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映像化を切望!宙組公演『カルト・ワイン』の熱狂

宝塚歌劇を楽しもう

6月17日から上演された桜木みなとさん主演の宙組公演、『カルト・ワイン』。

残念ながらシアタードラマシティでの7月5日から7月7日までの公演が突如上演中止となってしまいました。東京公演は無事千秋楽を迎え、全25公演中20公演と8割上演できたことは喜ばしいものの、多くの人が残念に思うのは大千秋楽の7月7日に予定していたライブ・ビューイングの中止ではないでしょうか。今回は、『カルト・ワイン』を何としても映像化してほしい!という希望を込めてその理由とともに見どころをお伝えします。

3番手の東上主演作もディスク化の傾向に

これまで宝塚は2番手(もしくは2番手格)以上の東上主演作を主にディスク化してきました。

しかし、今年になって花組3番手スターの永久輝せあさん主演作『冬霞の巴里』のディスク化が決定、先日は暁千星さん主演の『ブエノスアイレスの風』も販売決定となりました。

つまり、今年度より3番手(格)の東上主演作もディスク化する、という方針に変わったのだと思います。

『カルト・ワイン』は2019年から正3番手スターとして活躍する桜木みなとさんの東上主演作ですから、収録さえしていれば間違いなくディスク化をしたでしょう。

しかし、おそらくですがディスク化のための収録はライブ・ビューイングと同時…。

ライブ・ビューイングが中止となった今、ディスク化のための映像収録がなされているのか?

謎に包まれたままとなっています。

東京公演初日は収録されていますが、ディスク化できる映像なのかはわかりません。

せめて梅田での舞台稽古などをカメラリハーサルとして収録していれば良いのですが…。

『カルト・ワイン』はディスク化や放送によって、より多くの人にも観てほしいと願ってやまない作品です。

ストレスを感じさせないストーリー

多くの人に観てほしい理由として、作品として一切ストレスを感じず、とても見ごたえのあるストーリーであったことがあげられます。

ストーリーは中米の貧しい国、ホンジュラスでマラス(ギャング)として暮らす主人公のシエロが、親友のフリオ一家と国を抜けだしアメリカへ入国、10年の時を経て偽造ワインを高級ワインとして出品し「ワイン界の貴公子」と呼ばれる稀代のワインコレクター、カミロ・ブランコとしてのし上がった後、投獄されるまでを描く、というもの。

およそ2時間の上演時間で盛りだくさんな内容、特にアメリカへ入国するまではとてもスピーディーに話が展開していくにも関わらず、状況や人物がとても丁寧に描かれていることが印象的でした。

「どうしてそうなった?」と疑問に思う部分が無く、観ていて気持ち良いほどです。

演出家の栗田先生はデビュー作『夢千鳥』でも夢二自身の物語と夢二の映画を撮影している様子が交錯するストーリーを違和感なく描かれていました。

時にわかりにくくなりがちなストーリーを丁寧にかつ、すっきりと見せてくれる先生なのだな、と思います。

しっかりエンターテインメント性を持たせたまま、社会問題を織り交ぜたり、提起されていた問題を綺麗に回収したりしているのも印象的。まだ大劇場デビューはされていませんが、今後ヒット作を次々生み出されるであろう先生の代表作のひとつとして、多くの宝塚ファンの方に観てほしい作品です。

芝居で魅せる・全てが適材適所のキャスティング

脚本が丁寧に描かれてはいるものの、人物たちの心情が台詞で多く語られるわけでは無いところも『カルト・ワイン』の面白いところです。

主演の桜木みなとさんをはじめ親友フリオ約の瑠風輝さん、惜しくも次回大劇場公演千秋楽をもって退団をご予定されている留依蒔世さん、ヒロイン格のアマンダを演じた春乃さくらさん、専科の五峰亜季さん、皆さんが多くを語らずとも表情や声色、仕草で何を思い、本当はどういう人なのかを巧みに表現されています。

また、出演者は最下級生までさまざまな役を持って活躍しているところも見所。

誰のファンであっても出演者の台詞や歌、ダンスをしっかり楽しめる作品と言えるでしょう。

宙組の皆さんが余すことなくのびのびと楽しんで舞台を作り上げている様子が堪能できます。

何度観ても楽しめる作品

筆者は複数回観劇しましたが、1度目の観劇を終えた感想は、「早くもう一回観たい!」というものでした。

テンポの良い爽快なストーリー、出演者の光る演技力、音楽や装置の良さ、全てが作品として素晴らしく感じ、中毒性のある作品だったと思います。

また、人物が多くを語らない脚本のため、ラストを知ってしまってから再度観劇すると「この時この人はこういう気持ちだったのか」「この台詞はこういうことだったんだな」と思いながら観られることもポイント。何度でも楽しめる作品なのです。

対応を信じて待ってみましょう

これまで、劇団は思わぬアクシデントにもさまざまな対応・救済措置を提示してきてくれました。

どの様な形であっても、『カルト・ワイン』映像化の希望を捨てずにいたいと思います。

ライター:霧村さえ