東京宝塚劇場で上演中の星組公演『柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!』。
トップスター、礼 真琴(れい まこと)さんの3作品目の本公演となります。
この公演は2番手スターである愛月ひかる(あいづき ひかる)さんの退団公演となり、千秋楽には異例のサヨナラショーが行われます。
愛月さんの以前にも、これまでに数名のスターさんに「異例のサヨナラショー」が贈られました。
そこで、近年でどんなスターさんで「異例のサヨナラショー」が行われたのか、トップスター以外でサヨナラショーが行われる人とそうでない人は何が違うのか、多角的に比較してみたいと思います!
サヨナラショーを行ったスター一覧
まずは、私が知っている限りのサヨナラショーを行ったスターさんを一気に挙げていきます。
- 61期 朝香じゅん(あさか じゅん)(星組→花組)
- 74期 汐風 幸(しおかぜ こう)(花組→月組→雪組→専科)
- 74期 初風 緑(はつかぜ みどり)(花組→月組→専科)
- 75期 伊織直加(いおり なおか)(花組→専科)
- 76期 樹里咲穂(じゅり さきほ)(月組→宙組→専科)
- 80期 彩吹真央(あやぶき まお)(雪組→花組→雪組)
- 82期 涼 紫央(すずみ しお)(星組)
- 83期 悠未ひろ(ゆうみ ひろ)(宙組)
- 89期 美弥るりか(みや るりか)(月組)
- 93期 愛月ひかる(宙組→専科→星組)
汐風さんから樹里さんまで、専科所属を最後に退団した生徒さんが目立ちますよね。これは、2000年にあった「新専科制度」発足の影響です。
2000年当時に5組に在籍していた各2番手・3番手を一気に専科に異動させたという大改革でした。これはもう私が知る限りでは宙組誕生と同じくらいの過去最大の思い切った改革だったように思います。
この大異動によってトップスターが一気に近くなった人もいれば、先が読めなくなった人もいたり、ようやくトップスター就任に辿り着いても1作品のみでの退団になったりしたので、結果は「大成功!」とは言えない面のほうが強かったように思います。
この改革のせいで、専科所属を最後に退団したスターさんが多かったというわけですね。
これもちょっと一覧にしてみましょう。
新専科異動後の経歴一覧
- 73期 匠ひびき(たくみ ひびき)→専科異動1年後に花組でトップ就任、1作品で退団
- 75期 伊織直加→専科異動後、1年半で退団
- 72期 紫吹 淳(しぶき じゅん)→専科異動1年後に月組でトップ就任、5作品で退団
- 74期 初風 緑→専科異動後、5年で退団
- 72期 香寿たつき(こうじゅ たつき)→専科異動1年後に星組でトップ就任、3作品で退団
- 74期 汐風 幸→専科異動後、3年で退団
- 73期 絵麻緒ゆう(えまお ゆう)→専科異動1年後に雪組でトップ就任、1作品で退団
- 76期 彩輝 直(あやき なお)→専科異動3年後に月組でトップ就任、2作品で退団
- 75期 湖月わたる(こづき わたる)→専科異動3年後に星組でトップ就任、6作品で退団
- 76期 樹里咲穂→専科異動後、5年で退団
10名のうち、トップに就任できたのは6名。そのうち、1作品のみで退団したのは2名。
更に言えば、香寿さんと彩輝さんも短期と言えますので、しっかりと数年間トップスターを全うできたのは10名のうち紫吹さんと湖月さんの2人だけだったんですね。ちなみにお2人ともに中卒です。
既に2番手羽根・3番手羽根を背負い、それぞれのファンは「トップまでの順番待ち」という気持ちでいたでしょうに、この結果にとても残念な思いをした人もかなり多かったでしょう。
単独2番手時代無しでもサヨナラショーはあった
さて、話を戻しましょう。
サヨナラショーを行ったスターさんを、2番手として出演した本公演作品数と期間で比較してみたいと思います。
1本モノゆえに大羽根無しの作品もありますので、羽根を背負っていない作品でも1カウントとします。
- 61期 朝香じゅん→7作品、2年10ヶ月
- 74期 汐風 幸→同じ新専科生とW2番手のような形式のみ
- 74期 初風 緑→同じ新専科生とW2番手のような形式のみ
- 75期 伊織直加→2作品、1年3ヵ月
- 76期 樹里咲穂→W2番手のような形式で1作品、単独2番手羽根1作品
- 80期 彩吹真央→6作品、3年2ヶ月
- 82期 涼 紫央→数作、2番手格ではあったものの2番手羽根は無し
- 83期 悠未ひろ→数作、2番手格ではあったものの2番手羽根は無し
- 89期 美弥るりか→5作品、2年6ヵ月
- 93期 愛月ひかる→3作品、1年10ヶ月
う~ん、全体的には「状況によってそれぞれ違うケース」という結果に見えますね。
この中で2番手歴がいちばん長い生徒さんは彩吹さんです。
それもそのはず、彩吹さんの退団が発表された時はあまりの衝撃にヅカファン界隈が一面焼け野原、という無残な状況でした…
一方で、単独で2番手羽根を背負ってはいないけどサヨナラショーを行っている生徒さんもたくさんいらっしゃいますし、かと思いきや、元花組の瀬戸かずや(せと かずや)さんのように、2番手羽根を背負っていてもサヨナラショーが無いケースもあります。
これはもう少し比較検証してみる必要がありそうですね。
後編ではまた違った角度から考察してみたいと思います!