梅田芸術劇場にてロマンチックコンサートが6月1日, 2日に開催されます。
剣幸、涼風真世、紫苑ゆう、姿月あさとなど豪華なOGメンバーに加え、現役からは専科生も出演。
専科に異動したばかりの愛月ひかるも加わり、元宙組トップ娘役の実咲凜音とは久々の共演です。
楽しみですね!
岡田敬二先生の「ロマンチック・レビュー」シリーズ
今回はこのロマンチックコンサートで取り上げられる、岡田敬二先生の「ロマンチック・レビュー」シリーズについてご紹介します。
岡田敬二先生はなんと1967年から座付演出家を務めている大ベテラン。
岡田先生の作品には、宝塚を知らない人でも「宝塚」という言葉を聞いてイメージできるような、古き良き宝塚を現代に引き継ぐレビュー作品がたくさんあります。
クラシックな上品さがありながら、華やかでスターそれぞれの色気を引き出す演出の数々で、観客を一気に日常から夢の世界へと誘います。
「ロマンチックレビュー」シリーズを紹介
「ロマンチック・レビュー」はそんな岡田先生が演出を手がけた作品の一群です。
1984年の『ジュテーム』を皮切りに、その後の岡田先生演出作品はロマンチック・レビューシリーズに数えられています。
最新作は2018年の『シトラスの風ーSunriseー』で、再演も含めるとこの作品で20作目。
長いキャリアの中でたくさんの魅力的な作品がありますが、特に好きなものを中心に取り上げていきます。
『ル·ポアゾンー愛の媚薬ー』(月組、1990年)
ロマンチック・レビューシリーズ第5作目のこの作品は、初演から30年近く経った今でも「この作品が忘れられない!」というファンの多い名作です。
トップスター剣幸、トップ娘役こだま愛、二番手スター涼風真世という超・超実力派が真ん中に揃った豪華すぎる舞台(この三人はロマンチックコンサートにも出演します!)。
三番手はあの天海祐希です。
歌唱の美しさは言わずもがな。映像でしか観たことがないのですが、生で観られたらどんなに素晴らしかっただろう……と羨ましく思わずにはいられません。
トリスタンとイゾルデの場面や白燕尾の男役群舞など魅力的なシーンは数あれど、一番インパクトがあるのはやはりプロローグ。
幕が開き、丈の長いゴージャスな衣装に身を包んだ涼風真世が歌い出すオープニングから一気に魔法のような世界観の虜になります。
涼風真世のこの世のものではないような妖しい魅力が詰まった名シーンです。
真っ赤な衣装に身を包んだトップコンビが仄暗い舞台にパッと現れる瞬間からの一度聴いたら忘れられない主題歌の流れには「美しい」以外の言葉が出てきません。
『ナルシス·ノアール』(星組、1991年)
シリーズ第6作目で、当時のトップスターは日向薫、トップ娘役は毬藻えりです。
この時二番手だった紫苑ゆうさんの深みのある優しいお声を堪能できます。
好きなのは「すべての花より甘く香り」のシーン。
様々な花をテーマにスターたちの見せ場が続いていくのですが、ここの華やかさとギラギラ感がたまりません!
星組は昔からギラギラだったんですね。
「ほらカッコいいだろう」と言わんばかりに決める星男たちのオラオラっぷりに圧倒されます。
男役5人が揃ったシーンの濃ゆさは必見。
妖艶で耽美的なプロローグとの差が大きすぎて驚きます。
スターの魅力をあの手この手で際立たせてくれる名演出に感謝……。
『シトラスの風』(1998年、宙組)
宙組の代名詞といえるこの名作はシリーズ第12作目で、なんと3回も再演されています。
真風涼帆・星風まどかのお披露目公演だった『シトラスの風ーSunriseー』は記憶に新しいですね。
凰稀かなめ時代、朝夏まなと時代にも再演されており、直近三代の宙組トップは全員シトラスを主演していることになります。
新しい組のために作られたこのレビューはフレッシュな華やかさに満ちていて、長きにわたって愛されているのも頷けます。
高身長の宙組スターたちがパステルカラーの衣装をまとってゆったりと踊る姿に惚れ惚れ。
『ロマンス‼』(星組、2016年)
シリーズ19作目、ここからは一気に時代が変わり3年前の公演です。
ロマンチック・レビューシリーズは近年は再演が多くなっていましたが、この作品は岡田先生にとって久々のオリジナル(そして再演を除けば今のところ最新作)。
「古き良き宝塚」を体現する岡田先生の作品は、新しい作品の中ではともすると過度にレトロに見えてしまうこともあるのですが(展開のスピード感など)、この作品ではそのレトロさがトップスター・北翔海莉のクラシカルな魅力と相まってロマンチックな世界観を確立しています。甘い色合いの衣装も素敵。
伝統と革新が共存する宝塚の奥深さ
以上、ロマンチック・レビューシリーズから特に好きなものをかいつまんでご紹介しました。
斬新な『BADDY』やJPOPメインの『ESTRELLAS』と見比べると雰囲気や構成の違いに改めて驚かされますが、「ザ・宝塚」という感じの耽美的でクラシカルなレビューも大切に受け継ぎつつ新たな挑戦を続ける宝塚のショー演出からこれからも目が離せません。
「型破り」が楽しめるのは型を知ってこそ。ロマンチックコンサートが催されるこの機会に、ロマンの世界にうっとりしてみては?
ライター:ミナミ