ取らないで……!」と思ってしまったほど。
(カーテンコールではちゃんと?ヒゲをつけて出てきました)

ポスターの段階で渋カッコよさ全開でしたが、パンフレットにも素敵ショットが盛りだくさんでした!

今回望海風斗が演じる舞台監督オスカーは、誇大妄想狂的なところがあって周りを振り回しまくるかなりクセの強いキャラクターなのですが、人騒がせで変なヤツであるにもかかわらずなぜか魅力的に見えてしまう、不思議と人を惹きつける雰囲気があります。

望海風斗は役の作り込みが完璧すぎて、上演中はタカラジェンヌとしての「だいもん」を観ている感覚ではなく役としての「オスカー」の方に自然と意識が向きます。

役に入り込み「演劇」としての完成度を高める名演技は今回もピカイチ。

観劇後、真面目なだいもんが稽古場で繰り返し繰り返しふざけたシーンを練習し続ける姿をふと想像してしまいました。

何事にも100%真剣に向き合うだいもんは素敵です。

全てをなぎ倒して行く勢いの真彩希帆

今回一番印象深かった真彩希帆

自意識過剰気味の大人気ハリウッド女優、リリーを演じています。

キャラの濃さは望海風斗演じるオスカーに負けず劣らず。

彩風咲奈演じる今彼のブルースとバカップル振りを見せつけたかと思ったら急に袖にしたり、元彼オスカーと思い出に浸ったかと思えば突如我に返って罵倒しまくったりと大暴走。

「強い女」的役どころなのですが、強い女といっても愛希れいか演じた『BADDY』のグッディのように正義感に溢れ己の信念を貫き通すようなキャラではなく、気まぐれに揺れる激しい感情で男を振り回しまくる女性です。

『ファントム』で純朴なクリスティーヌを演じた人と同一人物とは思えない見事なはっちゃけぶりでした!

動き回り、激しい演技をする中で高低の激しい難曲の数々を歌いこなす実力はさすがのもの。

見た目も正直クリスティーヌより今回のリリー役のビジュアルのほうが似合っているのでは?と思うほど光っていました。

おバカキャラで新たな扉を開いた彩風咲奈

真彩希帆演じる大女優リリーの今彼かつ彼女のおこぼれに預かって仕事をもらう俳優、ブルース役。

リリーと人前でイチャイチャしまくったかと思ったら簡単に捨てられてしまうちょっとかわいそうなおバカキャラです。扉に挟まれ続けるし……。

明るい役どころも手伝ってかもしれませんが、確かな実力に加えて華やかさもどんどん増してきています。

少ない登場でもキラキラオーラ、彩凪翔

彩凪翔は車掌役。

ちょっと出番が少ないのが残念でしたが、「あっ翔ちゃんだ!」とすぐにわかる華は健在です。

終盤での白いお衣装やフィナーレでのダンスが素敵!

キャラ立ち、朝美絢&真那春人

オスカーの部下二人。

登場頻度も多く美味しい役どころでした。

朝美絢演じる呑んだくれのオーエン、真那春人演じる生真面目な苦労人オリバー、表情がコロコロ変わる二人のコメディ演技は物語の重要な推進力になっていました。

かなり量が多くハイスピードなセリフ回しをスラスラとこなすのはさすが。

以上、『20世紀号に乗って』観劇レポートでした。

次々と笑いが押し寄せる舞台に元気をもらえること間違い無し。

著作権の問題で映像化は難しいそうなので、まだ遅くはありません、観に行くなら今!ですよ!

ライター: ミナミ