ただいま宝塚大劇場では、月組『I AM FROM AUSTRIA』 が絶賛公演中です。
「一本物のお芝居だと、主要な役どころの人ばかりに目がいく、どうしたらいいのかしら」
などとお困りの方も多いかもしれません。その悩み分かります。
しかも、月組は下級生に至るまで、細かなお芝居を繰り広げ、目が足りない魅力あふれる組です。
そんな月組を、男役10年を目前に控えながら支えてくれているジェンヌさんがいらっしゃいます。
それは『蓮つかさ』 さんです。
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そこで今回は蓮さんにフォオーカスを当てたいと思います。
蓮つかさに注目!
まず、宮城県出身の蓮さんは 2011年に『めぐり会いは再び』で初舞台を踏んだ97期生です。
月組で数々の作品を支えてきた海乃美月ちゃんと同期ですね。 (→97期生一覧)
愛称は「このちゃん」や「れんこん」、新人公演の『AII for One』 ではダルタニアン役で主演を務めています。素晴らしかったです。
また、演技力もさることながら、蓮さんは美しく、鋭い目つきや微笑みも華になるジェンヌさんです。
佇まいも美しい彼女の魅力にもう少し詳しく迫りたいと思います。
さて、蓮さんですが、まずは声と活舌の良さです。
『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-』では、青天がこれでもかと似合う植田役をされていたのですが、同時に、顔の映らない船頭さんの役もこなされています。
その口から言葉を発せられた瞬間、「この耳なじみ良く、一言一句聞き取れる優雅なしゃべり方、きっと蓮さんや…」と私は確信しました。
プログラムを見て蓮さんだと確認が取れた瞬間、 確信していたにもかかわらず、その活舌の良さに恐れおののき、Blu-ray 購入を決意しました。
財布の紐を緩くさせるほどの滑舌です。
滑舌だけではなく、「なんて良い声なんだ…」と私たちを脱帽させてくれます。
声量も十分で、舞台人にとって1番大切なものが備わっているなと感心してしまいます。
また、絶対に語るに外せないのは芝居の月組で築き上げた演技力です。
振り分けにより人数が半分ほどになる別箱公演は、本公演よりも多くの生徒に役が付き、見せ場も多くなります。
一番新しい蓮さんの別箱といえば轟悠さん主演の『チェ·ゲバラ』です。
「宝塚でゲバラ…どうしよう、 私はゲバラに対しての知識が皆無だわ…」と頭を抱えながら座席に座ったわけですが、「素晴らしい!最高! 100 億点満点!」とリピートしたくなる出来でした。
(ちなみに月城さんが休演されていたのはもちろん寂しかったです)
轟さんや他の月組生さんたちのすばらしさにも触れたいのですが、このままではタイトルから逸れてしまうため、泣く泣く割愛させていただきます。
蓮さんはゲバラでミゲルという役を演じました。
ミゲルはみんなが輪になっているのを斜に構えて見ているような、少し面倒くさいタイプの男です。
しかし、その中に抱える熱い心や、仲間思いな部分に、すぐにミゲルのファンになりました。
「ミゲル、スキ」としか言いようがなかったです。
蓮さん、面倒くさい男の役が上手すぎます。
中でも、痛みをこらえながらも叫ぶシーンがあったのですが、こちらが痛みに嘆きたくなるような迫力に、「痛い、なぜか私の身体が痛い」と腕をさすりそうになりました。
また、そういう箇所にもミゲルの強がりの部分を含めていて、リアルさの演技力、百点満点です。 ゲバラは無事、円盤が発売することが決定しているので、Blu-ray 購入で是非その雄姿を視聴して頂きたいです。
また、語らねばならないのは、『ON THE TOWN』(国際フォーラム版)での女性役です。
蓮さん、明るくて質の悪いチャーミングなクレアという女性役を見事にこなしました。
男役だからこそできるクレア像を作り上げてくれました。
人類学者で婚約者のいるクレアさん、そこはかとない変人さを見せつけながらも可愛さを発揮します。
綺麗で、迫力が凄くて、面白いという1人の人物では収まりきらないだろう魅力を存分に見せつけ、表情や仕草や笑いで私たち観るものをこれでもかと虜にしてくれました。
しかしながら本作、円盤が出ないという 20 世紀号(雪組公演)並の悲劇です。
「あの面白いのにかわいいという人類の奇跡クレアが映像に残らないとは、後世にどのようにして伝えていけばいいのだろうか」と絶望しましたが、だからこそ生の舞台で観れるチャンスは貴重なものであり、チケット1枚1枚を嚙みしめようと思います。
新公も卒業し、目立つお役はこれからの蓮さんですが、絶賛発売中の『BADDY-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』では、大悪党バッディの手下としてオラオラ踊り、『クルンテープ 天使の都』では青いスーツやポールダンスでイケイケに魅力を振りまいてくれています。
前者であればバッディやグッディはたまた宇宙人に至るまで、そして後者においては退団される麗しの美弥さんを見届けるために、どちらも目が忙しいレビューではございますが、もしも月組の映像を観る機会があれば彼女の姿を探してみてください。
また、『I AM FROM AUSTRIA』 ではゲルトというホテルのフロント係を熱演中の蓮さん。
舞台に足を運ぶ方は是非、眼鏡をかけたフロント係を演じる蓮さんにも注目していただけたら幸いです。