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今こそ語りたい!元月組トップスター瀬奈じゅん

宝塚OG

2018年、このニュースに驚かれた方は多いのではないでしょうか。

「元宝塚男役トップスターの瀬奈じゅん、特別養子縁組にて母となる」

若い宝塚ファンの方は誰?と思ったかもしれません。

瀬奈じゅんさんは、「あさこさん」の愛称で親しまれた男役スターです。

彼女は「男役」という美学をとにかく追求し続けました。

今こそ、「一昔前の」男役、瀬奈じゅんさんについて語りたいと思います。

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激動の経歴

1992年78期生として入団、花組に配属されます。

同期には貴城けいさん、大空祐飛さん、檀れいさんがいます。

1998年「SPEAKEASY」で、新人初主演。

2001年『マノン』でバウホール公演初主演。

着実にキャリアを積んでいきます。

新人公演を卒業した辺りから、1期上の春野寿美礼さんとコンビで活躍されるようになり、「オサアサコンビ」と呼ばれるようになりました。

そして2000年、宝塚ファンを激震させる制度が発足します。

それは俗に「新専科制度」とよばれ、各組の2・3番手の男役をまとめて「新専科」に移動させるというものです。

ベテランが所属する「専科」とは一線を画し、「新専科」の生徒は各公演の2番手格として特別出演するのです。

バウホールなどの小劇場には主役として出演することもありました。

当時、男役スターが飽和状態だったためにとられた措置といわれています。

今、同じ制度が出来たらと思うと・・・良くも悪くも考えられないですね。

そして翌年の2001年、春野寿美礼さんが在団12年目にしてトップスターに抜擢、瀬奈じゅんさんは2番手を務めるようになります。

「オサアサコンビ」として息の合ったコンビネーションを魅せてくれていましたが、2004年次期トップスターに内定し、月組に組換えとなります。

そして組み換え後初の公演『エリザベート』では、2番手男役でありながらヒロインそしてタイトルロールのエリザベートを演じるのです。

月組トップスターとして

2005年、満を持しての月組トップスターに就任します。

相手役には、花組時代に共演経験のある彩乃かなみさんを迎えました。

彩乃かなみさんとのトップスターコンビ、大空祐飛さんとの同期コンビ、霧矢大夢さんとの1・2番手コンビ、どの角度から見ても楽しめる、魅力的なトップスターでした。

しかし就任以来作品に恵まれず、ヒット作のない状態が続きました。

2008年、『ME AND MY GIRL』の主人公ビル役を演じます。

若手の頃から、ビルのイメージにぴったりとのことで、ファン待望の公演でした。

私も観に行きましたが、「ひとりのラッキーより、ふたりのハッピー」というキャッチフレーズにぴったりな、心からハッピーになれる素晴らしい公演でした。

余談ですが、現在の月組トップスター珠城りょうさんは、この公演が初舞台でした。

そしてこの『ME AND MY GIRL』は、相手役彩乃かなみさんの退団公演でもありました。

以来退団まで相手役不在のトップスターとなったのです。

それだけお二人の絆は深かったということなのでしょうか。

もしくは、劇団からの指示だったのでしょうか。その真相はわかりません。

相手役不在の間には、大作『エリザベート」も公演され、エリザベート役を全組にわたるオーディションで決めるという異例中の異例の方針がとられました。

これらの出来事には賛否両論ありました。

「あさかなコンビ」の絆に涙するファンもいれば、月組の娘役とは組めないの!?という怒りの声もありました。

そういった意見の矢面に立たされたのは、瀬奈じゅんさんなのです。

そして2009年に12月、宝塚を退団します。

男役の美学

瀬奈じゅんさんを語るうえで欠かせないのが「男役の美学」です。

「男役10年」という言葉が物語るように、男役は10年のキャリアを経てようやく完成すると言われています。

ただ男を演じるのではない、「男役」を演じなければならない。

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「男役」に到達するまでには、並々ならぬ努力、様々な紆余曲折があるのでしょう。

月組トップスター時代、男役数人との対談にて語られました。

「こんなに自分の欠点ばかり探す仕事無いよね。」

瀬奈じゅんさんは、長身・小顔・端正な顔立ち・抜群のスタイルと一般人とは比べ物にならないほどの魅力をお持ちです。

しかし、毎日鏡を見てはメイクの研究をし、衣装の細部までミリ単位で調整するそうです。

また、照明の角度や光の当たり方、発声の方法、この役ならスーツのどこにしわが出来るのだろう・・・といったことにまで気を遣われていました。

完成した男役は後ろ姿が違うそうです。

瀬奈じゅんさんの後ろ姿は、紛うことなき本物の男役でした。

そんな瀬奈じゅんさんに憧れるタカラジェンヌは多いでしょう。

まさにスターですね。

退団後の活動

宝塚を退団後、女優・瀬奈じゅんの初披露は「エリザベート」です。

宝塚時代には3度の出演経験があり、いずれも主要人物を演じただけあって、まるで本当にエリザベートの魂を宿したような、圧巻の演技でした。

その後も舞台女優として、コンスタントに活動を続けています。

また、舞台より少ないですが、時々ドラマにも出演しています。

最近では、昨年話題になったドラマ「今日から俺は‼」の主人公・三橋の母役をされていました。

元タカラジェンヌがそんな役をするの!?と驚いた方もいたかもしれません。

しかし、瀬奈じゅんさんは月組時代、度々アフロ姿を披露しているため、ファンには懐かしい装いだったのではないでしょうか。

気の強いお母さん役、とてもはまっていましたね。

プライベート

2012年、舞台俳優の千田真司さんと結婚されています。

舞台での共演がきっかけで交際が始まったそうです。

昨年、特別養子縁組制度にて、お子さんを迎えられたことが、大きな話題となりました。

「我が子は、その小さな体ではまだ抱えきれないであろう運命を持って産まれてきました。私たちは常に寄り添い、支え、共にその運命を乗り越えていく覚悟です。」

あさこさん、そして夫である真司さんの、暖かいお人柄を感じさせる言葉ですね。

2019年8月には、月組トップスター時代、2番手を務められていた霧矢大夢さんのディナーショーに出演されるそうです。

再びあさきりコンビを見られるなんて、ファンは感無量です。

やはり同じ時期に宝塚で過ごしてきた仲間との絆は深いのでしょう。

元タカラジェンヌのSNSにも度々登場されているので、見逃せないですね。

まとめ

元月組トップスター、瀬奈じゅんさんについて語ってきました。

退団して何年も経ち、宝塚時代の瀬奈じゅんさんを知らない方も増えているでしょう。

しかしその男役としての生きざまは、いつの時代も「私の御贔屓さんも、こういう男役になってほしい」と思わせる魅力があるのです。

これからも女優として、母として、「瀬奈じゅん」として、私たちの記憶に刻まれていくでしょう。