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宝塚歌劇団の厳しい現実 ~夢見る乙女じゃいられない~

初心者のための宝塚

老若男女を問わず、たくさんのファンをとりこにする宝塚歌劇団。

舞台で繰り広げられる非現実の世界は、私たちを夢の世界へいざなってくれます。

しかし、その夢の世界を作る側になると、日々過酷な競争に身を置くことに。

下級生の退団も少なくありません。

男役10年なんて言われますが、10年以下で宝塚を去る組子は珍しくないです。

娘役なら、なおさら早いでしょう。

卒業後、第2の人生に苦悩するOGは多いはず。

ファン目線では宝塚の美しい部分しか見えていない、いや見ようとしないのかもしれません。

今回は、宝塚歌劇団の厳しい現実について語りましょう。

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音楽学校の受験

過酷な競争は、宝塚に入団する以前に始まっています。

当然ですが、音楽学校に合格しないとタカラジェンヌになれません。

15歳~19歳の青春時代を捧げ、必死に努力しても扉が開くとは限らない世界。

それでも少女たちはレッスンに励みます。

ストレートに合格する人はまれ。

2回で合格する人もいれば、4回目でやっと合格通知を手にする人だっています。

受験科目はバレエ、リズムダンス、新曲視唱、声楽など。

面接もあります。

以前に宝塚を志す少女たちに密着したドキュメンタリーを観ました。

それは大変で、東大に合格するよりよほど難しいと思った記憶があります。

入学後の2年間

晴れて音楽学校に入学すると、そこからまた厳しい生活が待っているのです。

多くの生徒は、すみれ寮に入ります。

宝塚に近い場所に住んでいれば通学できますが、北は北海道、南は沖縄と、さまざまな場所から生徒は集まります。

寮での暮らしが前提でしょう。

ちなみに、元花組トップスターの明日海りおさんと元雪組トップスターの望海風斗さんは同室でした。

授業は週6日。門限は夜の11時。

貴重な日曜や祝日も個人レッスンに充てる生徒が多いようです。

あらゆるダンス・声楽・ピアノ・演劇などを学びます。

元星組トップスターの柚希礼音さんは「授業がぜんぶ芸事なんて、こんなすばらしい環境はない」という趣旨のことをおっしゃっていました。

希望者に限り、高卒認定の単位習得授業があります。

中卒や高校中退で音楽学校に入学する生徒もいることから設置されました。

音楽学校は、非常に規律が厳しいことで有名。

すべては一人前の舞台人になるための準備。とはいえ、最近はいささか緩くなっています。

たとえば、阪急の電車にお辞儀する慣習が廃止されました。

入団・組配属を経て

2年間の下積み時代が終わると宝塚歌劇団に入団。

生徒たちはタカラジェンヌの一員となります。

音楽学校卒業時の成績も重要。

毎年恒例の「首席入団者はどの組へ?」が大きな話題に。

そこから初舞台を踏み、振り分けられた組へ入ります。

研1~研5までは、毎年試験が行われます。

特に大事なのが、研5の時点での成績。

ここで成績が振るわないと、出世できない(=役付きが悪くなる)可能性が高いからです。

普段の公演はもちろん、ありとあらゆる行動までもが評価の対象に。

タカラジェンヌは、さぞや緊張感のある生活をしているのでしょう。

繰り返しになりますが、血のにじむような努力をしてもそれが実るとは限りません。

実力にくわえて運が必要。

もしケガをして新人公演に出演できなければ、出世への道が遠のきます。

5つしかないトップスターの椅子に座れるのはたったの5人だけ。

ほんの一握りのタカラジェンヌなのです。

それを考えると、2番手や3番手になるだけでも十分すごいこと。

小さくても、羽根を背負って大階段を降りられるなら幸運の持ち主。

それすら叶わずに退団していく生徒が多いのですから。

退団後のキャリア

タカラジェンヌとして活動できる期間は短いです。

だからこそ、早いうちにセカンドキャリアを考えておかなければなりません。

芸事で生きていけるOGはもちろんいます。

しかし、舞台を離れて一般人になる人の方が多いのではないでしょうか?

正確な数字はわかりませんが、柚希礼音さんや明日海りおさんのように存在感のあるOGは稀少です。

そんなOGのために、株式会社タカラヅカ・ライブ・ネクストという会社が設立されました。

現在、7名のOGが在籍しています。

元宙組娘役の純矢ちとせさんはそのうちの1人。

彼女たちの今後の活躍が楽しみですね。

まとめ

今回は、宝塚歌劇団の厳しい現実について語りました。

この記事を書こうと思ったきっかけは、あるタカラジェンヌから届いた退団の挨拶状です。

彼女は退団するにはまだ早い学年でした。

ひんぱんに観劇はしていなかったものの、応援していたのです。

何らかの事情がおありなのだと思います。

それでも残念な気持ちが拭えません。

それではヅカファンの皆さま、ごきげんよう!