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娘役史上一番ガラが悪いと思う『HiGH&LOW』

宝塚歌劇についての雑記

宝塚歌劇団宙組『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』『Capricciosa(カプリチョーザ)!!』は
宝塚大劇場では、2022年8月27日〜9月26日
東京宝塚劇場では、2022年10月15日〜11月20日まで上演です。

宝塚大劇場公演もいよいよ終盤に近づいてきました。

宝塚大劇場で複数回観劇できたのですが、直近の観劇は二階A席でした。

まだまだ観劇初心者なので、一階席の方が舞台に近くていいのでは?と考えていました。
(もちろんいつかはSS席!)

しかし今回のハイローでは、二階席だからこそ、映像作品である原作の立体感と群舞の迫力を感じる事ができました。

どの席からでも、その席だけの見どころがある作品でした。

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全員主役の『HiGH&LOW』らしさを堪能

この作品は真風涼帆さん演じるコブラと潤花さん演じるカナのラブストーリーとSWORDという5つのチームとSWORD地区の破壊を企む苦邪組(クジャク)の抗争のストーリーです。

SWORD地区それぞれの特徴を歌やダンスで紹介していきます。

原作の『HiGH&LOW』はテレビや映画の映像作品なので、カメラワークによって迫力と疾走感が表現されており、若者達の(物理的な)ぶつかり合いも魅力の一つです。舞台という限られた装置の中でどこまで原作に近いものを感じ取れるかが、興味の一つでした。

公演パンフレットにある野口幸作先生のコメントによると、「全員主役を謳う『HiGH&LOW -THE PREQUEL-』の世界観を宝塚のフォーマット(トップスターが主役)に落としこむ作業に細心の注意を払った。」と述べられています。

真風涼帆さんのコブラのかっこよさ、潤花さん演じるオリジナルキャラのカナの可憐さ、芹香斗亜さん演じるROCKY(ロッキー)と桜木みなとさん演じるスモーキーの見せ場は十分にありつつ、その他の男役さんがそれぞれのチームのカラーを特徴的に演じておられています。

野口先生は『HiGH&LOW』の全員主役と宝塚のトップスターを輝かせるという一見成立しないようなコンセプトを見事に両立されています。

全員主役を印象づける大階段と銀橋

今作は主に5つのSWORDというチームと宝塚歌劇オリジナルのチーム苦邪組(クジャク)の6グループに分かれています。

はじまりから大階段を使って各チームが登場し、銀橋にチーム全員が並びます。野口幸作先生の一人一人を輝かせるぞ。という強い愛と「全員主役」がコンセプトである原作の意図をくんだ演出だと思いました。

立体感と群舞が大迫力の桜木スモーキー

特に桜木みなとさん率いる無名街の自警団「RUDE BOYS(ルードボーイズ)のダンスシーンはテンポ、踊りも激しく大迫力でした。

上の方から見ると本当にフォーメーションが美しく立体的のある動きを堪能できます。

チームのセリフの中に「だから高く跳ぶ」というくだりがありますが、RUDE BOYSのメンバーが本当に高く跳ぶので、物理的にセリフの内容を体現されていました。

二階席から観ると、原作のカメラワークで観る感覚に

ケンカって人数多い方が迫力ありますよね!?

今作品は男役さんが大乱闘になるシーンが何ヵ所かありますが、長身揃いの宙組ジェンヌさんが大人数で跳んで舞うのは、圧巻です。

原作でも集団でぶつかり合うシーンがありますが、お一人お一人の動きを見るのは、カメラで上から撮影しているシーンを見るような感覚になり、原作の世界をより近くに感じました。

娘役史上一番ガラが悪いと思う今作品

初回より娘役のオラオラが止まらない。

清く正しく美しい宝塚でヤンキー座りする娘役さん達の本気を感じます。

苺美瑠狂(いちごみるく)の皆さん、一瞬ヤンキー座りするんです。

体幹が素晴らしいから、あっという間に立ち上がって別の姿勢になられますので、まだ観劇されていない方は是非お見逃しなく!というシーンです。

また敵対する苦邪組七姉妹の武器が、三又の巨大フォーク(名称はわからず)で、アクシデントで当たったらどうしようと、見ていてハラハラします。

男役さん達の決闘シーンも見応えがありますが、娘役さんも目線がどんどん鋭くなってきて、原作の世界に近づいて行っているのを感じました。

物語の中ではコブラ率いる山王連合会の危機を救い、まるで男役を支える娘役そのもののようなシーンもあります。出演時間は少ないものの、今作の娘役チームは強烈なインパクトのある演技だったと思います。

どこの席から観ても立体感があり、原作の世界に近づいていく宙組

今回は観る席によっても景色が全く異なり、全体を見渡せることによって迫力をより感じる事ができました。

どの席で観劇しても全く新しい感動を与えてくれる、野口幸作先生と宙組さん。本当に日本の宝だなと思い帰途につきました。

ライター・さんなん