休演者がいる中での公演再開に踏み切った、花組「うたかたの恋/ENCHANTEMENT」。
「うたかたの恋」は大劇場で約30年ぶりの再演、そして水美舞斗さんの専科移動前最後の公演ということで、いつにも増してチケット難だったように思います。
公演中止のお知らせには正直「またか…」という思いでしたが、運良く休止開けのチケットがあり、観劇をすることができました。
今回は、公演を振り返りながら、観劇レポートができればと思います。
静けさのある気迫が凄かった「うたかたの恋」
元より、柚香さん率いる花組のお芝居は「静けさ」が魅力だなと思っていました。
柚香さんの佇まいがそうさせるのか、“そこに存在するだけのお芝居“が魅力的で、余計な説明がなくてもスッと見入ってしまいます。
今回の「うたかたの恋」も死に近づいていく静かな恐怖と決意が、美しくも残酷に、そしてとっても丁寧に描かれていたように思います。
そして、休止開けに見た「うたかたの恋」には、いつもと気迫さが違うように感じました。
花組生の魂がうわっと波のように押し寄せてきて、驚いたのを覚えています。
もちろん、それぞれ役を演じているので、そのままそっくり本人の気持ちを乗せているわけではないと思いますが、表情や歌声、動きの節々に「もう二度と公演を止めない」という決意が現れていたように思います。
ストーリー自体は決して明るいものではありませんが、花組さんの未来に希望を感じる、高クオリティの舞台を観させていただきました。
粋な演出が楽しい「ENCHANTEMENT」
野口先生ならではのオマージュが沢山詰まった「ENCHANTEMENT」。
今回も恒例の名前もじりが取り入れられていて(しかも芸名だけではなく本名まで…)、とってもワクワクしました。
野口先生の、的確にファンが見たいものを見せてくれる感じがたまらなく好きです。
香水をテーマにした、これまでにありそうでなかったショー。
少し色っぽく、でも花組らしい華やかさもあって柚“香”さんと“水”美さんの絆も感じられました。
公演再開日の1月19日は聖乃あすかさんのお誕生日でもあり、中国の場面で水美さんが「あすかハッピーバースデー!」とサプライズする場面も!おめでたい日に公演再開できて本当に良かったです。
聖乃さんの女装×水美さんの組み合わせはとっても妖艶でした…!
組が離れてしまうのは寂しいですが、最後に組んで踊っている姿が見られて嬉しかったです。
1月19日のソワレは、イープラスの貸切公演だったため、終演後に柚香さんからご挨拶がありました。
休止明けということでしっかり目にご挨拶されるのかな?と思いきや、とってもハイテンションな柚香さんの姿にほっこり。
自分でも「皆さまにお目にかかれたのが嬉しすぎて変なテンションです(笑)」とおっしゃっていました。
久しぶりの2回公演で体力が心配で…とも話されていましたが、そんな心配を全く感じさせないパフォーマンスに胸を打たれました。
コロナの猛威に振り回されるのもそろそろ終わりとしたいところですが、今後も長い付き合いとなりそうです。
タカラジェンヌとしての期間は限りがあるからこそ、悔いなく公演ができるよう、心から祈っています。